棚田を眺める時間。 【この秋、とっておきの温泉宿へ。】#3 大分県・由布市〈界 由布院〉 TRAVEL 2022.11.16

一瞬にして、別世界へといざなってくれる特別な宿があります。古民家、美食、ジオパーク…。ここでしか味わえない環境で、深まる秋を感じながら、ちょっと贅沢な温泉体験を。

〝多き田〞に由来するとされる大分。その山間エリアにある、湯布院の原風景である棚田を宿の中心に。四季折々で表情を変える景色を日常から離れてゆっくり楽しむ。

〈星野リゾート〉が全国に展開する温泉旅館ブランド〈界〉。伝統文化や工芸、現代風にアレンジした郷土料理など、ご当地ならではの個性を堪能できる。その20施設目として今年8月にオープンしたのが〈界 由布院〉。国内有数の源泉数・湧出量を誇る大分県湯布院温泉の由布岳を望む静かな立地に位置。

棚田を囲むようにテラスや客室「蛍かごの間」、離れ「蛍かごの間(棚田離れ)」が配置され、反対側には、くぬぎ林に面した離れ「蛍かごの間(くぬぎ離れ)」も。1室限定でペットの受け入れも可能。
棚田を囲むようにテラスや客室「蛍かごの間」、離れ「蛍かごの間(棚田離れ)」が配置され、反対側には、くぬぎ林に面した離れ「蛍かごの間(くぬぎ離れ)」も。1室限定でペットの受け入れも可能。

〝棚田暦で憩う宿〞をコンセプトとし、宿の中心に広がる棚田は、表情豊かに私たちを迎えてくれる。田植え前の水が張られた春の棚田は、空や周囲の風景を映し出す水鏡となり、夏の田植え後は若苗の瑞々しい新緑が一面に。 だんだんと緑から金色のグラデーションに染まっていき、秋の収穫期に豊かに実った稲穂は、まるで黄金色の絨毯。稲刈り後は稲わらをアートのように積み上げた〝わらこづみ〞 も。朝霧や夕焼け、満天の星など、季節だけでなく時間帯でも情景が変化し、どこか懐かしさと新鮮さが入り交じる原風景が広がる。

それが一番映えるよう宿を設計・デザインしたのは建築家・隈研吾氏。上質な農家風の奥座敷をイメージし、たたきや板間など農家の空間構成を取り入れている。宿の中心である棚田を一望できる座敷空間をデザインした「棚田テラス」もそのひとつだ。縁側に寛ぐようにゆったりと腰掛けて、そよ風に揺れる稲穂を眺めながら、静けさの中に響く虫の音や鳥のさえずり、木々のさざめきに耳を傾ける。ここにしかない特別な時が流れる穏やかな空間は、身も心も癒し、五感までも満たしてくれる。

〈界 由布院〉

チェックイン後やチェック アウト前には、わらをより合わせてお守りを作る「わら綯い体験」も(無料)。当日現地にて受付。

住所:大分県由布市湯布院町川上398|〈地図〉
TEL:050- 3134-8092(界予約センター)
室数:全45 室
料金:1泊2名1室・1名35,000円~(2食付き、税・サ込み)
公式HP:https://hoshi noresorts.com/ja/hotels/kaiyufuin/

※特集で紹介している宿の宿泊料金は、年末年始、GW、夏休み、お盆などのハイシーズンは変わることがあります。また、入湯税、サービス料の表記は各宿によって違いがあります。料金はあくまで予算の目安として、詳しくは宿にお問い合わせください。

photo : Nozomu Tomita text : Emi Taniguchi

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