僧侶・西村宏堂さんに聞いた、自分らしい生き方について。 『やりたいことが見つかりません。両親から「早く進路を決めなさい」と言われます。』／新時代の僧侶・西村宏堂さんのお悩み相談。

やりたいことが見つからなくても、幸せな人はたくさんいます。ないからダメだっていう理由は何もないんです。自分で自分を追い込まないで。私も母に「メイクの仕事をするなら、それだけに集中しないと、ずっとメイクだけをやっている人に勝てないわよ」と言われてきました。でもそのたびに、「いろんな世界を見て、いろんな経験をしている私だからこそ、できることがある」と思ってきたの。母の意見は、ひとつの目線から見たものでしかないわけで。もちろん、両親のことは尊敬しているけれど、彼らが絶対に正しいっていうことはないんです。

“ハイヒールを履いたお坊さん”として、国内外から注目を集める西村宏堂さん。「自分らしくいられる場所」を求めて渡ったアメリカで、性別、人種、宗教、年齢にとらわれず自由に生きる人たちの姿に感銘を受け、LGBTQの一員であることをカミングアウト。メイクアップアーティストとしてNYで活躍していたが、お寺に生まれた自身のルーツでもある仏教と向き合うことを決意。修行を経て、2015年に浄土宗の僧侶となった。「檀家さんのための教化活動のほかに、私は自分らしいやり方でもっと多くの人の役に立ちたい」自身の経験を踏まえ、枠を飛び越えて活躍する彼だからこそ、発信するメッセージにはたくさんの共感の声が寄せられている。

僧侶、メイクアップアーティスト。1989年東京生まれ。メディアへの出演ほか講演、SNSを通じ仏教について発信中。

2020年7月に発売された『正々堂々 私が好きな私で生きていいんだ』（サンマーク出版）。毛嫌いしていた仏教が2,000年以上前から多様性を応援していると知った時の感動など、西村さんのこれまでの人生と悟り、メッセージが詰まっている。