フェイクニュースに惑わされないように!食のリスクについての考え方。

MAMA 2020.03.18

新型コロナウイルスをめぐって、様々な根拠のないウソの情報が出回っているようです。
品切れのトイレットペーパーが発生してしまっているのも、デマの情報が発端なのだとか。
また、新型コロナウイルスはマイナスイオンで死滅するとか、納豆に含まれるペプチドが肺炎の起因菌の膜を破壊する等といった疑わしい情報が出回っているようですが、これらの効果を裏付ける根拠は認められないと消費者庁は2020年3月10日に注意喚起を行いました。
情報が溢れる世の中で、私たちはどの情報を信頼すべきなのか、自身の判断で取捨選択をする必要があります。
これは食品の安全性とリスクについても同様のことが言えます。
そこで様々な情報に惑わされず、私たちが安心して健康的な食生活を送るために大切な考え方をお伝えします。

リスクは比較して判断することが大切

2- (1) フェイク

残留農薬、食品添加物、放射性物質というと、どんなイメージがありますか。
体に悪そう、食べたくない、発がん性リスクがある等といったイメージが多く聞かれます。
確かに異常なほど大量に摂取するとリスクがあります。
しかし、少量でも摂取してしまったら体に悪影響を及ぼしてしまうのでしょうか。
日本で使用されている食品添加物や農薬は、安全性試験で人が一生にわたって毎日摂取し続けても健康上の問題が出ない量の100分の1以下しか配合できないルール(一日摂取許容量:ADI)が定められています。
この基準に基づいて使用されている食品を普通に食べている分には、食品添加物や残留農薬によって人の健康に悪影響を及ぼすことはありません。
また、放射線物質は空気中や大地にも含まれており、自然の恵みを受けて育った農産物やそれらを加工して作った食品にはある程度の放射性物質が含まれています。
日本人の食品由来による被ばく線量は年間で0.4mSv(ミリシーベルト)と言われていますが、東京とニューヨークを飛行機で1回往復した時の被ばく線量は0.2 mSv、胸部X線検査を1回した時の被ばく線量は0.3mSvだそうです。
これらを比較すると、食品中に僅かに含まれている放射性物質だけをむやみに怖がる必要はないことが分かります。
ちなみに人への健康影響が確認されている被ばく線量は生涯で100 mSv以上です。

100%安全な食べものはない

3- (1) フェイク

それでは、トマト、ナス、タケノコ、じゃがいも等は、体に害があるといったイメージはありますか。
先ほどの残留農薬や食品添加物、放射性物質と違って、どれも普段から食べている食材で危険と感じたことはないと思います。
しかしこれらの食品にもリスクがあります。
例えばトマトやナス、タケノコには、トマチンやソラニン、タキシフィリンといった有害な物質が含まれています。
トマトやナスは品種改良により有害物質の含有量が微量になっており、タケノコの有害物質は加熱により無毒化されるので、普段の食事で気にすることはありません。
しかし、トマトやナスの未熟な果実や葉は毒性が強く、生のタケノコには有害物質が含まれているので、これらを知らずに食べてしまうと腹痛や下痢、呼吸困難になる場合もあるので要注意です。
また、じゃがいもの芽や緑色の皮の部分にはソラニンという有害物質が含まれているだけでなく、以前こちらのウェブマガジンでもお伝えしましたが、じゃがいもを高温加熱することで発がん性物質のアクリルアミドが発生してしまうことにも注意が必要です。
ここでは野菜を例に挙げましたが、果物(ビワやモモなどの未熟な果実や種子)や豆類(未加熱の大豆や白いんげん豆)、調味料(塩や砂糖の過剰摂取)なども害になることがあり、世の中に100%安全な食べものはありません。
リンク先:じゃがいもから発がん性物質アクリルアミドが検出!?自宅でできるアクリルアミドを低減する方法とは。

まとめ「食のリスクについての考え方」

4- (1) フェイク

1.食のリスクは比較すること
残留農薬、食品添加物、放射性物質等については怖がりすぎるのではなく、そのリスクは十分に小さいので気にしなくて良いレベルなのか、或いは悪影響を及ぼすほどの量なのかを比較して判断することが大切です。
2.絶対に安全な食べものはない
食品は私たちが生きるための栄養素を補給するために必要なものですが、調理方法や摂取量によってはリスクがあります。正しい知識を身に付けて食品を安全に食べましょう。
3.過剰摂取や排除ではなく、バランスよく
根拠のない情報をうのみにして、ある特定の食べ物を排除したり反対に過剰に摂取したりするような偏った食生活は、栄養不足やビタミン過剰症など健康に悪影響を及ぼすリスクがあります。様々な食品を組み合わせてバランスの良い食事を摂りましょう。

参考文献
消費者庁「新型コロナウイルスに対する予防効果を標ぼうする商品の表示に関する改善要請等及び一般消費者への注意喚起について」
国立研究開発法人国立国際医療研究センター病院「放射線ひばく」
内閣府食品安全委員会「科学の目で見る食品安全」

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