自分の時間を大切にしながら、つながる。 鎌倉在住歴10年、写真家・長野陽一さんが選ぶ“鎌倉暮らし”の定番スポット&アイテム。

LEARN 2020.06.01

鎌倉で暮らす人、育った人ならではの好きなもの、好きなこと。彼ら、彼女らにとっての日常から見えてくること。ちょっとした憧れを持ちながら、のぞき見させてもらいます。今回は写真家・長野陽一さんの暮らしの定番を教えてもらいました。

鎌倉に住んで10年経つ。買いものは最寄駅の北鎌倉駅から横須賀線に乗って鎌倉、または大船へ。車で葉山までドライブすることも少なくない。海と山が近いから気分転換に散歩もするが、用事があってもなくてもいつも決まって鎌倉の町へ出かけ、寄り道してしまう。スーパーや市場、好きなお店などで友達や仕事仲間にバッタリ出会うと、気恥ずかしくもうれしい。そこで出会った人たちにそれまで知らなかった鎌倉を教えてもらう。毎日に欠かせないものだけでなく、誰かに渡してうれしくなるものや、連れて行きたい場所、心待ちにしている風物詩など、日々、鎌倉を知る。いつの間にかそれらが僕にとって定番となって、鎌倉に囲まれて暮らしている。

My Standard #1「夏が待ち遠しい 〈海の家 パパイヤ〉」/由比ヶ浜海岸

FotoJet

7月、由比ヶ浜に海の家が建ちはじめると、夏はすぐそこ。近年はカフェやバー風の建物が目立つが、〈パパイヤ〉には古き良き海の家の雰囲気が残っている。ここで食べるラーメンとかき氷が夏の午後の楽しみ。正直、海水浴はそのついでだ。ラーメンはさっぱりした醤油味のスープ、麺は鎌倉の〈今村製麺〉。かき氷はふんわりより硬め。自然派ワインもあり、呑んでよし!食べてよし!のザ・海の家だ。

〈海の家 パパイヤ〉
場所は由比ガ浜4丁目信号近く。夏はここで、ハワイ本や『鎌倉のんで、たべる。』の著者、赤澤かおりさんに会えるのも楽しみ。

My Standard #2「〈ディモンシュ〉の中深煎りブレンド」/小町通り

毎朝欠かせない、家で淹れるコーヒー。我が家の豆は店主の堀内隆志さんがその時々にブレンドする中深煎りと決めている。原産国で選ぶこともあるが、その名も「ヤバいブレンド」など、ユーモアあふれるブレンドが毎度の楽しみ。外出自粛中に届いたBLEND #Stayhomeは1キロ。「ハッシュドタグ ステイホームと読んでね」とプロレス好きの堀内さん。長州力のtwitterをオマージュしたブレンドがまたおいしい。

〈Café vivement dimanche(カフェ ヴィヴモン ディモンシュ)〉
昨年、開店25周年記念でプリンパフェが登場。コーヒーベースのパフェディモンシュは定番。オムライスなど食事もあり、ランチもよい。

My Standard #3「〈光泉〉のおいなりさん」/北鎌倉駅

鳩サブレに続く最寄駅の名物。かつて鎌倉在住の女性編集者に「北鎌倉のお持たせといえば光泉のおいなりさんよ」とそのおいしさを教わる。以降、親しい人へのお持たせとして自分で食べることはあまりなかったが、あるときから家族の大好物に。電話注文でお持ち帰りのみの販売。丁寧な包みを開くと、しっかり味のお揚げに酢めしがずっしり。巻きものとセットも良いが、次は潔くおいなりさんだけにしてみよう。

〈光泉〉
西口の改札を出てすぐ左側にあるので、おいなりさんをお弁当に源氏山までハイキングもいい。しっかり味で喉が渇きます。お茶をお忘れなく。

My Standard #4「〈ロンディーノ〉のプリンと〈納言〉の抹茶あんみつ」/御成通りと小町通り

甘いものが食べたいとき、そこが御成通りなら〈ロンディーノ〉へ行こう。奥のガラスケースにプリンがあるか最初に確認。個数限定、あれば迷わず注文すべし!と言いたい。小町通りにいるなら〈納言〉へ。抹茶あんみつにアイスクリームをのせてもらおう。田舎志るこは悩んだらお持ち帰りできます。どちらも地元民に愛され長く続くお店。その理由がプリンとあんみつのおいしさでわかる(気がする)。

〈カフェ ロンディーノと 納言志るこ店〉
横須賀線の線路をまたいだそれぞれの通りに好きなお店を見つけておく。どちらもよく満席になるが、回転率がいいのも地元民に愛される理由。

My Standard #5「葉山の〈タントテンポ〉でチーズとサラミ」/葉山

イタリアの街角食料品店〈タントテンポ〉に立ち寄りたくて、葉山のスーパーまで買いものに出かける。きょうはコンテとパルミジャーノ、サラミはミラノを100グラムずつ切ってもらう。これで今晩、おいしくワインをいただくのだ。ドライマンゴー、ピスタチオとレーズンのビスコッティ、手ごねのチョコレートをお土産に。イタリア各地の珍しい食材が必要なだけ買えて、すっかりイタリアを旅した気分だ。

〈タントテンポ〉
由比ヶ浜から逗子海岸へ、海沿いをドラ イブしながら葉山まで足を延ばそう。ス ローな雰囲気の店内で、きっと知らない 食材と出会えるはず。

My Standard #6「〈お絵かき教室 よだかの 星工房〉で絵を描く」/北鎌倉

自宅のアトリエでかれこれ20年以上、家族がお絵かき教室を開いている。子どもから大人まで生徒は様々。テレピンくさい油絵や真っ黒な木炭デッサン。アトリエは生徒が好きなように描いた絵や作品であふれている。クスッと笑えるもの、ハッとさせられるもの、作品と目が合って、自分もなにか作りたくなる。日々、写真を撮るときに大切にしていることを生徒の作品から学んでいる。

〈お絵かき教室 よだかの 星工房〉
円覚寺側の線路沿いの小道を小袋谷方面へ歩き、洞窟をくぐったところにある自宅兼アトリエ。毎年、夏に鎌倉で展覧会を開催している。

My Standard #7「〈BIRD MOUNTAIN〉のVANS」

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湘南に暮らす店主の鳥山まなぶさんが選ぶ服は、着やすくて作りも良く、山に海に、なにより鎌倉によくなじむ。お目当ての服を見つけると、鳥山さんが熱心にその良さを説明してくれるが、最後はいつもVANSの話になる。デザインや貴重性など、こだわりと愛が止まらない。気がつけば、うちの下駄箱のコンバースが全てになっていた。今年の夏は波乗りのデザインにしよう(サーフィンできないけど)。

Profile/長野陽一(ながの・よういち)

日本の島を撮り続ける写真家。広告、CMでも活動。ポートレイトを中心に撮影するが料理写真にもファンが多い。写真集に『シマノホホエミ』『長野陽一の美味しいポートレイト』など。

(Hanako1185号掲載/photo & text:Yoichi Nagano)

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