夏子の大冒険 〜ちいさな美術館をめぐる旅〜 府中市美術館の『メイド・イン・フチュウ 公開制作の20年』へ。「⽣まれ変わりのお祭りだ」編。

LEARN 2021.02.03

ちいさな美術館をめぐって、作品から思いを馳せて物語を綴るこちらの連載。第2回⽬の舞台は、緑豊かな「府中の森公園」の中に佇む〈府中市美術館〉。今月末まで開催中の企画展『メイド・イン・フチュウ 公開制作の20年』を覗いてまいりました。

美術館の細胞。

『Blue Moment / Made in Fuchu.V(池田光宏)』
『Blue Moment / Made in Fuchu.V(池田光宏)』

〈府中市美術館〉を訪れるのは 2 度⽬。以前来た時、いろんな⽅の膨⼤な点数の作品が⼀堂に並んでいるのを⾒て、「なんとも頭を使う美術館だ」と圧倒されたのを覚えています。再びお邪魔して思ったのは、「⽣まれ変わりだ」です。作者もスタイルもさまざまな作品が並ぶことで、お互いが影響しあって、きっとひとつでは⾒えなかった、新たな⾊が⾒えるような気がしたのです。観客のその⽇の服の⾊さえ作⽤して、細胞みたいに毎⽇⽣まれ変わっているんじゃないか、そんな⾵に感じました。

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「⽣まれ変わりのお祭りだ。」

『万物の眠り、大地の⾎管(⼤⼩島真⽊)』
『万物の眠り、大地の⾎管(⼤⼩島真⽊)』

ぶら下がってる 真っ⾚な林檎
万有引⼒の 法則で
真っ⾚な紅へ 落ちていく
⾻に砕かれ 胃に溶けて
気づけば真っ⾚な ヘモグロビン

⽣まれ変わりのお祭りだ

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⾻に包まれ ⽔槽で
真っ⾚な尾びれが たゆたって
⾦⿂さながら 泳いでる

⽣まれ変わりのお祭りだ

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⼿のひらを 太陽に
透かしてみると ⾒えるのは
真っ⾚に流れる 僕の⾎潮
⾒える管が ⻘くても
透かしてみれば 真っ⾚な⾎潮

⽣まれ変わりのお祭りだ

『からっぽに満たされる(高嶋英男)』
『からっぽに満たされる(高嶋英男)』

⾚の他⼈に 腹を⽴て
どこからともなく 集まって
時々真っ⾚な ⻤になる

⽣まれ変わりのお祭りだ

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真っ⾚な炎に 包まれて
そこで私が 終わっても
それでもあなたは 肋⾻は
うっとりしちゃう その⾻で
あなたのままで いるわけね

⽣まれ変わりのお祭りだ

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『府中の森のアニマル・ルーム(三沢厚彦)』
『府中の森のアニマル・ルーム(三沢厚彦)』

お墓で眠って 輪廻は転⽣
ヒトってほんと 贅沢ね
ところで私は 誰ですか
そうだわ私は しがない林檎
真っ⾚な嘘は ⼤好物
来世は猫に ⽣まれてやるわ

⽣まれ変わりのお祭りだ

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今回訪れたのは…〈府中市美術館〉

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〈府中市美術館〉で公開中の『メイド・イン・フチュウ 公開制作の20年』は、館内常設の「公開制作室」で生まれた作品を一堂に会した展覧会。約40名の美術家さんによる個性的な作品もさることながら、20年もの間、ひとつのテーマをコツコツと積み上げてきた美術館の⼼意気を感じ取れるのも魅力です。

〈府中市美術館〉

■東京都府中市浅間町1-3
■050-5541-8600
■10:00〜17:00
■月休(2月12日(金)、24日(水)は臨時休業)
■入館料700円

※『メイド・イン・フチュウ 公開制作の20年』の公開は、2月28日(日)まで。
※ 普段は撮影禁止です。

photo : Yumi Hosomi

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