愛され続ける老舗メニュー 創業50年以上。こだわりの珈琲と懐かしのメニューが楽しめる、注目の老舗純喫茶へ。
タイムスリップしたようなこだわり空間が魅力の純喫茶では、懐かしさを感じるメニューが魅力の1つ。今回は、純喫茶の中でも創業50年以上の老舗をご紹介。店内のレトロ感もたまらない、居心地抜群です。
1.西荻の街から愛され続ける喫茶店〈COFFEE LODGE DANTE〉/西荻窪
東京オリンピックの翌年、1965年に西荻窪で産声をあげた〈DANTE〉。父親の影響で子供の頃からコーヒーとクラシック音楽に慣れ親しんだ店主が、20代で一念発起して開いた。店名の由来は家に版画のレプリカが飾ってあったから。開店時には穴ぐらのように細長い建物をどう生かすか悩み、今はなき伝説の名曲喫茶、中野〈クラシック〉の美作七朗氏に相談。カウンター部分を掘り下げて高低差をつければ広く見える、と現在のスタイルに行きついた。
コーヒーは「より香りが立つ」とサイフォン式「HARIO」のアルコールランプ式の抽出器で時間をかけて。苦みが少なくクセがない今の味に落ち着いたのは20年前のこと。
棚のカップは主に旅行先のヨーロッパで集めた。古き良き中央線文化の名残りを探しに、ぜひ。
2.【閉店情報あり】昭和の“かわいい”を堪能できる名建築。〈アンヂェラス〉/浅草
今や国際的な観光地になった浅草で、終戦の翌年、1946年から続く店。ドイツやオランダの木造建築を思わせる建物は当時のオリジナル。
2階は腰の高さの窓からやわらかい光が。 初代店主の奥様はクリスチャンで、教会の礼拝堂をイメージして吹き抜けに。
パフェタイプ930円(各税込)もあり。メニューはなるべく変えず〝シンプル・イズ・ベスト〞だが、ときにはアレンジも。春には定番バナナボートのイチゴ版「イチゴボート」も登場。でも佇まいは昔のまま。この唯一無二のかわいさが、昭和の乙女も、平成のインスタ女子も虜にしてきたのだ。
手すり部分にご注目。この細工は今や貴重。壁の木製細工は「鳩とかチューリップとか。私は鳩と聞いた記憶があります」と孫にあたる3代目の関田仁子さん。名物のダッチ(水出し)コーヒーの進化版、梅酒割り〝梅ダッチ〞は、「祖父はお酒が好きだったから」。ハイカラだった祖父母の美意識は、そこかしこに。
(Hanako1150号掲載/photo : Kenya Abe text : Hiroko Yabuki)