〈I’m donut？〉の仕掛け人が今度はハンバーガー界のキングになる！？

〈I’m donut？〉の仕掛け人が今度はハンバーガー界のキングになる！？

FOOD 2025.10.24

新感覚のドーナツのおいしさはもちろん、ポップな空間づくりなど様々な仕掛けが話題を呼ぶ〈I’m donut？〉。今年10月オープンの新店舗で手がけたのは、なんとハンバーガーでした。

text_Keiko Kodera

一過性のブームではなく、日本のスイーツ史にその名を刻んだ〈I’m donut？〉。主力はもちろん、種類豊富な生ドーナツ。卵やバターを使ったブリオッシュ生地に丸ごと焼いたかぼちゃを練りこんだ独特なふわしゅわ食感、甘いものやしょっぱいものなど多彩なラインアップから選ぶ楽しさも人気の理由で、現在は東京を中心に９店舗を展開する躍進ぶりを見せている。今年の4月には、なんとＮＹのタイムズスクエアへの出店を実現させ、オープン当日はニューヨーカーが長蛇の列をつくったことで、現地メディアでも話題となった。

“仕掛け人”の平子良太シェフは、もともとイタリアン出身。福岡で営むベーカリーショップで「マリトッツオ」を売り出したことをきっかけに爆発的なブームを巻き起こし、東京へ進出。その後「自分にしかできないことを」と考え出したのが、いままでにない生地感とコンセプトを全面に打ち出した〈I‘m donut？〉だ。

基盤のある大企業ではなく、一個人の料理人が叶えた壮大な夢は、飲食にかかわるすべてのひとにとっての希望。ビッグドリームを叶えながらも平子さんは「自分がこんなお店があったらいいな、という感覚に忠実にやってきたことがたくさんのひとに喜んでもらえて本当に嬉しいです」とどこまでも自然体だ。

この10月にオープンした渋谷宮益坂店は、1階に新ブランドの〈Neo Nice Burger〉、2階には6種の新作ドーナツが仲間入りした〈I‘m donut？〉が入る。とりわけ注目を集めているのが、平子さんのアイデアが炸裂する新感覚のハンバーガー専門店。「料理人が本気でつくるグルメバーガーをカジュアルな価格帯で」という5年越しの熱い思いがついにかたちとなった。

昨今のグルメバーガーは、1個千円以上は当たり前。だが、「好きなハンバーガーにドリンクとサイドのセットで1500円前後を目指したい」とオーダーはタッチパネル式、ドリンクもセルフで注ぐスタイルで、オペレーションを最大限に効率化させ、美味しさに還元する。

ハンバーガーは13種を揃えており、ネオバーガーシリーズとバラエティバーガーシリーズの2つのカテゴリが。ここにも「選ぶ楽しさ」をテーマに店づくりを続けてきた平子シェフならのでは思いが感じられる。シグネチャーのネオナイスバーガーはアンガス牛100％のパティを使うなど、満足感もたっぷり。店内ではスタッフがバンズを手ごねする様子を眺めることもでき、ハンドメイドの美味しさが視覚的にも伝わる。

自社で運営するベーカリーの技術を生かし、配合や発酵時間のベストを探求したバンズはプレーン、ブリオッシュ、クラフトの3種を用意。ハンバーガーにかける手間と同様に、その相棒ともいえるポテトにも「いっさいの妥協なし」の心が。北海道産のホッカイコガネを太めにカットし、米粉などをブレンドした衣につけてから揚げることで、カリッとした食感のなかにほくほくとした甘みが感じられるよう試行錯誤を繰り返した。

オープン初日には2時間の大行列ができたというが、並んででも食べるべき価値は大あり。生ドーナツに続き、日本のファストフード文化に新風を吹き込むこと間違いなしだ。