日曜の朝は港町が大にぎわい。 日本最大級の朝市に行こう!【青森・八戸】でのおいしい朝活のすゝめ。
夜明け前から鶏の唐揚げに行列ができ、甘味もあれば郷土食も。まるで異国の市場のようなカオスな雰囲気が感じられる、八戸館鼻岸壁朝市を見て歩いて、個性派グルメを食べ尽くす、朝活旅をしてみませんか?
東北屈指の規模の漁港のある八戸は、イカとサバでよく知られる港町。戦後すぐの昭和20年代から朝市が始まり、市内には現在も大小10以上の市が立つ。2004年に開設された館鼻岸壁朝市は、比較的新しい部類に入る。東日本大震災では岸壁が大きな打撃を受けたが、そこから見事に復活を果たし、今では震災前よりも多くの人が集まる市場になった。
大きくL字に区画された即席の「通り」に、約300もの店が並ぶ。朝6時~8時頃に市場のにぎわいはピークとなり、人気店では名物メニューが品切れになることも珍しくない。
魅力はさまざまなジャンルの店が並び、商品がバラエティに富んでいて、価格がとにかく安いこと。青森県内でも「盆と暮れの買い物は館鼻岸壁朝市」という人は多い。市場定番の魚介や野菜はもとより、山菜、果物、唐揚げ、焼きたてのパン、菓子、見たこともない惣菜など、あらゆるものが並んでいる。気軽なテイクアウトグルメが充実していて、食べ歩きに事欠かない。
朝市随一の人気店〈大安食堂〉は、夜明けすぐから数人の行列が。お目当ては朝市限定の一品「しおてばハーフ」だ。数量が700本と限られるため「どうしても欲しい」という地元客を中心に、夜明け前から行列ができるのが、毎日曜の光景だという。また、定番の「しおてば」70円のほか、「とりカツ」150円や「ももちゃんからあげ」350円なども人気。
サバを材料にした〈串わ〉のコロッケ「サバコロ」80円はおやつ感覚で。
青森県南部から岩手県北部の昔ながらのおやつ「串もち」。甘じょっぱい味噌味。
「うにの貝焼き」580円や「うにご飯」350円も格安で味わえる。
南部弁で話す屋台のお父さんやお母さんとのやりとりを楽しみつつ、お腹いっぱいになるまで食べ歩ける。容器にぎっしり詰めるばあちゃんの「焼きそば」300円も市場名物。
朝6時には、通りはびっしりと人で埋め尽くされ、動くのもままなら
ないほどに。そんな中をひょうひょうと歩くのが、朝市未公認キャラクター「イカドン」。かなりシュールな容貌だが、こう見えて朝市の「顔」になりつつある人気者。記念撮影などにも気軽に応じてくれる。
旬の野菜を扱う市場ならではの店も多い。時期によっては青森の伝統野菜も並ぶ。
朝7時ともなると、ぼちぼち各屋台の人気商品は売り切れてくる。お目当ての一品を食べ逃さないためにも、市場に着いたなら早々に各所で販売している「朝市まっぷ」(100円)を入手しておこう。なにしろ少ない日でも1万人、多い日には3万人を超す来場者であふれる朝市。その盛況ぶりを肌に感じながら、マップ片手に存分に味巡りを楽しみたい。
(Hanako1137号掲載:photo : Tomoko Wakazawa text : Yoshikazu Itamoto)