「伊太利亜 ミラノ村からBuongiorno!」第5回 イタリアの朝ごはん事情。カプチーノとブリオッシュで上機嫌な朝を!

LEARN 2019.01.31

人生の転機でミラノへ引越しした元築地OLによる、伊太利亜通信。街を駆けまわるのが大好きな好奇心旺盛の食いしん坊が、意外と田舎でミニサイズの愛すべきミラノから、リアルな日常をお届けします。第5回は、あんなところやこんなところでも楽しめる、「イタリアの朝ごはん」特集です。

“イタリア流・朝ごはん”とは?

イタリア

イタリアの朝ごはんはシンプル。最近はハムやチーズのはさまるブリオッシュが朝から並ぶお店も出てきましたが、基本的にはエスプレッソやカプチーノに、ブリオッシュやビスケットなどの甘いものでサクッと済ませます。「日本の伝統的な朝ごはんといえば、ご飯、味噌汁、卵、魚など。ライフスタイルの多様化で各自違いはあるけれど…」なんて話をすると、「朝から塩気のあるもの?しかもフルコース!?」と、皆びっくりした顔をします。

道端からメトロ構内まであちこちに点在するバール(喫茶店)だけでなく、コーヒー豆焙煎専門店、レストラン、総菜屋、ケーキ屋、寿司屋でも(!)朝食をとることができ、それらはイタリアで生活する人々にとって、気持ちよく一日を始めるための大事な社交場になっています。

1.「生ハム・総菜屋」で朝ごはん〈banco23〉

イタリア 〈banco23〉

大きなガラスから入り込む陽の光が気持ち良い、近代的な一軒。まるでスーパーの生ハム屋の一角をくり抜いて持ってきたような空間で常連のおじいさんが新聞を読んでいたり、ビジネスマンが朝のミーティングをしていたり。皆、思い思いの朝を過ごしています。

壁には自由に読める新聞が吊るされている。
壁には自由に読める新聞が吊るされている。

ある日の11:30。ランチ準備が始められる中、ためらいながら「カプチーノを飲んでもいい?」と聞くと「何を言ってるの、全く問題なし!カプチーノはアペリティーヴォのように好きなときに飲めるよ」と返してくれたお兄さん。長らくイタリアでは“カプチーノは朝の飲み物”と考えられてきたのです。「1980年代、外国人がランチの後にカプチーノを飲んでいるのを見てショックを受けた」と話すのはイタリア人のマンマ。「それから40年近く経つけれど、彼らのおかげで多様性が受け入れられ、イタリア人も午後にカプチーノを飲むのが変ではなくなったの」だそう。

イタリア 〈banco23〉

「カカオ?シナモン?」カプチーノを注文すると多くのお店でこう聞かれるので、いつもカカオをかけてもらいます(写真右下)。カプチーノは1.4ユーロ。全粒粉ブリオッシュ1.0ユーロ、トレッチャ(三つ編みパン)1.2ユーロ。タルトドームから自分で取るスタイルです。

使い勝手が良く、ランチやアペリティーヴォなど、通し営業しているお店ならではの楽しみ方も。生ハムやチーズだけでなく、こだわりのオリーブオイルやパスタ等も豊富に揃えられ、ギフト選びもできてしまう万能な総菜屋です。

2.「寿司・パスティッチェリア(ケーキ屋)」で朝ごはん〈BASARA〉

イタリア 〈BASARA〉

お寿司の美味しさは然ることながら、ドルチェにも定評がある〈BASARA〉。12:00に本業の寿司屋を開くまで、朝ごはんを提供しています。料理長のヒロさんによると、お得意さんを中心に毎朝100人ほどが立ち寄るそう。

カプチーノ(1.4ユーロ)と、中にチョコレートが詰まったブリオッシュ(1.2ユーロ)。
カプチーノ(1.4ユーロ)と、中にチョコレートが詰まったブリオッシュ(1.2ユーロ)。

パスティッチェリアを併置しているため、自家製ブリオッシュも特別な味!さすが朝に甘いものをとる文化だけあって…抹茶と柚子のセミフレッド(ジェラートケーキ)や、餡子入りの大福を朝ごはんに食べていく人もいるんだとか(笑)

イタリア 〈BASARA〉

私はいつもお寿司の後のドルチェとしていただきますが、黒胡麻のティラミスが絶品。ふんだんに使われた胡麻の豊かな風味がたまらない!

