小石原はるかの“食事放談”EATING OUT 【東京】グルメ欲もしっかり満たす、カラダいたわりごはん4選。

FOOD 2024.05.23

なんだか体の調子が優れない日は、自分をいたわる料理で栄養を摂りたい。かつ、いつものグルメ欲も満たしたい。わがままな私たちに救いの手を差し伸べてくれるお店についての熱烈談義。

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毎日毎食、どこで何を食べるかを真剣に吟味しつつグルメ取材に走り回るライターの小石原はるかさんが、食通仲間と対談するこの企画。今回は「いたわりごはん」をテーマに、ライターの浅妻千映子さんと語り合う。

小石原はるか(以下、小石原) 食べることも仕事のうち、な我々は比較的胃袋が強靭だと思いますが、疲れ気味の時に駆け込むお店ってありますよね。

浅妻千映子(以下、浅妻) 普段は家で体に良いものを作ったりしますが、それすらしんどい時には、いっそ外食が吉。ヒールではなくスニーカーで行けるような、カジュアルなお店ならなおさらいいですね。

小石原 確かに。身なりを整えている余裕すらない、という時もありますから。私は「何にもしたくないけど、栄養は摂りたい」という日に〈Shangri-La's secret〉へ。一人用のきのこ鍋で、お肉は鶏も豚も牛もあるし、きのこは追加してカスタマイズできます。とにかくあの黒いきのこのスープが整うんですわ…。エキスがぎゅっと凝縮しているんですよね、でないとあの色にはならなそう。

表参道 〈Shangri-La'ssecret 表参道店〉 (きのこしゃぶしゃぶ専門店)

旨みと栄養がたっぷり溶け出したスープを飲み干して。

きのこの名産地、中国雲南省シャングリラから仕入れる20~30種類もの乾燥きのこを煮出したオリジナルのブラックスープで、新鮮でカラフルなきのこ、季節の野菜、肉をしゃぶしゃぶ。具材からダシが出て、最後は濃厚なスープに。翌日スッキリ、という声が続々。

旬のきのこで欲しい栄養をチャージ。
「風邪予防」「腸内環境美化」など、きのこの種類によって期待できる効果が異なる。テーブルにある「きのこ図鑑」を見て追加してみよう。

“疲れた体を迎えてくれるお店の雰囲気も大事”(浅妻千映子)

浅妻 やっぱりきのこエキスは元気が出ますよね。私もお取り寄せしたことがあります。

小石原 ストックしてあると安心ですよね。お湯で溶かすだけの粉末スープを買って帰って、家で飲むのも好き。

浅妻 鍋だったら、〈ハイアット ハウス 東京 渋谷〉のメインダイニングとして移転オープンしたばかりの〈Restaurant MOSS CROSS TOKYO〉もおすすめ。赤坂時代にも人気を集めた、「食労寿鍋」は薬膳たっぷりのスープで温まります。千切りの野菜をお肉で包んでいただくという食べ方も良くて。こちらもお取り寄せができます。

なんだか体の調子が優れない日は、自分をいたわる料理で栄養を摂りたい。かつ、いつものグルメ欲も満たしたい。わがままな私たちに救いの手を差し伸べてくれるお店についての熱烈談義。

渋谷〈Restaurant MOSS CROSS TOKYO〉(フュージョンレストラン)

“薬膳×ブイヨン”で、体が喜ぶ鍋を堪能。

フランス料理のテクニックに、薬膳を融合させた独自の料理を提供するレストラン。要となるブイヨンには、丸鶏や豚足のほか、龍眼、なつめ、ショウガなども煮込まれている。1日3組限定の「食労寿鍋」には、五季に合わせてブレンドした「追い薬膳」もプラス。

体が温まるスープにヘルシーな具をくぐらせる。
登場した鍋には白きくらげや大なめこなど季節のきのこが盛りだくさん。肉は14種類の漢方を飼料に育てられた「漢方三元豚」だ。

小石原 お取り寄せのセットに千切り野菜まで入っているのがありがたい! ヘロヘロな時に野菜を細かく切るなんてできませんから。

浅妻 スパイスが入っていても、辛いわけではないのもいい。

小石原 そういえば、体が弱っている時って白濁したスープに惹かれませんか? 私はやっぱり〈香妃園〉の「特製鶏煮込みそば」が好きなのですが。

浅妻 私も初めて食べた時は感動しました。門外不出だったそのレシピを唯一受け継ぐお店が最近できましたよね。〈中華美食 トミーズキッチン〉といって、〈香妃園〉は古き良き昭和なのに対し、こちらは令和っぽい軽やかなイメージ。インテリアは今時過ぎず、オープンキッチンにはベテランのシェフ〝トミーさんが働く姿が。早くも地元の人に愛されている様子。私も昼と夜に行きました。

小石原 一人でサクッと入れそうな雰囲気がありがたいですね。こちらも昔からの定番ですが、〈赤坂一龍 別館〉のソルロンタンも外せない。韓国の路地裏の食堂ってこんな感じなんだろうなという本場感も最高ですし。

浅妻 いつ食べてもやっぱりおいしいと思えるんですよね。24時間営業というのもすごい。

中目黒〈中華美食 トミーズキッチン〉 (中華料理)

名店出身の料理人が目指したのは、体を冷やさない優しい中華。

にゅうめんのような特注麺も優しさの鍵。
スープに合わせて注文する麺はやや細めのストレート。柔らかい食感でかん水不使用だから消化もしやすく、胃がもたれない。

“元気がない時こそ、食事でいたわりましょう”(小石原はるか)

小石原 二日酔いの日にもってこいです。私は〈ラ・ファソン古賀〉も頼りにしています。フランス料理の命であるソースを元に作った「ソース キュリー」は、油を取り除くだけ取り除いた、超サラサラなテクスチャのカレーライスです。

浅妻 心と体に染み渡るカレーですよね。弱っている時にきちんと会食せねばならないなら、早めの時間から〈DepTH brianza〉へ。〈麻布台ヒルズ〉にオープンし、この間行ってきたのですが、お酒もたくさん飲んだのに、次の日体調がスッキリしていて驚きました。特に謳うたわれてはいなかったのでシェフに聞いてみると、食材選びやスパイス使いに秘密がある様子。こう考えてみると、「いたわりごはん」とはスパイスとスープがキーワードのようですね。

小石原 アーユルヴェーダに則ったスリランカ料理などもいいですね。体調を崩したら次の日の昼までには復活できるように「いたわりごはん」を取り入れたいもの。この先の人生、おいしいものを食べ続けるためにも!

代々木上原 〈ラ・ファソン古賀 〉 (フレンチ)

滋養をつけるソースにフランス料理の原点を知る。

油分を綺麗に取り去りスッキリとした味わいに。
ブイヨンを濾して油分を除いたベースにウコンなどのスパイスを加え、カレー風に。かために炊いたご飯との相性も抜群にいい。

次号のゲストは大木淳夫さんで「最新トレンド予報2024」がテーマです 。

photo_Kaori Ouchi illustration_Chihiro Yoshii text_Kahoko Nishimura

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