わざわざ行く価値がある。感動体験できるスイーツのコース提供店3選

わざわざ行く価値がある。感動体験できるスイーツのコース提供店3選
わざわざ行く価値がある。感動体験できるスイーツのコース提供店3選
FOOD 2025.02.21
スイーツを味わう幸福感をさらに高めてくれるのが、できたてのアシェットデセールや、作り手の美学がつまったコース。香りや食感、風味に気分も高揚。五感に響いて自然と没入してしまう、そんなスイーツ体験が叶う注目店へ。
photo_Mie Morimoto, Norio Kidera text_Keiko Kodera

1. 〈çayca〉/代々木上原

代々木上原のçayca(サイカ)のスイーツ
「いちごとバラのコンポジション」。バニラのサブレやローズのクリーム、マスカルポーネクリーム、アーモンドミルクのアイスなど華やかかつ一体感のある組み合わせ。

茶道と美しいデセールの融合に夢見心地に。

味を重ねることで完成するフランス料理と引き算の美学ともいわれる茶道は一見、正反対のもののようでもある。それらが〝融合〞したとき、どのような世界観が生まれるのかの答えを導き出してくれるのが〈çayca〉だ。

代々木上原のçayca(サイカ)のスイーツ
代々木上原〈çayca〉は、茶道とフランスの伝統菓子の世界を同時に体験できる特別感のある店。和の趣きと上質な洋の要素が共存する空間にも心がときめく。

店のエントランスとは異なる重厚な扉を開くと、広がるのは畳敷きの小上がりを備えたカウンターのみの空間。コックコートに身を包んだシェフパティシエの栗原薫さんと着物姿の白井智子さんがにこやかにゲストを迎える。最初に白湯が供され、それを飲み終えると白井さんの点前が始まり、小菓子とともに抹茶をゆっくりと味わう。15分ほどお茶を楽しみ、心がほぐれたタイミングで、ひと皿ずつデセールが運ばれる。栗原さんと白井さんは〈ベージュ アラン・デュカス東京〉でともに働いた仲でもあり、日本の伝統美とフランスのエスプリをお茶と菓子というかたちで表現。フランス料理の古典的な技法を取り入れたデセールは季節の食材を盛りこみながら見目麗しい。「いちごとバラのコンポジション」のように味を丁寧に重ねながら洗練のひと皿に仕上げるのは、経験豊かな職人ならではだ。無駄をそぎ落とし〝一期一会〞の味と時間を。茶道とデセールの邂逅(かいこう)に、甘美な余韻が静かに広がる。

information
çayca(サイカ)

住所:東京都渋谷区西原3-22-15 3F
TEL:非公開
営業時間:12:00~、15:30~(土日祝は11:30~、14:30~、17:30~の3部制)
定休日:月火水休
席数:7席

小菓子とお抹茶、デセール3皿とミニャルディーズが含まれるコースは12,500円。予約はTableCheckから。

2. 〈Haruka Murooka〉/乃木坂

乃木坂のHaruka Murooka(ハルカ ムロオカ)のスイーツ
和歌山県産紅みかん。大玉の中身をくり抜き、果汁をゼリーに。フレッシュな果肉、果皮はソルベに仕上げる。山椒のような香りの愛媛県産レモンの果皮を上から。

〝旬果〞のきらめきを独創的なコースで。

自身の店をオープンして一年足らずで『ミシュランガイド 東京2025』のセレクテッドレストランに選出される快挙である。スイーツ好きの間では「フルーツ使いの天才」と称されるように〈Haruka Murooka〉では、旬の果物を使ったデセールを中心としたコースを楽しむことができる。

シェフの室岡春香さんが生まれ育った静岡県の同級生が営む牧場の牛乳を使ったミルクプリンから始まるコースは、全6品が登場する。季節感を盛りこむことをひとつのテーマとしているため、内容はそのときどきで変わるが、最初のひと皿と「水カカオ」は通年メニュー。チョコレート専門店〈Minimal〉がペルー産のカカオを使い、この店のために作ったチョコレートのソルベと泡、ローストしたカカオから抽出した〝だし〞のジュレやコロンビア産コーヒー豆のグラニテで酸味や甘み、苦みなど多面的な味わいを引き出した〝飲めるチョコレート〞に、秀でた才能を感じる。

季節感を出す、という思いのほかに生産者への敬意があふれる果物のデセールは、ひとつの素材を泡やソルベに変えて多様な風味を楽しませるのも得意技。軽やかにカラフルに自由に。デザートレストランの新機軸に、輝かしい未来が見える。

information
Haruka Murooka(ハルカ ムロオカ)

住所:東京都港区南青山1-21-9 LUXE南青山1F-B
TEL:03-6434-9168
営業時間:15:00~、18:30~(土日は12:00~、15:30~、19:00~の3部制)
定休日:火水木休
席数:6席

コースはノンアルコールペアリング22,500円。アルコールペアリングも(+5,500円)。予約はTableCheckから受付。

3. 〈nib〉/日本橋

日本橋のnib(ニブ)のスイーツ
メインのひと皿は「日本の山とカカオの共存」。杉のエキスをろ過し、カカオハスク(カカオ豆の種皮)と合わせてムース状に。ゲストの目の前で仕上げて提供。

カカオの多面的な魅力を伝える新感覚のラボ。

事始めの街として、新たなクラフト文化を発信する日本橋兜町に、またひとつ注目店がオープンした。渋沢栄一の邸宅跡地、日証館でチョコレート&アイスクリームショップ〈teal(ティール)〉を営む眞まなご砂翔平さんの次なるチャレンジは、カカオを深く探求すること。そのラボ的な役割も持つ〈nib〉では、カカオの知られざる魅力を体感することができる。

カカオの一大産地であるコスタリカを訪れた際、1200の品種があると知り、その未知なる可能性を感じたと眞砂さん。カカオの用途の約9割はチョコレートだが、そうではない1割の部分を突きつめたいと思ったという。デザートコースのはじめには、ゲスト自らがローストした豆を水出ししたカカオのお茶が供され、続いて8種の小菓子が登場。カカオのだしでリンゴを煮こんだタルトタタンや水とカカオでつくったホイップクリームをはさんだブッセなど、カカオを〝食材〞として捉えた多彩な味わいに心が弾む。カカオニブを自分で好きなように盛りつけるタルトなど〝参加型〞の楽しさも相まってカカオの奥深さを実感。日本の亜熱帯化傾向により、カカオと共存可能な環境になった未来を想像したというデセールにも、カカオに向き合う職人の意気を感じる。

information
nib(ニブ)

住所:東京都中央区日本橋兜町1-10 日証館1F
TEL:03-6206-2568
営業時間:10:00~18:00
定休日:水休
席数:8席

空席があれば予約なしでも利用可能。ローストしたカカオ豆の水出し茶を含むコースは5,500円。隣接するスペースには、フレグランスブランドの〈LAURASIA(ローラシア)〉が。

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