「孫育て」にも役立つ、今と昔の子育ての違い (食事編)
子育てにおいて祖父母の手助けは、おいしい料理を作ってくれたり、昔の遊びを子どもに教えてくれたりと、非常に助かりますよね。
一方で、祖父母時代には当たり前だった子育ての常識が、今では間違っていることもあり、トラブルの原因になってしまうこともあるようです。
先日、お仕事を一緒にした60代の女性が、「卵を1歳まで食べさせてはいけないのは常識よ!!」と断言していました。
その常識が今では違うのです。
もちろん、良かれと思って言ってくれたのだとは思うのですが、昔の常識は今では異なることも多く、場合によっては間違った知識が子どもの健康を脅かす可能性さえあります。
おじいちゃん、おばあちゃんの知恵は大切にしながらも、現代の新常識を知り、受け入れて、三世代で楽しく子育てを楽しんでほしいと思います。
今回は、子どもの食事において、昔の常識から更新された最新情報についてお伝えいたします。
食物アレルギーの最新情報
食物アレルギーに関しては、昔というより数年前まで食物アレルギーの原因物質を「除去」することが大切だとされてきました。しかし最新の研究によると、逆に「食べる」ことが予防に効果があるということが分かりました。
2016年に国立成育医療研究センターで発表された研究によると、アトピー性皮膚炎の乳児に生後6か月から卵の粉末とかぼちゃの粉末をそれぞれ一定期間食べさせたところ、卵の粉末を摂取した乳児の方が食物アレルギーの発症率を8割予防できたという結果になりました。
食物アレルギーのメカニズムは、食物アレルギーの原因となる食べ物が口から食べるより先に、湿疹のある皮膚から体内に入った場合に、それを危険な異物だと体が認識して抗体を作り、その後その食物を食べたときに食物アレルギーを発症するのだそうです。
昔と違って今は食物アレルギーを発症する子どもも多く、そのため食物アレルギーを危惧して自己判断で離乳食を与える時期を遅らせたり、食物アレルギーになる可能性のある食材を除去し続けることもあるようですが、これではかえって食物アレルギーになる可能性を高めてしまうことになります。
食物アレルギーの予防として正しい情報は、「保湿をしっかり行い皮膚疾患を起こさせないことと、離乳食を始める時期を遅らせないこと(特定の食物を除去しないこと)」です。
1歳未満に与えてはいけないハチミツ、黒糖、自家製野菜ジュース
はちみつや黒糖は体に良いということで、普段の食事で白砂糖の代わりに使っている人もいると思います。
昔から1歳未満の乳児にはちみつを与えてはいけないことは言われていたようですが、それまで国内でのボツリヌス菌による死亡事例がなく、症例も少なかったため、知らずに与えてしまっていたという祖父母や親もいるようです。
実際、すべてのはちみつにボツリヌス菌が含まれているわけではなく、紛れている可能性は5%程度なので、それまでは知らずに与えてしまっていたものの結果的に何も起こらなかったというだけに過ぎません。
しかし、2017年に国内で初めてボツリヌス菌による死亡事故が起こり、ようやくはちみつを1歳未満の乳児に与えてはいけないということが浸透し始めました。
一方で、未だにあまり知られていないのが、黒糖と自家製野菜ジュースです。
ボツリヌス菌は土や川などの自然界に広く存在しているため、黒糖や生野菜にも付着している可能性があります。
1歳未満の乳児に手作りの生野菜ジュースや黒糖を与えるのは、ボツリヌス菌が付着している可能性があるのでやめましょう。
お風呂上りの白湯と、離乳食前からの果汁の補給は間違い
昔は風呂上りや散歩から帰った時には水分補給としてまず白湯を飲ませていたそうです。
しかし今の常識では、お風呂上がりの水分補給は白湯ではなく、母乳やミルクあるいは麦茶を飲ませます。
また、昔は生後3~4ヵ月頃からビタミン補給のために果汁を与えていたそうですが、今は母子手帳にも「離乳開始前の乳児に果汁を与えることについて、栄養学的な意義は認められません。」と書いてあります。
孫の健康のために良かれと思って果汁を与えようとする祖父母が多いのだろうということが伺えます。
白湯や果汁をたくさん飲ませてしまうと、その分母乳やミルクから得られるはずであった必要な栄養素が補給できなくなってしまうので、注意が必要です。
虫歯につながる離乳食の与え方
昔は大人が食べ物を自分の口の中でかみ砕いて食べやすくしてから与えていたようです。
この方法は、大人の口の中にいる虫歯菌が乳児に移り、虫歯の原因になってしまうのでやめましょう。
周囲の大人は口の中を清潔に保ち、虫歯菌をできるだけ減らしておくことを心掛けましょう。
また、かみ砕いたものをあげたり、口移しすることはもちろん、スプーンや箸、コップ等も共有せず、子ども専用のものを使用することが推奨されています。
まとめ
いくつかの食事に関する今と昔の違いをご紹介いたしましたが、いかがでしたか。
特に共働きの夫婦にとって、祖父母の手助けはとてもありがたいものです。
お互いの認識の違いでトラブルにならないように、正しい知識をお互いに知ることが大切です。
各地方の自治体によっては、祖父母向けの手帳が発行されているところもありますので、祖父母と一緒にご覧になってみてください。
さいたま市「祖父母手帳」