浸かって、遊んで、食べて、寝る。 【最新温泉ガイド2022。】キーワード#3 文化財 〈小林屋〉、〈富士屋ホテル〉
100年を超える歴史を持つ建物に泊まる。その場所を行き交った人々や、場所に託されたものに、静かに思いを馳せるステイをしてみたい。
兵庫県・豊岡市〈小林屋〉
伝統を継承し、未来に繋ぐ新旧の“日本の美”を心静かに楽しむ宿。
宝永7(1710)年創業、国の登録有形文化財に指定される木造数寄屋造りの宿〈小林屋〉が、今秋第一期の改修を終えた。監修は宿の11代目当主で現代アーティストでもある永本冬森氏。「佇まいの美しい宿」をテーマに和紙職人・ハタノワタル氏による和紙を壁紙に使い、手仕事の器や工芸品を随所に配した。歴史ある梁はりや建具を活かしながら、設計を担当した〈サポーズデザイン〉(吉田愛・谷尻誠)による現代のエッセンスも融合した空間づくりが光る。
日本の昔と今が心地よく調和するこの宿では、部屋でのんびり過ごすのが正解。鉄釡の湯で淹れたお茶でひと息つき、窓の向こうに流れる川のせせらぎやコロコロと響く下駄の音に耳を傾ける。肌寒さを感じたら、天然温泉の内湯で心身をほぐして。宿での時間こそが旅の目的になる、そう感じさせてくれる一軒だ。
12月には新館の改修も終え、一般客も利 用できるレストランも誕生予定。
住所:兵庫県豊岡市城崎町湯島369|〈地図〉
TEL:0796-32-2424
室数:全10室
料金:1泊2名1室・1名33,000円~、1名1室39,000円~(共に2食付き)
公式HP:https://kobayashiya.co.jp/
神奈川県・箱根〈富士屋ホテル〉
歴史あるクラシックホテルで優雅な時間を過ごす。
箱根といえば〈富士屋ホテル〉。セレブリティたちに愛された和洋折衷様式の日本を代表するクラシックリゾートホテルだ。明治11(1878)年に宮ノ下に誕生し、1997年には5つの建物が登録有形文化財となった。2020年には2年に及ぶ大改修を終え、いにしえの趣やおもてなしの心はそのままに、新生富士屋ホテルとして生まれ変わった。
広々とした展望のスパも誕生し、客室もリニューアルした。おすすめは西洋館だ。改修の際、一部の部屋の壁を剥がしたところ大正時代のものと思われる桃色の壁が発見され、4部屋のみ、このかわいらしい壁の部屋が再現されている。またフロントにはオーシャンビューパーラーも復活。午後のティータイムにはラウンジが紅茶と焼菓子の甘い香りで満たされる。140年以上続く上質で本物の伝統。それを贅沢に味わいたい。
住所:神奈川県足柄下郡箱根町宮ノ下359 |〈地図〉
TEL:0460-82-2211
室数:全120室
料金:1泊2名1室46,000円~。※今回Hanako限定朝食付きプランを用意。 西洋館1泊2名1室・1名25,000円~(曜日、部屋 タイプにより変動あり。要問合わせ)。
※特集で紹介している宿の宿泊料金は、年末年始、GW、夏休み、お盆などのハイシーズンは変わることがあります。また、入湯税、サービス料の表記は各宿によって違いがあります。料金はあくまで予算の目安として、詳しくは宿にお問い合わせください。