きゃりーぱみゅぱみゅの大人なLADYになるわよコラム~第69回 若い子たちに声がけするわよ~
第69回 若い子たちに声がけするわよ
皆さま、ごきげんよう。最近、若い子を助けたい精神に火がついている、きゃりーぱみゅぱみゅです。

私は普段からわりと自分の周囲の人、例えば、きゃりーチームのダンサーさんやスタッフさんが元気なさそうにしてると「大丈夫かな?」と気になって、相談に乗ったりするほうだと思います。
それが最近は、きゃりーチーム以外の特に若い子たちに対しても、何か力になれたらと思うようになりました。
というのも、みんないつもめちゃくちゃ忙しそうにしているからです。
社会に出てひたすら忙しい毎日が続くと、どこかでしんどくなって体調を崩したりすることが必然的に起きてしまいます。
「これは心の成長痛なんだ」
私は仕事に押しつぶされそうなときは、そう自分に言い聞かせて乗り越えていました。
なんかめっちゃストイックですね(笑)。
だけど今、振り返ってみて、やっぱり一番の支えになったのは、話を聞いてくれる人の存在だったと思うんですよね。
私の場合は、めちゃくちゃ気の合うレコード会社のディレクターさんがよき相談相手でした。
それと、彼氏がいたのも大きかったと思います。
その2人に対して、人には話しづらいけど本当は聞いてほしい話をできたからこそ、私はソロであっても、一人ぼっちにならずに済んだんだなあと。
おかげさまでこの仕事を辞めたいなと思ったり、病んだりしたことが一度もないまま、デビューからもうすぐ14年が経とうとしています。
若い子たちが忙しすぎてしんどくなっちゃう前に、耳を傾けてあげることで少しでも楽にしてあげたいという気持ちが芽生えてきました。
今度は、私が話を聞く番です。

さて、ここで問題です。
“忙しいとなくなるもの”って、いったい何だと思いますか?
ぜひ、ちょっと考えてみてください☺️
答えは「時間」とか「連絡」とかいろいろあると思うんですけど、人は忙しいと「心」がなくなります。
「心」に「亡」と書いて「忙」になるからだと、武田鉄矢さんか誰かが言ってました。
要するに、心にゆとりがなくなっちゃうんですね。
日々いろいろ発生するトラブルって、いつもだいたいその余裕のなさに根本的な原因があったりします。
実際につい最近の私も、子育てをしながら産後初の新曲リリースやライブが立て続いたせいで、ちょっと余裕がなくなってしまったんだと思います。
些細なことで苛立って、夫婦喧嘩をしてしまいました。
キッカケは、9カ月になる我が子のパジャマでした。
太ももがむき出しになる“脚なし”パジャマはすでに持ってるので、半袖で半ズボンになっているパジャマをずっとH&Mのアプリで探していたんですね。
そして、1日中忙しくてクタクタになったある日。
ヘロヘロになって帰宅した私を、夫のしょーのさんが「じゃじゃーん」と言ってH&Mの袋を見せながら迎えてくれました。
私がずっとパジャマを探しているのをどこかで見ていて、サプライズで買ってきてくれたんだ⋯と思いつつ袋をオープン。
はい、脚なしパジャマ〜。
思わずブチギレてしまいました。
「え、なんでこれ買ってんの? 脚なしはめっちゃあるじゃん。クローゼット見てきたら?😡」
「よかれと思って買ったのに、その言い方はやばいよ⋯😰」
「いや、ぜんぜんやばくないんだけど。脚なしは死ぬほどある。今見てきたら?😡」
いやいや、やばいですよ💦 このときの私はどうかしてたと思います。
こうやって人は、忙しくていっぱいいっぱいになると人格が変わっちゃうんですよね。

ちなみに、めちゃくちゃ忙しいはずのNumber_iの平野紫耀くんは、ぶっ壊れた様子がまったくなくて逆に驚かされました。
私のラジオ番組にゲストで来ていただいたんですけど、とにかく健&全。
ぶっちゃけ最初は「あれだけ売れてたらそりゃチヤホヤもされるだろうし、きっとどこかしらおかしな気配がにじみ出てるはず⋯」と、思っていたんですよね。
でも話せば話すほど、いい意味でめちゃくちゃ普通な感じがにじみ出てきたというか、人としてあまりに正常すぎ。
つい「なんでそんなに普通なんですか?」と聞いてしまったほどです。
どうもその秘訣は、オフの日に遊んでる相手にあるっぽいんですよね。
バイク仲間の一般人のおじさんとか、そういう人ばかりと遊んでるんだそうです。
つまり、夜の西麻布でウェーイwwwしがちな芸能人コミュニティにいない。
利害関係とかがない健康的な素人のおじさんたちと、お日様の光を浴びながらのほほんと遊んでいるので、気分もリフレッシュできるし、心にゆとりも生まれるというわけなんですね。
もちろん変な罠にもかからないし、港区女子的な女子に狙われることもありません(笑)。
いや〜、私も、その“健康的な素人のおじさん”みたいになれたらいいな。
若い子たちが忙しすぎて心をなくしてしまう前に、いろいろ話を聞いてあげたい。
まあ、自分も別に利害関係とかないし、人になかなか言えないことをみんなから思い切ってぶつけてもらえる存在になりたいです。

ましてや今って、職場のZ世代に対して年上側が何も聞けなくなってるみたいなんですよね。
変な発言をすると、ハラスメントになりかねないからです。
昔は「彼氏いるの?」もひとつのコミュニケーションだったけど、今や「どこ住んでるの?」とか「地元どこ?」という話すらできなくなっていると聞きました。
ただ、そうなると、若者側は何も聞かれないからますます話そうとしなくなるだろうし、いざ本当にしんどくなったときにSOSすら発してくれなくなったら、これはマジでまずいと思うんですよね。
Z世代は、何かあるとすぐに「死にたい」と言う、という話も聞きました。
昔の人間からすると「死にたい」なんて軽々しく口にできない言葉だから理解不能だし、「最近の若者は根性がない」で片付けてしまいがちです。
だけどこれって、新・旧世代の間に“何も聞かれない/聞けない”という分厚い壁ができてしまった結果だったりするのかもしれません。
「死にたい」は、壁のせいで若者が一人ぼっちになって、一人じゃどうにもならなくなって限界を迎えたときに出てくる言葉な気がするんですよね。

だからこそ、若い子たちの話をこっちから積極的に聞いてあげないといけないよな、と思う今日この頃です。
もっとも、人はそれぞれ置かれた環境がぜんぜん違うから、完全に気持ちを理解してあげることは難しいかもしれません。
私が「こうしたらいいんじゃない?」とアドバイスしてみても、それは理想論に過ぎなくて、現実的には「いや〜、そうはいかないんですよ⋯」となってしまうこともありそうです。
でも社会人の先輩として、気持ちよく仕事できて、自分の能力を十二分に発揮できる環境づくりを一緒に考えたいんですよね。
人生は長いです。
過去を振り返ったときに「あのとき頑張っておいてよかったな」とか「あのとき楽しかったな」と思えるほうが絶対にいいです。
それに「マジ辞めたい」とか考えながらずっと仕事するのって、最悪ですもんね。
めんどくせー先輩だなと内心思われるかもしれないし、自分でもちょっと熱血教師っぽいと思うところもあるんですが、これは大切なことなんだと信じて、後輩たちに声をかけていこうと思います🙋♀️



















