神田愛花さん×銀座、ドライブ旅行など新連載まとめ12選|ひとりで見るべき映画、子連れカフェほか
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「失敗を恐れず今日一日を精一杯楽しむべきだと思います。」 「好きなこと」を仕事に生きる女性たち。きっかけになったターニングポイント、学びとは。

LEARN 2020.04.16

Hanako世代、将来や今のキャリアへの不安を感じている方も少なくないのでは。今回は、”好きなこと”を仕事にして生きる女性4人に話を聞きました。

1.南青山の複合スペース〈HEIGHTS〉を手がける、ライフスタイルコーディネーター・山藤陽子さん

山藤陽子/「気持ちいいこと」をコンセプトにブランドコンサルティング、商品企画、開発などを手がける傍ら、南青山にショップ、ショールーム、サロン、ラボラトリーを兼ね備えた〈HEIGHTS〉をオープンさせる。
山藤陽子/「気持ちいいこと」をコンセプトにブランドコンサルティング、商品企画、開発などを手がける傍ら、南青山にショップ、ショールーム、サロン、ラボラトリーを兼ね備えた〈HEIGHTS〉をオープンさせる。

南青山のアパートの一室にある〈HEIGHTS〉。アポイント制で、自宅で使うときのことをイメージしながら物と向き合うことができる特別な空間。一人で娘を育てながら商社で働いていた山藤陽子さん。忙しい日々の中で導かれるように手に取った一本の精油に強く惹かれる。

「勤めていた会社を辞めて英国オーガニックブランドのアルバイトに応募…あれはまさに〝直感〞でした。よく考えていたら、踏み出せなかったと思う」その仕事を続けるためにアルバイトをいくつか掛け持ちした。
「心から良いと思うものを人に伝える担い手としての仕事。伝えることの大切さにやりがいを感じていました」

8年勤めた後にフリーランスに。自分が何者かを明確にしようと考え、〝ライフスタイルコーディネーター〞と名乗ることにした。今はブランディング、商品企画などのクライアントワークのかたわら、自身のスペース〈HEIGHTS〉で、手触りの良いタオルや香りの良いコスメ、オーガニックコットンを使ったナプキンなど、〝気持ちいい〞と感じるものを人々に紹介している。

「今はネットでなんでも見つかるけれど、私自身がそうだったように、肌で直接感じることではじめて気付くことだってある。ここはそういう出合いの場所にしたくて作ったんです」
直感の導くほうへ進んでみる。いずれその選択が気付きとなって自分を楽にすることを、山藤さんは知っている。

(Hanako1159号掲載/photo : MEGUMI (DOUBLE ONE) text : Rio Hirai)

2.オンリーワンの結婚式を作る!人気ウェディング&パーティデザイナー・黒沢祐子さん

黒沢祐子/大学卒業後、OLを経て〈Plan・Do・See〉に転職し、ウェディングプランナーに転身。2008年会場探しからスタートするフリーランススタイルのプランナーに。現在まで950組以上のカップルを担当する。/最新のウェディングドレスが並ぶ〈ザ・トリート・ドレッシング〉にて。「何度訪れても気分が上がる場所」(黒沢さん)
黒沢祐子/大学卒業後、OLを経て〈Plan・Do・See〉に転職し、ウェディングプランナーに転身。2008年会場探しからスタートするフリーランススタイルのプランナーに。現在まで950組以上のカップルを担当する。/最新のウェディングドレスが並ぶ〈ザ・トリート・ドレッシング〉にて。「何度訪れても気分が上がる場所」(黒沢さん)

新郎新婦2人の〝らしさ〞を引き出す結婚式を作ることで評判のウェディングプランナー・黒沢祐子さん。
彼女の転機のきっかけは〝直感〞。「若い時はひらめきで動くタイプではありませんでした。どちらかというと慎重で事なかれ主義。新卒で入った会社も『潰れなさそうだから』という理由で選んでいますし(笑)」

大きな転機となったのは、自らの一度目の結婚式の時。「結果的にこの結婚は失敗に終わったのですが(笑)。この時初めてウェディングプランナーという仕事に接して、型通りの対応に疑問を持ち、『この仕事がしたい』と強く感じ、行動にうつしたんです」その後、レストランウェディングの会社に転職、約10年間勤務した後、フリーランスのプランナーに。

人気ウェディング&パーティデザイナー・黒沢祐子さん

会場、花、ドレスやヘアメイク、映像や音楽、ペーパーアイテムまで式をトータルコーディネートすべく、顧客と何度も打ち合わせを重ねる。時に顧客の自宅に足を運び、お酒を飲みながら行うことも。「大切にしているのは、家族のように密な関係性を築くこと。ありがたいことに式の後も交流が続くことが多いのは、お客様とプランナーという関係の前に、人として向き合うようにしているからかもしれません」

(Hanako1159号掲載/photo : Mariko Tosa text : Kana Yabuuchi)

ペットサロン経営と動物保護を両立!〈ミグノンプラン〉オーナー・友森玲子さん

〈ミグノンプラン〉オーナー・友森玲子さん

動物病院とペットサロン、保護動物のためのシェルターからなる複合施設・北参道の〈ミグノンプラン〉。代表の友森玲子さんは、動物病院に勤める看護師兼トリマーだった。「動物と関わる仕事を続けるために、自分の店を持ちたい」という思いで〈ミグノンプラン〉の前身となるペットサロンを25歳でオープンさせる。

