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【鎌倉】レトロモダンな佇まいにうっとり。建築家がおすすめする名宿2軒

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TRAVEL 2024.09.19
歴史があり、文化的にも豊かな鎌倉は名建築の宝庫。その中から“鎌倉らしさ”を味わえる宿泊施設を、2020年から鎌倉にも暮らしの拠点をもつ建築家の吉田愛さんに教えてもらいました。
photo_Keisuke Fukamizu text_Miaki Nagai edit_Akio Mitomi
教えてくれた人
吉田愛
建築家

よしだ・あい/〈SUPPOSE DESIGN OFFICE〉を谷尻誠と共同主宰。2021年、空間プロデュースを核とする〈etc inc.〉を設立。商業施設〈猫屋町ビルヂング〉の運営など事業の幅を広げている。

1. かいひん荘鎌倉

かいひん荘鎌倉の内観
洋館1階の宿泊者用ラウンジは、出窓際のアーチ状の小壁や漆喰による装飾レリーフなどがクラシカルな雰囲気。窓枠も木製のままだ。

「私なら鎌倉で泊まりたいのはこういう宿だなと思って」と吉田さん。和風旅館の一部が洋館で、急勾配の切妻屋根や複数の出窓など、100年前の竣工時の姿をとどめている。

かいひん荘鎌倉の内観
リヒテルが逗留した洋館2階のスイートルーム「らんの間」。

洋館のシンボルともいえる出窓は多角形状と弓形状のものがあり、外観は変化に富む。内部は1階ラウンジに昔の面影が残る。

かいひん荘鎌倉の外観
急勾配の屋根が特徴的な洋館部分には出窓が3カ所ある。出窓の上部にはそれぞれ銅板葺きの庇や尖り帽子のような丸屋根が架けられている。

世界的なピアニストのスヴャトスラフ・リヒテルがかつて長期滞在したというエピソードがこの宿の居心地の良さを伝えている。

information
かいひん荘鎌倉
設計:不詳(1924年竣工)

住所:神奈川県鎌倉市由比ガ浜4-8-14
TEL:0467-22-0960
部屋数:全14室
宿泊料金:1泊1名2食付き22,550円~
洋館付きの邸宅を利用し、1952年に割烹旅館として開業。洋館部分は2009年に国の登録有形文化財に指定された。

2. ホテルニューカマクラ

ホテルニューカマクラの内観

本館と新館があり、本館は100年前に〈山縣ホテル〉として建てられた。木造2階建てで寄棟屋根が載り、木製の上げ下げ窓が整然と並ぶ。

ホテルニューカマクラの玄関ホール
映える玄関ホール。階段の両脇の垂れ壁はアーチ状。

戦後は産婦人科医院などに転用され、昭和の終わり頃に再びホテルになったという変遷があるが、内部も当初の意匠をよく残し、戦前のホテル建築として貴重な存在だ。

ホテルニューカマクラの外観
屋根の上の看板にはアール・ヌーヴォー風の書体で「HOTEL NEW KAMAKURA」とあり、JR鎌倉駅のホームからもよく見える。

吉田さんはレトロな佇まいに惹かれて内部を覗きに行ったと言い、「愛される場所として残ってほしい」と語る。

information
ホテルニューカマクラ
設計:不詳(1924年竣工)

住所:神奈川県鎌倉市御成町13-2
TEL:0467-22-2230
部屋数:全12室 ※本館はトイレ・浴室共用
宿泊料金:1泊1名5,200円~
各客室は内装が異なる。右上写真の「御成」は2面に上げ下げ窓が付く。2004年、鎌倉市景観重要建築物等に指定。

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