時間に追われない旅を。 京都の本屋さんは個性派ぞろい。「もう一つの顔を持つ本屋」4軒
スマホから流れてくる情報から少し距離を置き、ゆっくり、のんびり、本屋さんを訪ねる京都旅はいかが?個性が光る4軒、見つけました。
1.野菜と本を通して、「うつろい」を楽しむ。〈本と野菜OyOy〉/京都・烏丸御池
オーガニック野菜を取り扱う京都の〈坂ノ途中〉と〈かもめブックス〉で知られる東京の〈鷗来堂〉がコラボした新店舗。店に並ぶ3,000冊の選書を手がけるのは、スタッフの佐藤由香子さん。「スペースが限られているので、いろんな世界の入り口に立てるような本を、と選んでいます」。
〈本と野菜OyOy〉
■京都府京都市中京区烏丸通姉小路下ル場之町586-2 新風館1F
■075-744-1727
■11:00〜23:00 無休
■20席/禁煙
2.間口14m、奥行き2mの細長い建物が目印。〈ba hütte.〉/京都・出町柳
「本はすべて自分が好きで購入したもの。だから次の読み手に引き継ぐのに、オンラインではなく顔を見て売りたかった」とは、オーナーの清野郁美さん。奥の立ち飲みコーナーを作った理由は「私がお酒も好きなので(笑)」。地元の人を中心に、明るい時間から喉を潤しに訪れる人で店は活気に満ちている。
〈ba hütte.〉
■京都府京都市左京区山端壱町田町38
■075-746-5387
■13:00〜19:00 火水休
■禁煙
3.壁一面を覆う大きな本棚が出迎えてくれる。〈CAVA BOOKS〉/京都・出町柳
商店街の中というロケーションで映画、本、カフェがそろった複合施設〈出町座〉。その1階で展開するカフェ兼書店では、上映開始前に小腹を満たしたり、観賞後は映画に関する本を求め訪れたり、思い思いの時間を過ごすゲストが集う。棚には絵本からアートブックまで、幅広くそろう。
〈CAVA BOOKS〉
■京都府京都市上京区三芳町133
■075-203-9862
■10:00〜22:00台(上映時間によって変動)無休
■15席/禁煙
4.居心地抜群で長居必至。通いたくなる本屋さん。〈開風社 待賢ブックセンター〉/京都・丸太町
京都出身の鳥居貴彦さんが昨春、自宅の1階にオープン。「新刊と古本が半々」という店内で目を引くのは、スペースの半分を占める畳の小上がり。あまりの居心地の良さに「昼寝をしていった親子もいる」とか。また、ちゃぶ台を囲み、講師を招いて勉強会を開くなど、イベントスペースとしても活用中だ。
〈開風社 待賢ブックセンター〉
■京都府京都市上京区大宮通椹木町上ル菱屋町818
■080-3166-1385
■11:00〜19:00 日月休
プラスαの顔をもつ、個性派ニューフェイス。
ゆっくり歩くからこそ、見えてくるものもある。町の本屋さんは、まさにそれ。人々の生活にすっと溶け込み、街になじんでいるぶん、いつもであれば、目的地に向かってまっしぐら!なツーリストは見落としてしまいがち。でも実は、京都の本屋さんは個性派ぞろいだ。なので、この機会にぜひ。食にまつわる本棚の横に野菜や調味料が並ぶ〈本と野菜〉、細長い建物からお酒片手にはみ出す人でにぎわう〈ba hütte.〉。まるでタイムスリップしたかのような気分が味わえる〈開風社 待賢ブックセンター〉では不定期でイベントを開催。そう、「もう一つの顔を持つ本屋」というのが、最近オープンしたニューフェイスの共通点なのだ。その先駆けともいえるのが、2018年に映画館とカフェも一緒にオープンした〈出町座〉。購入した本をその場で読みながらちょっと一杯、の心地よさをここで知った人も多い。時間に追われない旅ならではの、〝やりたいことリスト〞に加えたい。
(Hanako1188号掲載/photo:Noriko Yoshimura, Yoshiko Watanabe (Demachiza)text:Yoshie Chokki)