天心、濃茶。茶事をアフタヌーンティーで表現したら。 〈星のや東京〉でまるで茶会のようなアフタヌーンティーが始まりました。
主人が客人をお茶や食事をお出ししておもてなしをするお茶会。江戸時代には将軍みずからが大名をお茶で労った歴史ある日本ならではのイベントだ。江戸時代といえば、千利休によって完成されたお茶文化が大きく花開くことになった時でもある。この長期政権となる江戸幕府樹立に尽力した一人に酒井忠次がいる。旅館〈星のや東京〉は名門酒井家があった場所に立つ宿だ。そんな由緒ある場所で、江戸文化を代表する茶道をテーマにしたアフタヌーンティーがスタートした。
茶事の流れをアフタヌーンティーとして再現。
茶の湯では、懐石やお茶で、当主がお客様をもてなす大切なイベントを「茶会」(茶事)と呼ぶ。今でも長時間にわたって執り行われる本格的なものから略式まで、さまざまな場所で催されている。こうしたお茶の文化は、千利休が形をつくり、江戸時代になると盛んになっていった。〈星のや東京〉では、江戸文化の一つであるお茶会の形式を踏まえた、「Nippon キュイジーヌ 〜発酵〜」アフタヌーンティーが体験できる。アフタヌーンティーといえばイギリス生まれ。通常、紅茶のほかにスコーンやサンドイッチの軽食とケーキなどのお菓子が出されるが、星のやでは「天心」と「主菓子」というお茶事の流れに置き換えている。
「コロナ禍だからこそ、アフタヌーンティーでも免疫を高めるとされる発酵食材をお客様にお出ししたかった」と浜田統之星のや東京総料理長。ホテル滞在で体も心もリラックスするように、日本文化であるお茶事をなぞらえたアフタヌーンティーで、日々の緊張から解放されてほしい願いが込められたものだ。
〈星のや東京〉でしか味わえない、日本旅館のアフタヌーンティーの流れとは。
お茶事のようなアフタヌーンティーとは?その流れを説明しよう。まず最初に軽食である点心を。醤油麹を使用したマグロとサフランライス、酒粕が含まれている穴子と里芋のテリーヌなど美味しいものを少しずつ。飲み物はシロップがアクセントのスパークリング日本酒を。
次は猿田彦珈琲に依頼したオリジナルコーヒーと共に主菓子をいただく。発酵あずきを用いたミルフィーユや江戸味噌が入ったマカロンなど、発酵バター、発酵生姜シロップが入ったミニャルディーズの小菓子が5種類。お菓子から飲み物に至るまで発酵を意識した構成だ。
最後は干菓子と薄茶のおもてなしを。特別にあつらえられたお重に添えられたのは、さくらんぼリキュールやチョコレート、発酵茶を素材として作られた小菓子。ここでも随所に発酵素材が使われている。発酵食品といってもその異なった味わいが、さまざまな形で表現されている。細やかな菓子の数々をお茶とともに味わおう。
お腹も心地よく満たされたところで、カカオの落雁で締めとなる。夏を思い水を表現した涼しげな一品だ。
ホテルに到着してお夕食までのひと時を畳の間で、のんびり静寂をかみしめることができる。
Nippon キュイジーヌ 〜発酵〜
■星のや東京
■15:00〜16:00
1日1組(2名)
1人12000円
■東京都千代田区大手町一番町9番1
■03-6214-5151
星のや東京 2階ロビーにて。