イタリア 〈BASARA〉

目の前でオレンジを丸ごと絞ってもらうジュース「スプレムータ」も、忘れてはならないイタリアの朝ごはん。甘酸っぱく、元気の源を補給できます。

3.「バール・トラットリア・リストランテ」で朝ごはん〈Tagiura〉

タバコ屋、バール、エノテカ、トラットリア、レストラン、と幾つもの顔があり、様々な雰囲気の5つの部屋を持つ〈Tagiura〉。時間や用途によって様々な使い方ができます。朝ごはんからランチへと移り変わる頃、バール横の「黄色の広間」を覗くと、地元のおじいさん4人が楽しそうに談笑中。イタリアではこんなシーンもよく目にします。

イタリア 〈Tagiura〉

カウンターでサクッと立ち飲みをするイタリアのバール文化ですが、よっぽど急いでいるとき以外はテーブルでゆっくり楽しみたい、という人も。立ちでも着席でも、皆、馴染みのお店で1杯飲む余裕ぐらいは持っていたいのです。一般的にカプチーノは約1.3~1.5ユーロ、エスプレッソは1ユーロと安く、それも気軽に寄れる要因かも(南イタリアではエスプレッソが0.6ユーロなんてことも)!

カプチーノ(1.3ユーロ)とアップルパイ(1.0ユーロ)。ガラスケースの中から自分で取るスタイル。
カプチーノ(1.3ユーロ)とアップルパイ(1.0ユーロ)。ガラスケースの中から自分で取るスタイル。

そんなわけで、外を歩きながら飲む人はイタリアではほとんど見かけませんが…、一度カプチーノを持ち帰りにしたことがあります。雨降りの朝、急いでいたのに降りる駅を間違え意気消沈。一息つこうとバールに駆け込んだのです。バリスタから、カプチーノと一緒に「BUON LAVORO!(良いお仕事をね!)」という言葉をもらい、たちまち心がほっこり。鼻歌交じりで仕事をする彼らを見て、すっかり愉快な気持ちでお店を出ることもあります(笑)

58人収容できる「赤の広間」と呼ばれる部屋。なんとも華やか。
58人収容できる「赤の広間」と呼ばれる部屋。なんとも華やか。

4.「コーヒー豆焙煎専門店」で朝ごはん〈Torrefazione Vercelli〉

イタリア 〈Torrefazione Vercelli〉

飲むだけの朝ごはんスタイルもあります。このお店でももちろん、自分で取るスタイルのブリオッシュをほおばる人もいますが、私はここでは毎回カプチーノのみ。自家焙煎でエスプレッソが美味しいだけに、カプチーノ(1.4ユーロ)も格別!他の場所に比べ、サイズも大きめなんです。

イタリア 〈Torrefazione Vercelli〉

立ち飲みオンリーの小さなお店なので、ちょっと寄って1杯飲みたいときには最適。朝の散歩がてら、犬と一緒に立ち寄る人も多いです。

イタリア 〈Torrefazione Vercelli〉

84歳のおばあちゃんも、毎朝ここに来てカプチーノを飲むそう。おばあちゃん、若い!!

イタリア 〈Torrefazione Vercelli〉

挽き立ての香り高い豆をお洒落なレトロ缶(4.5ユーロ)に入れれば、コーヒー好きなあの人へのギフトにも喜ばれること間違いなし!豆を買って数日間は、家の扉を開けた瞬間に玄関先まで香ばしい匂いが届くほど。量り売り250gで5.15ユーロ程度です。

~今回ご紹介したお店はこちら~

〈banco23〉
■住所:Via Carlo Ravizza 23, 20149 Milano
■アクセス:メトロM1「De Angeli」から徒歩4分、「Buonarroti」から徒歩6分。
■営業時間:月火水8:00~20:30、木金8:00~22:00、土8:00~20:00
■定休日:日曜日

〈BASARA milano – sushi pasticceria〉
■住所:Via Tortona 12, 20144 Milano
■アクセス:メトロM2「Porta Genova」から徒歩5分。
■営業時間:7:00~15:00、19:00~0:30
■定休日:日曜日

〈Tagiura〉
■住所:Via Tagiura 5, 20146 Milano
■アクセス:メトロM1「Gambara」から徒歩14分。バス91番「Viale Misurata」下車徒歩2分。
■営業時間:月火水7:00~21:30、木金7:00~01:00、土曜7:00~16:00
■定休日:日曜日

〈Torrefazione Vercelli〉
■住所:Via Francesco Cherubini 2, 20145 Milano
■アクセス:メトロM1「Pagano」から徒歩2分。トラム16番「Corso Vercelli Via Cherubini」下車徒歩1分。
■営業時間:6:30~19:30
■定休日:日曜日

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