「不安だったけど、失敗するなら早い方がリカバリーできるかな、と」。開業資金を返済した2007年には本格的に保護活動をスタート。開業から12年、保護活動にさらに力を入れるため店の業務縮小を考えていたとき、かねてから親交のあった糸井重里さんと話す機会に恵まれた。
「以前、糸井さんと『保護動物が集まっているお店があったらいいね』と話していたことがあって、『保護活動に力を入れたいなら、そっちに挑戦してみたら?』とそのとき背中を押してくれたんです」。友森さんは事業拡大を決意した。

明るくてスタイリッシュな〈ミグノンプラン〉の店内は、保護された動物たちでにぎやか。中にはなんと、ニワトリも。その名も鳥男。
「保護した動物は併設の動物病院で治療して、サロンでトリミングもできる。フードも、仕入れ先からパッケージ破損や賞味期限が近くて売り物にならなくなったものを譲ってもらえるのでかなり節約できています」

写真の犬たちのほか、壁に備え付けられたキャットウォークには猫も。3階のシェルターも含めて、ここには常時20頭以上の動物たちがいる。はたから見れば困難に思えることも、友森さんは「私の趣味だから」と笑い、持ち前の冷静さと大胆さで颯爽と実現し続けている。

(Hanako1159号掲載/photo : Tomo Ishiwatari text : Rio Hirai)

4. 81歳でアプリ開発、「WWDC」に参加!プログラマー・若宮正子さん

独学で開発したゲームアプリがCNNニュースに取り上げられ、アップルCEOティム・クック氏の招待で同社の開発者イベント「WWDC」に参加。NYの国連の会議にも出向き、今、国内外で講演の依頼が絶えない若宮正子さん。驚くべきは、これらがすべて80歳を過ぎてからの出来事だということ。
「『君たちはどう生きるか』ってすごく売れているんでしょう? 私が物心ついた時は戦争中で紙も制限されていた時代だったので、本を読めるようになったのは中学校に入る頃。読書好きだった父親が買ってくれて、夢中で読んだのを覚えています。70年経ってまた出てるからビックリしちゃった」

高校を卒業後、三菱銀行(現・三菱UFJ銀行)に入社。しかし若い女性が任される仕事はコピー取りやお札の勘定ばかり。物事をゼロから考えるのが好きな若宮さんが力を発揮できない環境だった。
「その頃高く評価された人は単純な仕事を正確にやる人。つまりロボットに近い人ですね。私は手先が不器用だったのでそういう仕事は向いてなくて。でも業務改善の提案なんかを勝手に本部に送っていました。するとある日、企画開発部門に異動することに。上司にも恵まれ、40歳頃から益々仕事が面白くなりました」

その後、若宮さんは管理職の試験に見事合格。女性が管理職につくこと自体、当時の日本では異例のことだった。そして定年後、待ち受けていたのは母親の介護生活。

介護と聞くと明るい生活とは程遠いものに聞こえるかもしれないが、若宮さんはいたって前向き。介護の気晴らしにと、退職金でパソコンを購入。それは新しい世界への入り口だった。

「私はほら、お出かけとお喋りが大好きだったから。家に居ながらネット上で人と交流したかったんです。今でいうSNSですね。必死で使い方を覚えてシニア向け交流サイト『メロウ倶楽部』に入りました。おかげでお友達も沢山できて、情報交換したり、何度かオフ会にも行きました。やっとパソコンは覚えたけど、Excelはすごく苦手だったんです。でも、セルを色で塗り潰してアートにしてみたらすごく楽しくて。出来上がった絵をうちわやブックカバーに印刷してみたら、お年寄りから反響がありました。先日マイクロソフト社の人に、
『Excelで決算書を作れる人は何万人もいるけど、うちわを作れる人はあなたしかいない』って褒められてうれしかったです」

正しい位置に雛人形を置いて雛壇を完成させるゲームアプリ「hinadan」。
正しい位置に雛人形を置いて雛壇を完成させるゲームアプリ「hinadan」。

81歳を迎えた頃、若宮さんは、ふとシニアが気軽に楽しめるアプリが無いことに気づく。そこから、無いなら自分で作ってみよう!と思い立ったのだという。
独学で完成させた「hinadan」のアプリが配信されると間もなく、1通のメールが届く。それは米国のCNNからの取材依頼だった。Google翻訳を駆使して回答すると、瞬く間にニュースが配信され、世界中に若宮さんの名が知られることとなる。その後の活躍は前述の通り。現在は講演で世界各地を飛び回る日々だ。

「老人会の草野球でよたよたとバッターボックスに立ったら、バットに球が間違って当たって、強烈な追い風が吹いて、場外ホームランになって、気づいたらアメリカまで飛んでっちゃった。よく、自分の人生をこんなふうにたとえます。不器用な私が、80歳を超えて世界に飛び出して、こんなに充実した日々を送るとは思ってもいませんでした。せっかく与えられた機会ですもの。エイティーズの冒険(?)と称して、まだまだ新しいことに挑戦したいですね。人生何が起こるかわからない。失敗を恐れず今日一日を精一杯楽しむべきだと思います。失敗したっていい。とりあえずやってみて、うまくいかなければやめればいいんですよ」

(Hanako1159号掲載/photo : Hiromichi Uchida text : Satoko Muroga)

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