小さなお店に、大きな幸せ詰まってます 浅草・観音裏の人気店〈pétanque〉。わずか8坪の「マイクロビストロ」に秘められた、独自の世界観に迫る!

FOOD 2018.02.06

浅草・観音裏。注目エリアに誕生したわずか8坪のビストロが、多くの食通たちの心をわし掴みにしている。あえてマイクロと銘打つそのワケは? 人気の秘密に接近。

間口はわずか一間ほどの人気店

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浅草見番のほど近く。お座敷に向かう芸妓さんたちの姿が日常に溶け込む静かな一画に、〈pétanque〉はある。昼を過ぎれば山田武志シェフの姿がガラス越しに。

その窓に、店名より主張する〝MICRO BISTRO〟の文字。そのココロは?

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「いわゆるカウンタービストロという言葉がしっくりこなくて」

〈グレープ・ガンボ〉〈フジマル浅草橋店〉などでシェフを務め、4月にひとりで営む8坪の店を構えた山田武志さんは言う。

「カウンタービストロというから気軽な店かと思って行ってみたら、ただカウンターというだけで本格的なフレンチが出てきたり、値段が高い店が少なくない。うちは、そうじゃないよ、と伝えたいので」

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その言葉どおり、メニューを見れば300円から。絶滅種になりつつあるチューリップカラアゲに牛カツもあり、日本人のDNAを刺激する。もとより、ひとりでやるつもりだった。

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料理はアラカルトのみ。小皿料理もある。ひとりでやるつもりだったため、「あちこちからオーダーされても対応できない」と、メニュー表はひとつだけ。じっくり見たい人には、スマホで写メしてもらう。

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ワインも900円均一で、注ぐ量で調節する。ひとりで回すために施された工夫は、客にとっても気楽で居酒屋のごとく使いやすい。

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山田さんは、かつて狭小バル〈ビーボ デイリー スタンド〉に勤めていた。その時、小さくてもやれること、店を地域に根付かせることの大切さを実感したという。

「人情に厚い街なので、周りの方にいろいろ助けてもらっています。浅草といっても、ここまでは観光客は来ない。席が空いていると、地元の方もふらりと入ってくれます」

ナチュラルテイストの店内は、インテリアや小物のセンスも抜群。

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地元の食材も積極的に使う。竹松鶏肉店の鶏肉、浅草開花楼のパスタ。「近所に、長ネギしか扱わない市場があるんですよ。そこの千寿ネギも使ってみようかなぁと思っていて」

「有機野菜のサラダ」にする野菜は、山梨県甲府市で女性がひとりで栽培している〈ビオファーム美土里〉の野菜を中心に使っている。赤ワインビネガーのドレッシングをベースに、3種類のドレッシングがランダムにかかる。わざと和えていないので、食べるところによって味が変わって飽きない。900円

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浅草の精肉店〈松喜〉から仕入れるサーロインは、赤身の中心部分だけを使用。外側は目いっぱい焼き上げたのに中はしっとりのステーキ100g 1,800円。ワイン900円と。

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フランス料理を粋に着崩し、パリ時代に培ったワザで、エスニックなスパイスをちょいとひっかけた東京下町の皿は、気さくでツヤがある。

「チャハーン!!カキのソテーとパクチー」は、チャーハンみたいに、具とご飯を一緒に炒めていないから、この名前。ごはんも卵も野菜もチャーシュー代わりのサルシッチャも、全部別々に調理して重ねている。1,500円

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インテリアもマイクロビストロを象徴するかのよう。料理を盛り付けているガラス皿や鍋が多数入っていた仏軍のアンティークトランクが、壁に。

あたたかみの詰まったマイクロビストロは、浅草散策をした後にふらりと立ち寄るのもいい。土日は15時からオープン。遅めのランチや、ランチの後の昼飲みにもぴったり。予約がベター。

(Hanako1146号掲載:photo : Norio Kidera text : Yuko Saito)

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