観賞には体力がいる…!? 9時間超えの長尺作品も!社会派ドキュメンタリー映画4選。きっと世界の見え方が変わる。

LEARN 2020.05.05

ナチスによるホロコースト。チリの軍事クーデター。成田空港をめぐる反対闘争。時代の波に翻弄される中国の労働者たち。歴史的事件を映した作品から、世界の現実を捉えた作品まで、おこもり中にじっくり取り組みたい、各国の社会派ドキュメンタリー映画をご紹介。9時間超えの長尺作品やシリーズものなど、どれも観賞には体力・気力のいる作品たち。でも長い観賞時間の後には、きっと世界の見え方が変わるはず。

1.『SHOAH ショア』

©Les Films Aleph

第二次世界大戦時のナチスによるホロコーストの全貌を追及した4部構成のドキュメンタリー。1985年公開の本作に過去の再現映像は登場しない。実際にホロコーストを体験した人々の証言と、虐殺が起きた現場の現在の風景だけ。人々の記憶から立ち上がる凄惨な過去。観賞後はしばし呆然とするばかり。
■監督/クロード・ランズマン
■567分/ポニーキャニオン/9,800円(DVD)

2.『チリの闘い』

©1975, 1976, 1978 Patricio Guzmán

1973年、軍事クーデターがチリを未曾有の混乱に陥れる。アジェンデ政権崩壊の瞬間をスリリングに映し出した、世界でも稀に見る貴重な記録映像。監督は撮影後に逮捕・監禁されるも、フィルムと共に命からがら国外へ亡命し映画を完成させた。4作の中では一番上映時間が短く挑みやすい作品かも?
■監督パトリシオ・グスマン
■263分/アイ・ヴィー・シー 7,800円(DVD)

3.『三里塚シリーズ』

©特定非営利活動法人 映画美学校

1966年、新東京国際空港(成田空港)建設をめぐり「三里塚闘争」が勃発。土地を奪われた農民らは、機動隊員を相手に果敢に闘い続ける。制作者自ら闘争に身を置きその現場を克明に捉えた、日本映画史に残る傑作ドキュメンタリーシリーズ。充満する熱いエネルギーに打たれつつ、権力と戦う術を学びたい。
■監督/小川紳介ほか
■8作品(計806分)/ディメンション 23,000円(DVD)

4.『鉄西区』

Copyright 2002 by Wang Bing.All rights reserved.

中国東北部・瀋陽の工業地帯、鉄西区を映したドキュメンタリー。営業が停止し、廃墟と化していく「工場」。徐々に破壊が進む労働者の「街」。くず屋の親子がひっそりと暮らす「鉄路」。3部からなる本作は、時間の流れの中で変化する社会と、そこに暮らす人々の肖像を驚くべき丹念さで描き出し、各国の映画祭で絶賛された。
■監督/ワン・ビン
■556分/紀伊國屋書店 5,800円(DVD)

(Hanako1184号掲載/text:Rie Tsukinaga edit : Asuka Ochi)

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