期待以上の充実度!わざわざ行く価値がある建築も楽しい福島のミュージアム5選
1. 福島を代表する巨匠の建築とアートを体験!〈福島県立美術館〉設計:大髙正人

福島市のシンボルとして市民に愛される信夫山(のぶおやま)。その麓に佇む美術館を設計したのは、三春町出身の建築家・大髙(おおたか)正人。建築のみならず、都市計画の分野でも活躍した巨匠は、〈三春町歴史民俗資料館〉や〈千葉県文化会館〉など県内外で多くの建築を手掛けている。民家を思わせる三角や台形の屋根がかかった建物の中に足を踏み入れると、まず出迎えてくれるのはエントランスホール。高さ18mの天窓から光が差し込むスペースは、まるで大聖堂のように厳かだ。

このホールと同じように、屋根の形がそのまま天井に現れた2階展示室では年4回ほど常設展を開催。画家・関根正二ら福島県出身の作家を中心に、フランス印象派や20世紀アメリカの絵画など4,400点以上ある収蔵品の中から、毎回100点ほどが展示される。
壁を栓の木で仕上げた展示室Aや、低い斜めの天井が屋根裏部屋を思わせる展示室Dなど、まったく雰囲気の異なる空間を巡るだけでも楽しい。

美術館内のカフェ:Curry and Spicedishes 笑夢(カレー アンド スパイスディッシーズ えむ)

福島市の人気店が2023年に移転。毎日でも飽きないカレーを提供する。写真はカレー&ナンのカレー3種1,780円。TEL:050-8888-1947。営業時間は@mcurry2006で確認。月休(祝の場合は翌火休)。
住所:福島県福島市森合字西養山1
TEL:024-531-5511
営業時間:9:30~17:00(最終入館16:30)
定休日:月休(祝の場合、翌休)、祝の翌休(土日は開館)
観覧料:360円(企画展は別途)
1984年開館。2026年2月21日~5月10日に『大ゴッホ展』を開催。
2. さざ波のような石庭と温かな空間で、忘れがたい美術体験を。〈郡山市立美術館〉設計:柳澤孝彦

大きな空に溶け込むなだらかな屋根。粗く切った石がさざ波のように連なる広い庭。石畳の通路を歩くたびに期待が高まって、展示を見る前からドキドキが止まらない!安達太良山(あだちたらやま)を望む丘陵地に現れる建物は、〈東京都現代美術館〉で知られる美術館建築の名手・柳澤孝彦の作。館内に入れば、石の庭に面したガラス張りの展示ロビーが100mほど続き、外に広がる景色にうっとりする。「光が降り注ぐ日中も夕暮れどきも、本当に心地いいんですよ」と主任学芸員の鈴木伸子さん。その温かな雰囲気は木目の型跡が残るホワイトコンクリートと、上質な木を使った内装や家具によるところも大きいのだろう。
また、常設展示が充実しているのも特徴で、日本随一のイギリス近代美術コレクションのほか、「かわいい!」と感動必至の近代ガラス工芸も。バリー・フラナガンによるキュートな兎のブロンズ像や、イギリス現代彫刻をリードするアントニー・ゴームリーの超レア作品など、彫刻好きにとってもたまらない体験が待っている。
美術館内のカフェ:juju 130 CAFE (ジュジュ イチサンマル カフェ)

石の庭を眺めるガラス張りのカフェも併設。ランチあり。ドリンクはテイクアウトもできる。024-942-2250。営業時間は11:00〜17:00、定休日休みは美術館に準ずる。
住所:福島県郡山市安原町字大谷地130-2
TEL:0249-56-2200
営業時間:9:30~17:00(最終入館 16:30)
定休日:月休(祝の場合は開館、翌日休)。2026年1月19日~30日は、展示替えのため休館
観覧料:200円(企画展は別途)
1992年開館。
3. 築約14年の酒蔵を再生した、新たな表現の場。〈はじまりの美術館〉設計:竹原義二

