興味があるのは、今一番面白いことだけ。 連日満員の名店〈サーモン&トラウト〉。自由な発想で勝負する注目店の秘密に迫る。

FOOD 2018.02.10

下北沢から15分の代沢の住宅街に、連日満員のレストランがある。その名も〈サーモン&トラウト〉。〇〇料理と括ることの出来ない、独創的な料理で人々を魅了する東京の新名店をクローズアップ。

ニュートラルな感性で挑む

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オーナーシェフは30歳になったばかりの森枝幹さん。シドニーの名店〈テツヤズ〉で修業し、帰国後は和食やモラキュラー料理を勉強。屋台を運営したことも。

「シドニー時代、新しいものを貪欲に取り入れるオーストラリア料理の懐の広さに触れて、すごいなって。だからフレンチも和食もタイ料理も、僕の中では同列。ジャンルに上下はないし、純粋に面白い料理を作りたいだけです。それに、みんな右へ倣えじゃつまらないじゃないですか」

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店は音楽家兼ソムリエ、カヴィスト兼自転車屋の友人2人と開いた。

「〇〇料理って括られたくない」と、炭水化物は出さない。場所も、銀座でも青山でも、代々木八幡でもなくて、下北沢から15分の代沢の住宅街。それでも連日満員、行きたい人がわんさか。カテゴリーや肩書きにこだわらないフラットさと好奇心

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厨房に立つ以外の時間は、とにかく動き回る。世田谷の〈吉実園〉では6,000坪の敷地で豚や鶏を飼育。チリ原産の鶏アローカナの青い卵は、森枝さんがよく使う食材のひとつ。10個700円

「興味があるのは、今一番面白いことだけ。長く続けることには全然こだわっていません。このタイミングの東京でこの店をやっているのが僕にとっては一番重要で、果たして2年後に店を続けているかどうか。予約も、2カ月以上先は絶対受けないですもん。だって、そのとき日本にいるかどうかわからないでしょ?」

魅惑の料理の数々をチェック!

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ペアリング込みで10,000円の基本のコースより。

厚岸産の牡蠣に有機栽培の根セロリ。赤ワインビネガーと胡椒が効いたスパイシーな口当たり。合わせたのは熟成感と酸味が心地よいスプマンテ。

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ブロッコリーとオリーブオイルを合わせたソースでいただくサモトラ流クラブケーキ。無農薬・無肥料の米を使った純米酒「竹泉」(山廃純米ヨリタ米五百万石 27BY)をチョイス。

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根室産の秋刀魚は骨を抜いて、身を特殊な手法で密着させている。クリスピーな歯ごたえは、小麦粉に、あるものを混ぜているから。季節ごとに魚の種類が変わる。

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口直しのサラダはオーガニックのキウイの器に刻んだパクチーがたっぷり。手でつかんでがぶりと

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柿やいんげんのグリルを添えて。トラウトとすじこはみりん粕と塩麹でマリネ。

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世田谷の〈吉実園〉で育った「有難豚」をスパイスでマリネして低温調理。「都美人」(木桶仕込み山廃純米無濾過生26BY)をペアリング。

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鹿肉は山梨の猟師から買い付ける。ワインはピエモンテの生産者、サッコレット・ダニエーレの赤。

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在来種のかぼちゃとチリ原産の鶏アローカナの卵のプリン。

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喜界島の柑橘、シークーで作ったフルッタキャンディータを練り込んだビスコッティ。コーヒーはご近所の〈オブスキュラコーヒーロースターズ〉。

(Hanako1123号掲載photo:Kazuharu igarashi edit&txt Hiroko Yabuki)

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