美味しいは生き方、未来にもつながる 週2日しか営業しないベーカリー〈タロー屋〉の天然酵母パン/フードディレクター・野村友里さんが信頼する美味しさと、生産者たち。
フードディレクター・野村友里さんのおすすめ食材を紹介する、3月29日(月)発売『会いたくて、食べたくて 私が信頼する101の美味しさとその生産者たち』より、〈タロー屋〉のパンをご紹介します。
〈タロー屋〉のパン
SNSやメルマガで不定期に情報がアップされる通販のセット「季節の酵母パン詰め合わせ便」2,480円は、5~6点入り。
■埼玉県さいたま市浦和区大東2-15-1
■048-886-0910
■10:00~売り切れ次第終了 木土のみ営業
緑の多い住宅街の中に〈タロー屋〉さんはあります。独学でパン作りを始めたという店主の星野太郎さんは、酵母が身近なものから起こせるという、その面白さからパン作りにはまっていったと言います。「元気な酵母で初めてパンを作った時に、もう本当に感激したんです。最初は形の悪いパンでした。でも、なんというか、生き返るような味だった。目で見ることはできないけれど、そこには豊かな生命感があるんです」
星野さんが酵母を採取するのは、店の裏手にある、自家菜園の畑からだけではありません。パンに香りが移って、「季節の到来を教えてくれる」という近隣の花からも、酵母を起こしています。春先には八重桜、夏にはラベンダー。瓶の中に入った旬の花びらは、とても美しい。「季節の巡り」を自然にパンで伝えるべく、その時々に取ることができるものを使ってパンを作っています。経済効率を追いかけることよりも、その自然のサイクルの中で続けていくことを大事にしている。そのためか、パンも元気なんです。もし少し日にちが経ってしまっても、堅くはなるけれども、カビないような、焼いた後も生きているようなパンだと私は思っています。
Profile…野村友里(のむら・ゆり)
eatrip 主宰・料理人。長年おもてなし教室を開いていた母の影響で料理の道へ。ケータリングの演出、イベントの企画・プロデュースなどの傍ら、雑誌の連載、ラジオのパーソナリティなどの分野で活躍。2009 年にはドキュメンタリー映画『eatrip 』を監督。著書に『Tokyo Eatrip』(講談社)。12年、原宿に〈restaurant eatrip〉を、19年には表参道にグローサリー〈eatrip soil〉をオープン。