長さ十八間(約33m)もの大梁を持つ、通称「十八間蔵」。東日本大震災で半壊したその建物を、アール・ブリュットや現代美術を展示する美術館へと再生した。設計は、素材使いと光の操作に定評のある建築家・竹原義二。館内の3分の1は誰もが自由に出入りできる土間の多目的スペース、残りが靴を脱いであがる展示空間だ。

足元に敷き詰められているのは約13,000個の木レンガ。コンクリートブロックで囲われた3つの小部屋の床は表面に削り跡を残した仕上げで、違う質感を楽しみながら歩く。「既存の梁柱など残すべきものと、改変すべきものを精査したうえで融合させているのがすごいですよね」と学芸員の大政愛さん。体温を感じる建築と生命力にあふれたアートがここで出合い、新たな表現を模索する。その進化に注目だ。

住所:福島県耶麻郡猪苗代町新町4873
TEL:0242-62-3454
営業時間:10:00~18:00
定休日:火休(祝の場合、翌休)、展示替え期間休
観覧料:展覧会により異なる
2014年開館。スタッフが一から作り上げる企画展は年5回程度開催。
4. 五感で縄文を楽しむフィールドミュージアム〈浦尻貝塚 縄文の丘公園 貝塚観察館〉設計:アキアーキデザイン

常磐自動車道・浪江ICから車で約15分。浦尻海岸を見晴らす高台に浦尻貝塚縄文の丘公園はある。ここは、縄文時代の集落遺跡「浦尻貝塚」のために整備された野外博物館。約7haの敷地では貝塚のほか、住居や墓、木の実を貯蔵する穴などが発掘されている。「まずはガイダンス棟で情報収集するのがおすすめです」と南相馬市教育委員会文化財課の林紘太郎さん。

公園の北端にある〈貝塚観察館〉までは、フィールドワークしながらゆっくり歩いても20分ほどで到着する。目の前に広がるのは最低限の解説などが設けられた“何もない原っぱ”。不思議とそれが「ここを縄文人が歩いたのかも……」などと好奇心をかきたてる。そうしてたどり着いた観察館では、実際の貝塚からはぎとった地層を豪快に立体展示。縄文がグッと近くなること請け合いだ。

住所:福島県南相馬市小高区浦尻字南台4-1
TEL:0244-24-5284(南相馬市教育委員会文化財課)
営業時間:9:00~17:00
定休日:年末年始休
観覧料:入館料無料
縄文の丘公園では、休日のみ文化遺産サポーターによるガイドなどを実施(冬季休止あり)。
5. 世界が注目。図書館を中心とした市民のオアシス。〈須賀川市民交流センターtette〉設計:石本建築事務所+畝森泰行

愛称は「テッテ」。震災で被害を受けた中心市街地再生のため、人々が「手と手」を結んで作った市民の場だ。図書館を中心に、ミュージアムや公民館の機能を融合させた空間は複合文化施設のパイオニア。海外からの見学者も多いそうだ。見どころは、各階が“ずれながら”積み重なり、スロープや階段でゆるくつながっていること。

「須賀川市はウルトラマンを生んだ円谷英二監督の故郷。5階の〈円谷英二ミュージアム〉に来た人が、そのまま3、4階の図書館に立ち寄ったり、1階のカフェでひと息ついたり。目的を超えた楽しみと出合えるんです」とスタッフの横田光洋さんは言う。1階には大通りのような吹き抜け通路。坂道が多い須賀川の街とつながるように、床がゆるりと傾斜している。館内のあちこちに書架があり、読書コーナーや縁側みたいなテラスなど、ちょっと座りたくなる居場所もたくさん。市民も観光客も制服姿の学生も、垣根なく過ごせるのがうれしい。
美術館内のカフェ:Treats(トリーツ)

1階には公募によるチャレンジショップが4店。その一つが香り高いドリップコーヒー500円〜で人気のカフェ。平日11:00〜17:00ほか。火曜休。
住所:福島県須賀川市中町4-1
TEL:0248-73-4407
営業時間:9:00~21:00(日祝~20:00)
定休日:第3火休(営業時間や休みは施設による)
2019年開館。図書館、生涯学習・市民活動施設、子育て支援施設、〈円谷英二ミュージアム〉を有する5階建て。
















