エンドロールはきらめいて
-えいがをつくるひと-Profession #1 映画編集 大川景子
CULTURE 2023.04.30
エンドロールの暗闇できらめく、映画と生きるプロフェッショナルにインタビュー。
第1回目のゲストは映画編集の大川景子さんです。
同じシーンを50回観て、50回笑います。
編集者は、端的に言えば映画を切って繋ぐ人です。撮影素材の取捨選択とショットの長さの見極め、並べ替えを行います。撮影現場にいない分、客観的に素材を見ることができるので、監督ですら気づかなかった魅力を発見することも。自分はMacBook Pro一台で編集をしています。
先日、担当した映画『ケイコ 目を澄ませて』を久々に観返して「めちゃくちゃ面白いじゃん」と思いました(笑)。三宅唱監督とは、あらゆる編集の可能性を試すんです。一つだったシーンを分けてみたり、順番を入れ替えたり。あるシーンのカット尻を少し伸ばしただけで作品全体の見え方がガラリと変わった時なんかは、二人でしみじみと感動しました。
編集者としてやっていこう、と思えたのはここ数年のこと。学生時代に映画を撮っていたこともあり、「映画といえば監督だ」という気持ちがなかなか抜けきらなくて。ただ、ある時期から立て続けに編集の依頼を頂いたり、本数を重ねるほど編集のことが分かってきたりして、だんだんと仕事が楽しくなりました。
私は物語よりも「あの人はいつも同じタイミングで顔をあげる」などといったディテールに興味があるんです。同じシーンを50回観ても、50回同じ場所で笑っていて。映画編集の仕事に就きたいと考えている方にも、同じ作品を何度も観るのはおすすめです。
最近公開された映画で印象深かったのはメイズルス兄弟の『セールスマン』。編集をシャーロット・ズワーリンさんという方が担当しているのですが、素材の選び方とその構成が見事でした。憧れを抱くような女性編集者との出会いは初めてで、勇気をもらいましたね。