【伊勢】物事を良い方向に導く神社は?〈伊勢〉で参拝すべき開運聖地6選|運気が上がる、私の参拝ルート #5

【伊勢】物事を良い方向に導く神社は?〈伊勢〉で参拝すべき開運聖地6選|運気が上がる、私の参拝ルート #5
開運担当歴16年ライターHのご利益道しるべ
【伊勢】物事を良い方向に導く神社は?〈伊勢〉で参拝すべき開運聖地6選|運気が上がる、私の参拝ルート #5
FORTUNE 2024.09.12
「開運」は誰もがもつ願い。運気をあげて前向きに溌剌と生きていきたいなら、ざわざわと物見遊山のついでではなく、心を鎮めて真っさらな気持ちで神さまのもとを訪れたいもの。自然にそんな心持ちになれるおすすめのルートを、開運担当歴16年のライターHがご紹介します。
ライターH

Hanakoはじめ各誌の「開運」特集を担当して16年。小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)が「神々の国の首都」と呼んだ島根県松江市生まれ。子どもの頃から神話&妖怪&神社好き。長じてライターとなってからも、取材先などで神社仏閣を見つけては立ち寄ることを繰り返すうち、開運関連の取材が増えて今に至る。

伊勢を思う時、いつも頭に浮かぶ和歌があります。それは漂白の歌人・西行法師が詠んだ一首、「何事の おはしますかは知らねども かたじけなさに 涙こぼるる」。森閑とした神宮の神域に立つ時、御正殿の白い御幌が風に揺れるのを見た時、胸の内に湧いてくる畏敬の念。目には見えないけれど確かに在る何かが感じられ、頭が自然にさがります。

鳥のさえずりや葉擦れの音を聞き、流れる風を感じ、緑香る空気を深く吸って吐くうち、心はいつの間にかフラットに。ざわついた気分は消え、清々しさに満たされます。それは、常に清く瑞々しい生命力にあふれていることを尊ぶ“常若”の思想と無縁ではないのかもしれません。20年に一度、社殿と御装束神宝を一新する式年遷宮により新陳代謝を繰り返し、永遠の祈りを捧げてきた伊勢の神宮へ。自分の原点に立ち戻って新しい一歩を踏み出す旅へ出かけましょう。

その一 まずは浜参宮。二見の禊浜で身を清める。

伊勢に着いたら、まずは二見浦へ。この一帯は古くから禊浜ともよばれ、神宮参拝を控えた人々が沐浴し穢れを祓うのが慣わしでした。今の時代は実際に海に浸かることはしませんが、海岸に鎮座する二見興玉神社にお参りして心を整えるのが吉。さらに「無垢塩祓」のご祈祷を受ければなおよし!です。

「無垢塩祓」は、二見興玉神社の御祭神・猿田彦大神ゆかりの霊石・興玉神石付近から採取した海藻による祓い清めの儀。名所として広く知られている二見浦の夫婦石は、この置玉神石を拝する鳥居であり、海の向こうから昇ってくる朝日の遥拝所。 二見興玉神社にお参りして二見浦の旅館に1泊、日の出を拝み清々しい気持ちで朝のうちに神宮へ向かうのが、私のベストスケジュールです。

その二 外宮に詣で、古代から毎朝夕続く神事に出逢う。

二見浦から、いよいよ神宮へ。…と、その前にお参りにあたり、基礎知識の復習を。「伊勢神宮」の正式名称は「神宮」。伊勢市とその周辺に点在する125の宮社の総称であり、2つの正宮、14の別宮、43の摂社、24の末社、42の所管社で構成されています。

このうち最も格が高く神宮の中核をなすのが内宮(皇大神宮)、それに次ぐのが外宮(豊受大神宮)。この2つの正宮には必ずお参りしたいもの。どちらか片方だけのお参りは古くは「片参宮」と呼ばれました。神宮の祭りが外宮から行われる「外宮先祭」にならって、お参りも外宮からスタートします。

外宮の参道。緑が繁り市街地にあってオアシスのような存在だ。写真提供:神宮司庁

外宮が位置するのは、伊勢市駅から徒歩5分の場所。市街地にありながら深い緑に包まれ、凛とした空気が感じられます。掃き清められた参道を歩いて、まずは御正宮へ。ここに祀られているのは豊受大御神。内宮の御祭神である天照大御神の食事を司る御饌都神にして、衣食住、産業の守り神です。

