グルテンフリーの食生活で本当に体質改善できるの!?

MAMA 2020.02.19

近頃よく耳にするようになった「グルテンフリー」。
海外の有名なアスリートやモデル達が、グルテンフリーの食生活にすると美容や健康、ダイエットに効果があると発信しており、日本人の間でも話題になっています。
果たしてグルテンフリーの食生活にすることで、本当に美容や健康、ダイエットに効果があるのでしょうか。単なる噂ではなく、科学的根拠に基づいた情報かどうかを調べてみました。

グルテンとは

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そもそもグルテンとは、小麦や大麦などの穀類に含まれるタンパク質の一種です。
小麦粉などに水を加えて捏ねると、グルテニンとグリアジンというタンパク質が網目状に絡みあってグルテンが生成されます。粘着性と弾性の性質を合わせ持つグルテンの働きをうまく利用して、世界中で麺類やパン類などのさまざまな料理が作られています。

グルテンフリーとは

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グルテンフリーとは、小麦や大麦などに含まれるタンパク質の一種であるグルテンが含まれる食品を口にしないことです。
グルテンを含む食品は、パン、パスタ、うどん、ラーメン、ケーキ、クッキー等の主に小麦粉から作られている製品をはじめとして、醤油や各種ソースなどの調味料や、畜肉加工品や水産練り製品などの結着剤としてもグルテンが使われていることがあります。
グルテンフリーの食生活を送るには、これらのグルテンを含む食品を口にしないか、小麦粉の代わりに米粉などで代用して作られた食品しか食べることができません。

グルテンフリーを余儀なくされる方

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小麦アレルギーのある方やセリアック病(グルテンの摂取により慢性下痢、嘔吐等の症状を呈する自己免疫疾患)の方は、グルテンを含む食品を除去しなくてはなりません。
乳児期に多い食物アレルギーは鶏卵、乳製品、小麦の順に多く、小麦は0歳児に多い食物アレルギーの1つです。乳児だけでなく子どもから大人まで一定の割合で小麦アレルギーの方はいます。
また、グルテンが原因で発症する遺伝性の自己免疫疾患であるセリアック病患者はグルテンフリーの食生活を余儀なくされています。
ちなみに、セリアック病患者は欧米人に多く、日本人は極めて患者数が少ないです。
アメリカやヨーロッパの国々でグルテンフリーの食品が多く表示規制も整っているのは、日本とは違いセリアック病患者が多いことに起因しています。

グルテンについての正しい情報

(写真はイメージです)
(写真はイメージです)

では、小麦アレルギーやセリアック病ではない人達がグルテンフリーの食生活を送ることによって、果たして巷で言われているような健康や美容やダイエットに本当に効果があるのでしょうか?
まず、グルテンの摂取により腸内環境が悪化するリーキーガット症候群が発症すると提唱している人もいますが、英国国民保健サービス(NHS)によると、科学的な根拠はほとんどないと発表しています。
また、内閣府食品安全委員会は、海外の公的機関による情報を収集した結果、「グルテンによる健康影響について科学的根拠が確かな情報は、セリアック病以外に懸念を示唆するに十分な資料はない。」 と発信しています。
つまり、グルテンフリー健康法は科学的根拠の薄い情報 と言えます。
グルテンフリーの食生活にしたことで、健康的になったりダイエットに成功したと言っている人の中には、糖分の多い菓子パンの摂取を控えたり、塩分やカロリーの高いラーメンなどを食べることを控えることで、健康的になったりダイエットに成功した人もいると思います。
しかし、それはグルテンが悪さをしていたからではなく、糖分やカロリーや塩分の過剰摂取を抑えられたことによる結果なのかもしれません。

根拠のない情報にまどわされないように

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セリアック病患者が極めて少ない私達日本人が、根拠のないグルテンフリー健康法を鵜呑みにして特定の食品を除去するのは、食物アレルギーのある方やセリアック病患者を除いては、栄養失調に繋がりかねないことから、良い考えではありません。
SNSなどで得た情報には根拠のないものも多くあります。それらが果たして科学的事実やエビデンスに基づいている情報なのかを確認することが大切です。
また、健康のために最も重要なことは、規則正しく、栄養バランスのとれた食事を摂ることです。

参考文献
内閣府食品安全委員会Facebook「グルテンについて」
日本小児アレルギー学会「食物アレルギー診療ガイドライン2016」(p.163)
英国国民保健サービス「いわゆるリーキーガット症候群」(2018年)

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