【副業女子に突撃インタビュー 第6回】 副業で大学院研究員や、欧米の教育団体に所属。複数のコミュニティ所属で個性を磨く、会社員・世羅侑未さんの働き方とは。

LEARN 2019.06.27

働き方改革で脚光を浴びている、“副業”。収入アップが見込めるのはもちろん、キャリアアップにつながって起業することだって夢じゃない!ただ、興味はあるんだけど、何をすればいいのかわからない……なんて人も多いはず。そこで、副業をエンジョイしている女性たちにインタビュー!第8回目は、本業は企業コンサルタント、副業で大学院の研究員や、欧米の教育団体への所属、南アフリカをフィールドにした研修を企画している世羅侑未さんに登場してもらいます!

本業と副業を同時に掛け合わせて仕事していく。

――世羅さんのお仕事の詳細を教えてください。
「プロノイア・グループ株式会社にて、企業のカルチャー改革や未来創造に携わるCCO兼コンサルタントとして働いています。また、慶應大学大学院にて研究員として人のパフォーマンスが最大限に発揮される“フロー状態”の研究もしています。今年3月に、大学院の研究で得た成果とコンサルタントとしての実践経験を掛け合わせて『3倍のパフォーマンスを実現するフロー状態魔法の集中術』を出版しました。他にも、欧米の教育団体である“アクションインクワイアリーアソシエイツ(AIA))”の所属を通じた成人発達理論の実践や、南アフリカへの年に1回の研修企画を行っています」

研究員兼コンサルタントとしてのプレゼンテーションの様子
研究員兼コンサルタントとしてのプレゼンテーションの様子

――それだけの仕事をこなすためのコツはありますか?
「”それだけの仕事”という感覚は、いまではあまりないんです。最初は確かに、量が溢れかえってどれも100%やりきれていないもどかしさを感じたこともありました。そんなとき、プロノイアの社長からこう言われたんです。『それぞれを別々に分けてやるのではなくて、全部を掛け合わせてやってみたら?』と」

「このアドバイスを受けてからは、”複数の仕事をやる”のではなく、”複数を掛け合わせて1つの仕事をする”ということを心がけるようになりました。それを続けると、いまではあまりこれが”本業”これが”副業”という感覚がなく、自分の関わる複数のコミュニティやプロジェクトのリソースを全部活かしながら世羅侑未として一貫した仕事をしていく、という働き方をしていると思っています」

フィンランド・エストニアBizDev企画でのファシリテーション。プロノイアとAIAのリソ ースを掛け合わせて仕事をした実例
フィンランド・エストニアBizDev企画でのファシリテーション。プロノイアとAIAのリソ ースを掛け合わせて仕事をした実例
プロノイア・グループでのファシリテーション
プロノイア・グループでのファシリテーション

たとえば、5月にプロノイアグループの仕事でエストニアとフィンランドに行く企画を作った際には、企画の1部として現地のAIAメンバーと共にセッションを行いました。これはプロノイア、これはAIAと仕事を分けて考えずに、積極的に交わらせることが互いの組織への貢献になることを学ばせてもらったんです」

副業がどう本業につながるかを考え、メンバーに積極的に共有する。

自著の「3倍のパフォーマンスを実現するフロー状態 魔法の集中術」をテーマにしたトークセッション
自著の「3倍のパフォーマンスを実現するフロー状態 魔法の集中術」をテーマにしたトークセッション

――本業の会社からの理解はありますか?
「副業と呼べる規模のものやそうでもない小さなプロジェクトもありますが、社長やメンバーには全部をオープンに共有するようにしています。たとえば、その日会社の外で得た機会や仕事、知識やインスピレーションは、その日のうちにコンサルの仕事や戦略に取り込んでいき、パートナー(クライアントのこと)にも会話や資料を通して提供していく。メンバーにもパートナーにも、できるだけ想像もしなかったような文脈からプロジェクトのヒントをもたらすことで、相手に価値や面白さを感じてもらえるよう努力しています」

「研究員としてのフロー研究の成果も、論文だけに留めるのではなく、プロノイアのコンサルとして使えるメソッドの中に入れています。研究員としても、研究成果は実践を通じて精度を高めていくことが本望です。会社としても、他にはない独自のメソッドを持つことが付加価値になります。大学院と会社の双方のお陰で機会をいただいた本の出版も、本を手に取ったことをきっかけにコンサル依頼をいただくことが増えています。結果、本業・副業という境界線はいまや自分の中で認識しておらず、1つの仕事をしているという感覚が正直なところです」

副業は、時間やアイデアの流出ではなく”掛け合わせ”になる。

スクリーンショット 2019-06-17 15.55.06

――副業での失敗はありますか?
「最初は、それぞれ違うコミュニティの仕事やプロジェクトは、互いに混同しないよう分けてやろうとしたんですね。でも、どんなに整然とやろうとしても、見えるものは見える。どちらの組織に対しても『なんか他のプロジェクトで忙しそうだから』という印象を与えてしまいました。そんなとき社長のアドバイスを通じて気づいたのが、個別のプロジェクトとして受け持つのではなく、1つのプロジェクトに統合させていけばいいんだ、ということ。それぞれのプロジェクトが最終的に実現したい世界が共通していれば、必ず工夫次第で双方に同時に価値のある掛け合わせプロジェクトを作ることができるのです」

「最初の私のような考え方を持っているときには、副業って、『時間が分散してしまう』『アイデアが流出してしまう』などなどマイナスのイメージを持たれている方もいると思うんです。でも、逆もあるんです。一方の企業での課題や悩みを解決するために他方のプロジェクトのリソースを投下することで、双方のパフォーマンスを共に高めていくことができるのです」

複数のコミュニティに所属することで、価値観が広がっていく。

――副業することのメリットは?
「複数のコミュニティに常に所属しておくことの目的は、ずっとお話ししてきた、相乗効果で各組織のパフォーマンスを高めることの他に、自分を変え続ける目的もあります。コミュニティが違うと、文化や成功の定義、アプローチが全然違います。一方の組織で歓迎される行為が、他方の組織では絶対にタブーなんてことはよくあります。混乱しますよね。この混乱が、私にいい緊張感や謙虚さを与えてくれるんです。自分がいま見えていることや知っていることだけを当たり前と思わない。価値観も選択肢も、いつも”360度広がっている”ということを忘れないでいさせてくれます」

新しい自分を作っていく姿勢が、副業には必要になる。

――これから副業する人へのアドバイスはありますか?
「副業をする目的は、大きく2パターンあると思います。①今やっていることが“本当にやりたいこと”なのかわからないから、新しい好きなことを探すため②やりたいことは明確なので、別の強みを足すことでそれを加速させていくため。あるいは、最初の目的はもっと単純にお金稼ぎだったとしても、せっかく同じ時間と労力を投じるのであれば、新しい自分を作るチャンスに変えていって欲しいですね。そこに副業の楽しさがあると思います」

副業を掛け合わせることが、個性を豊かにする。

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――企業コンサルタントとして、これからの働き方はどう変わってくると思われますか?
「今までは1つの仕事に専念することが“美”とされてきましたが、終身雇用も当たり前で無くなってきた現在、副業という働き方への関心は個人側も企業側もすでに高まっています。そんないま、1つの会社に専念するのをやめましょうということではなく、いくつか副業を掛け合わせることでもっと本業で貢献できる自分になっていくという考え方を両者が持っていきたいですね。複数コミュニティがもたらす刺激は、人の個性を豊かにし、より会社や社会に貢献できる術を増やしていくと信じています」

(edit:yuma tsujino text:osamu sasaki)

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