ストリートビューの風景を旅する。 ストリートビューでアメリカへ!?愛おしい風景が見つかる「バーチャル旅行」のすすめ。
気分はそろそろアウトドア!海へ山へと駆け出したい季節がやってきました。でも正直、真正面なアウトドアライフに躊躇してしまう自分もいる。だからちょっとしたアイデアで、0マイルのおうちのなかや、1マイル圏内のご近所でも“アウトドア”を楽しむ「Hanako One-Mile Outdoor Club」を結成!今回はストリートビューでアメリカ郊外の町を旅してきた和井内洋介さんに、その魅力を語ってもらいました。
画面上でアクセスできる無数の愛おしい風景たち。
世界中の道路沿いの景色をパノラマ写真で提供するグーグルのサービス、ストリートビュー。和井内洋介さんは、映画やを通して惹かれてきたアメリカ郊外の町を中心に、気に入った風景をスクリーンショットで撮影してきた。
「まず部屋の壁に州ごとの地図を貼り、その端っこにある町をグーグルマップで検索すれば旅が始まる。人口、歴史、町の著名人などもウィキペディアで調べてざっと読んでおく。小さなコミュニティにはたいてい変わり者がいて、彼らにちなんだ地名がついていたりします。興味深いエピソードの記事も多く、地図の点だった町が次第に立体的になっていく。この感覚がたまらなく好きなんです」
そのなかで、ふと出会う「違和感のある風景」。その不思議な魅力に強く惹かれるという。「縁もゆかりもない風景に猛烈な懐かしさを感じることがよくあります。昔観た映画や、子供の頃の記憶に似ていたりもしますが、それだけでは説明できない何かを感じて、いつも静かに興奮しています。しばらくは海外に行けない状況が続きますが、こうして知らない町を眺めたり、自分の暮らす町の写真を撮ったりして、風景が途切れないようにする。今はそんな時期なのかなと思っています」
1. 30年後にこのシーンを発見したら、懐かしさのあまりきっと泣く。/オレゴン州パイロット・ロック
「人口1,500人ほどの小さな町。女性がヤードセール(自宅の軒先で行う不要品販売)のポスターを貼っているところです。隣に雑に停められた車が見えるので、おそらく町中を回っているんでしょう。日常のささやか過ぎるほどにささやかな風景ですが、僕がもしこの女の子で、30年後にこのシーンを発見したら、懐かしさのあまりきっと泣くだろうな、と思いながらちょっと泣きました」
2.強烈な違和感…/アリゾナ州プレスコット・バレー
「歴史地区が多く残っていることでも知られるプレスコット。この風景は、プレスコット・バレーという名前のベッドタウンの外れで見つけました。このあたり一帯は未完成の新興住宅地で、女性が歩いている場所はまだ家の基礎すらできていないように見えます。そんな場所を、派手な服を着て犬の散歩をしている様子に、強烈な違和感を覚えました。ウソみたいですよね、この構図」
3.町全体がアウトドア!/ユタ州イーグル・マウンテン
「ユタの州都であるソルトレイクシティの南にある郊外の町。子供の頃ってこんなふうに、町全体がアウトドアだった気がします。アウトドアと聞くと、BBQの道具をそろえて、さあキャンプだ!となりがちですが、大人になるにつれアウトドアの定義を勝手に窮屈にしてしまってるのかもしれません。ちなみにこの写真の手前にある道路、Summer Wayって名前なんです。素敵でしょう?」
4.人口39人のシャニコという町で見つけたガソリンスタンド/オレゴン州シャニコ
「人口39人のシャニコという町で見つけたTEXACO(ガソリンスタンド)。ほかのガソリンスタンドに比べて小さすぎるし、国道から狭い道を入ったところにあるのも不自然だ、と訝しみながら調べてみたところ、TEXACOファン(日本で例えると出光ファン)の住人が、好きが高じて自宅を改造した、とのことでした。なので、もしガス欠になってもガソリンは入れてくれないそうです」
Mapping Leader…和井内洋介(わいない・ようすけ)
京都でWebデザイナーをする傍ら、ストリートビューで出会った印象的な風景を記録し、展示や作品集の出版を行う。Instagram:@a.new.suburban.picture
(Hanako1186号掲載/photo:Yosuke Wainai text:Mayu Sakazaki edit:Kei Kimura)