さあ、行くわよ? きゃりーぱみゅぱみゅの 「大人なLADYになるわよコラム」第33回〜『石の世界に足を踏み入れたわよ』〜
きゃりーぱみゅぱみゅが「大人なLADY」を目指す日々を綴る連載。おかげさまで、話題沸騰です。第33回は「石」のお話。
『石の世界に足を踏み入れたわよ』
皆さま、ごきげんよう。丁寧な暮らしをしていくうちに、だんだん“石”に囲まれる暮らしをするようになった、きゃりーぱみゅぱみゅです。パワーまではいかないストーンです。
やっぱり石っていうと、スピリチュアルとか風水のイメージが強いですよね。やたら洋風の超豪邸にいきなり中華っぽい石がゴロッと置いてあったり、黒光りした芸能界のマネージャーさんみたいな人たちが数珠を2連でしていたり。それもあって、なかなか近寄りにくいジャンルではありました。
ところが先日、メンタル的に疲れ果ててしまうことがありまして、いつも原宿で見かける石の専門店にふらっと入ってみたんです。
今年の4月に「コーチェラ」というアメリカの音楽フェスに出たときに、Perfumeのあ~ちゃんがお守りとしてくれた、石のついたイヤーカフが自分を守ってくれた気がしたので…。
その石のおかげで、ビリー・アイリッシュと21 Savageの真裏で出るという状況で、しかもダンサーさんやスタッフさんが体調不良でバタバタと倒れていって最終的に一人でステージに立つことになっても、不思議と落ち着いていられました。まあ、思い込みかもしれませんが、少なくともそういう存在になってくれたと思うんです。
だから気持ちが落ちている今の自分に、やっぱり石はよかったりするのではなかろうか…。そう考えてお店の扉をオープン。すると、そこには意外な光景が広がっていました。
普通に20代の男女や子どもたちがたくさんいて、「この石きれいだね~」とキャッキャしています。まるで石のアミューズメントパークみたいな雰囲気です。その様子を見て「こんなに今、石って身近なんだ」とちょっと驚きました。
店内にはいろんな石が並べられています。一番安いもので500円、高いものだと7~8万円くらい。でも、値付けの感覚がまっったくわかりません! 一見似ている石同士でも、大きくてきれいな石より、小さくて濁った石のほうが全然高かったりします。石マジでわかんねー。
なので、自分的になんとなくきれいだなと思った石とか、友達に似合いそうだなと思った石を何個か選んでレジに持っていって、店員のおじさんに聞いてみました。
「この石を渡すときに、何か伝えるべきことってありますか?」
私は「この石には、こんな効果があるんだよ~」という答えを期待していました。しかし、おじさんから返ってきた言葉は、
「んー、ないよー」
ないんかーい!と一瞬思ったんですけど、「この石持つと幸せになります」とかではなくて、そのスピに寄らない感じが逆によかったです。「まー、ひとつ言うとしたら、チリの鉱山で採れたものってことくらいかな」と、最後にボソッと付け加えてくれました。
それで早速、友達に買ってきた石を配り回ってみたら、「寝る前に見て癒されてる」とか「きゃりーからもらった石だから、めっちゃパワーあると思うんだよね」と言われて、とても喜んでもらえました。やっぱり、いろいろ大変なこの令和の時代、若者は石に救いを求めているのかもしれません。
10周年ツアーを一緒に回っていただいた、ふくしひとみさん(あのどんな楽器でもこなせちゃうお方です)からは、以前「最近忙しすぎてあんまり寝れないんです…」と聞いていたので、アメジストをプレゼントしました。
アメジストって調べたら、まず恋愛にめちゃくちゃいいのと、不眠も治れば、リラックス効果もあるし、健康、幸福、全部万能らしいんですよ。ひとみさんもすごく喜んでくれて、お守りとして現場に持ってきて本番前に見たり、枕元に置いて寝ているそうです。
そんな感じで、最近は相手に合う石を配るのが私の趣味となりつつあります。
「アンタにいい石あるよ…」
もはや石配りおばさんですね。前回このコラムでお伝えしたとおり、頭にはスカーフをほっかむりしているので、ほんと絵に描いたような石配りおばさんぶりです。お金配りおじさんに負けないように、みんなにパワーをおすそ分け。ヒヒヒヒ…。
ちなみに自分のために買った石はこれ。
ピラミッド型をしたローズクオーツです。ほんのりピンクがかった色をしています。先ほどの店員のおじさんいわく、なんでも石の世界も最近は厳しいそうで、石を磨く研磨職人がマジでいなくなっているらしいんです。それでもって採掘量も昔より減りつつあるという…。
「だからローズクオーツは本当に珍しいよ」って、まあちょっと営業トークなのかもしれないですけど、「それじゃ買いま~す!」と私はまんまと買ってしまいました。
これを今、寝室に置いています。けっこうかわいいと思いませんか? やべー家にはなってませんよね? だから皆さまが思っているような、でっけー水晶とかじゃらついた数珠とかではなくて、こんなインテリアにも良さげなおしゃれな石っていうのがね、実はね、あるんですよ。
だけど、そうやってせっせと石活していたある日、友達が昔読んだ本に書いてあったという一文を教えてくれました。
「人間の関心は、最初は母に、次に異性に、そして食に、やがて草花に、最後は石に向けられる」
これ、今までの29年間の人生に全部あった。私はもう全部クリアしているのかもしれない…。
ということで、まもなく終わります! それか、石の期間がめちゃめちゃ長くなるか。というか、みんなのために石を配ったりしているとかって、よくよく考えてみるとかなり老後っぽいですよね…。
なんかHanakoでこのまま連載を続けていいのか、ちょっと不安になってきました?