羊の毛ってどうやって刈るの?知っておきたいミュールジング【親子ではじめる、エシカル暮らし・13】
はじめまして。
家族をテーマにした「家族と一年誌 家族」という雑誌を作ったり、ものを書いたりして暮らしてる中村暁野といいます。
本格的な夏を前に、親子で羊の毛刈りを体験!
先日、羊さんの毛刈りに行きました。
近所に羊を8頭ほど飼っているおうちがあり、毛刈りに行かせてもらうのは去年に引き続き2回目。去年は娘も行ったのですが、今年は学校があったので息子だけ参加。
羊の毛は抜けることなく伸び続けるので、暑くなる前に毛をカットしなくてはいけません。大きな羊を大人が数人がかりで抱えこみ、はさみを使ってジョキジョキ。力もいるし、神経も使うし、なかなかの大仕事です。(羊は皮膚が柔らかいので気をぬくと傷つけてしまい「あわわわ…!!ごめん〜〜〜!!」なんてことになってしまいます…)
無事サマーカットに変身した羊さんの刈った毛は、洗って、乾かして、葉くずなんかを取りのぞいて…これまたなかなかの大仕事をすると、ウールになります。あたたかく、吸水、吸湿性にもすぐれた天然素材として親しみ深いウール。当たり前の話なのですが、わたしたちの持っているウールの衣類の一つ一つも、どこかの羊さんの毛なのです。
ショッキングな「ミュールジング」の実態
数年前、「ミュールジング」のことを知りとてもショックを受けました。
羊のおしりのまわりはシワが深く、排泄物などがたまり、うじ虫が寄生しやすいのだそうで、それを防ぐためにおしりの皮膚や肉を切り取る飼育方法がミュールジングです。皮膚は麻酔なしで切り取られ、治療もされません。もしかしたら、そのような負荷の果てにわたしのもっている服もできているのかと思ったら、たまらない気持ちになりました。
批判が高まり、ミュールジングを禁止した国や、ミュールジングを施さない「ノンミュールジングウール」の使用を表明するメーカーも増えています。なので、ウール製品を購入する時は、表明をしているメーカーのものを買うよう心がけるようになりました。
手に取った一着は、どんな背景でつくられているんだろう?
かわいいな、と思って手に取った服がどういった背景でできているのか。それを知ろうとするのはとても大切なことだと感じています。
そして、ものの背景一つ一つを知るのと同時に、自分の手を動かし、何かをつくることをしていきたいな、とも思うのです。
たとえば一着でも、自分で羊の毛を刈り、紡ぎ、編んだセーターがあったとしたら。一つのセーターができるまでの大変さも、つくる喜びみたいなものも感じたことがあったとしたら。それはきっと、これからの社会の中で大切なものや必要なものについて考えていく、きっかけや力になる気がします。
こんなにも資源の枯渇や環境危機がいわれているのに、こんなにも物を使い捨てている社会の中で、ほんとうに大切なこと、必要なことについて、一人一人が考え直していくべき時が来ているはずです。
そんなわけで、裁縫も編み物も苦手だけだけれど、時間をかけてゆっくりと。今年は糸紡ぎにも挑戦してみたいと思っています。