豊受大御神が1500年前に丹波国から迎えられて以来、御正宮御垣内の御饌殿で、毎朝夕に執り行われているのが日別朝夕大御饌祭。天照大御神をはじめとする神々に神饌を奉じて祈りと感謝を捧げる神事で、運が良ければ参進の様子を垣間見る機会も。古代から途切れることなく続いてきた祈りの姿は厳かで、見ているだけで心が引き締まります。

神饌を納めた辛櫃を御饌殿に運ぶ神職。写真提供:神宮司庁

なお、外宮では左側通行が基本。参道の中央は神様が通る「正中」なので歩くのを避けます。ちなみに内宮は右側通行が基本。外宮と内宮では逆なのでご注意を。

その三 神宮の中核、天照大御神を祀る内宮へ。

外宮から内宮までは車で15分ほど。土産物店や飲食店が軒を連ねるおはらい町を過ぎれば、聖俗を分かつ結界の宇治橋。五十鈴川を渡り神域に足を踏み入れると、空気が一変するのがわかります。玉砂利を踏んで参道を進み、五十鈴川の御手洗場へ。ここで心身を清めて御正宮へ向かいます。

内宮の参道を進みながら感じるのは、豊かな自然の気配。樹齢数百年の巨木が佇む神域は、旺盛な生命力にあふれています。神宮の森には2800種の動物、約140種の鳥類、約850種の植物が確認されているとか。四季の移り変わりとともに再生し循環する自然。それは“常若”であり続ける神の在り方を思わせます。やがて御正宮にたどり着いて石段の下から見上げる時に感じる、得も言われぬありがたさ。これこそ西行法師も感じたものなのでしょう。

時間に余裕があるのならば、もう1泊して早朝に内宮へお参りを。参宮者の数が少なく、その分自然の気配が濃厚。秋のある日は、山で鳴く鹿の声を耳にしたことも。厳かな空気の中、静かな気持ちでお参りできるのです。

内宮御正宮。一般参拝は段上の外玉垣南御門の前で。写真撮影が許されているのは石段下までなので気をつけて。写真提供:神宮司庁

その四 元伊勢と伝わる、山深くの遙宮。

内宮と外宮へのお参りは必須ですが、せっかく伊勢まで来たのなら別宮へも。それぞれの域内の別宮はもちろんですが、域外に鎮座する別宮も見逃せません。私が推すのは瀧原宮。伊勢市を流れる宮川の河口から40kmほど上流にあたる大紀町に鎮座し、古くから「遙宮」と崇敬される内宮別宮です。御祭神は天照大御神御魂。天照大御神が現在の内宮に遷る以前に鎮座していた「元伊勢」のひとつで、幾星霜を経た杉の木立に囲まれた参道と脇を流れる頓登川に設けられた御手洗場は内宮を思わせる趣。したたるような緑を背に佇む宮社を前にすると、はるか古代へ思いを馳せずにはいられません。

瀧原宮と、もう一つの内宮別宮・瀧原並宮が隣り合って鎮座する。写真提供:神宮司庁 

その五 みちひらきの神、猿田彦大神に祈る。

外宮、内宮、別宮とお参りして心を整えたら、もうひとつお参りしたいのが猿田彦神社。天照大御神の命で瓊瓊杵尊(ににぎのみこと)が天降った折に道案内を務めた猿田彦大神を祀り、物事を良い方向へ導く御神徳あり。新たな一歩を踏み出そうという時にぴったりです。

その六 仕上げは神宮の鬼門を守る朝熊山へ。

朝熊山は志摩半島の最高峰にして、伊勢志摩を代表する霊山。山頂付近にある金剛證寺は神宮の北東・鬼門を守るとされ、伊勢音頭に「お伊勢参らば朝熊かけよ 朝熊かけねば片参り」と唄われたように、神宮の後は金剛證寺に参るのが慣わしだったとか。かつてのお伊勢まいりの人々にならって朝熊山に登ってみれば眺望絶佳。緑の山並みの向こうに伊勢湾を見渡し、気分も晴れ晴れ。一層澄みきった心になって、新しい日常へと踏み出せるはずです。

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