きゃりーぱみゅぱみゅの 「大人なLADYになるわよコラム」第46回〜『きゃりー姉さんになったわよ』〜

LEARN 2023.04.26

きゃりーぱみゅぱみゅが「大人なLADY」を目指す日々を綴る連載。おかげさまで、話題沸騰です。第46回は「結婚」について。

『きゃりー姉さんになったわよ』

皆さま、ごきげんよう。先日急に結婚をした、きゃりーぱみゅぱみゅです。

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今までこのコラムでさんざん「モテねー」「結婚できねー」「恋愛わかんねー」といったことを書いてきたので、「急に結婚かい!」って思ってる方もいらっしゃるんじゃないかと思います。

でも、マジで急プロ(編注:急なプロポーズ)だったんですよ。

「自分自身もびっくりした」とコメントしたくらい本当に突然で、その瞬間まで自分の人生において、結婚のけの字も考えたことがありませんでした。

だから急プロされて一瞬パニクってしまったんですけど、「この人となら一緒にバイトしたい」って思ったんです。

相手も俳優さんでお互い人気があってのお仕事だから、この先何があるかわからないけど、何があっても一緒に楽しく生きていけるかなって…。

まあ、それだけ“大の仲良し”というわけです。

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なので皆さん、結婚は急に来ます。

ただ、結婚しても基本的に何も変わらなくて、唯一変わったなと思えるのは、家族が増えたことくらい。

でも、この変化は私的にはすごく大きくて、今までの人生で経験したことがない多幸感に包まれています。

というのも私は一人っ子で、おじいちゃんとおばあちゃんはみんなもう亡くなっているし、基本的に両親と私の3人+愛犬のあめちゃんしかいない世界で暮らしてきました。

それに対して相手はきょうだいがたくさんいて、しかも私の3つ下なので、一気に“きゃりー姉さん”になったという感じがします。

人数の多い家族の会合はほんとにぎやかで、毎回「もう明日死ぬんか?」みたいな量のご馳走が出されるんですよ。

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相手のおばあちゃんもわざわざ大阪から来てくれて、「きゃりーちゃんが出てるテレビを観たり、ラジオを聴いてるよ~」と言ってくれました。マジで新たなおばあちゃんができたみたいな感じです。

そんなエリザベス女王みたいな、めっちゃおしゃれなおばあちゃんとファッションの話をしたり、スカーフをプレゼントしたり。あとは、妹さんとガールズトークをして盛り上がったり。

そうやって大きな家族でワチャワチャしていると、「わ、温かいな~」って本当に思います。ああ、こういう大勢の家族に包まれる感覚を実は求めていたんだなあ…と。

私は仕事でもソロアーティストだし、プライベートでも一人っ子だし、やっぱりひとりって不安です。

うちの両親が揉めたときもそれが全部私に来ちゃうし、この先、両親が老いていったときに、どうサポートしていけばいいんだろう?とか考えてしまうこともあります。

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「もうお父さんと一緒にいたくない」

そんな言葉が、憔悴しきったお母さんの口から出てきたときはびっくりしました。わりと最近の話です。

いつも一緒にいるから仲がいいんだろうな~とばかり思ってたら、突然訪れた熟年離婚の危機。

原因は、お父さんの“言い方”でした。お母さんが「ごはん食べよう」と言っても、お父さんは「俺はいらない」とバサッと切るように言うので、それがチリツモで重なっていったようです。

だけど、お母さんもお母さんで悪いクセがあって、「あのとき、お父さんにこう言われた」とか過去の話をずーっとするんですよね…。

というわけで実家に帰って、両親を交えて3人で話し合いをすることにしました。だけど、お互いに「でもさー」みたいな感じで言い合いになってしまい、一向に歩み寄ろうとしてくれません。

そこで、ひとりずつ2階に呼び出して、個別に話をすることにしました。

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まずは、お母さん。ずーっと怒ってても未来は変えられないし、とにかく「明日からの生まれ変わったお父さんだけを見てあげて」と、私は言いました。

いや、過去をほじくり返してしまうお母さんの気持ちはわかるんですよ?

実際に私も、最高なひとときを過ごしているときに限って、「今はこんなに楽しいけど、だからこそ私は忘れはしない。あのとき、あんな無礼なことをしたことを…許せん~!」となってしまう“思い出し怒りん坊”ですからね(遺伝か?)。

でも、「あのとき、ああだったじゃん!」じゃ絶対にうまくいかないわけで、いくら反省して直そうとしても過去をほじくり返されるばかりだと、相手もやる気をなくしてしまいます。

やっぱり人間どこかで一度許すというか、たとえ許せないにしても「いったん水に流そうよ」という話をお母さんにしました。

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次は、お父さんの番です。開口一番「ほんとに離婚されるよ?」と言いました。

お父さんって昔気質なところがあって、お母さんの前では気持ちを素直に伝えられない性格です。私にはLINEで「3日後、お母さんの誕生日です」とか言ってくるのに、直接お母さんには「おめでとう」のおの字も言わないタイプなんです。

案の定、3人で話し合いしてるときも意固地になって、「そーだそーだ、別居だ~!」みたいな感じになってしまいました。

だけど2階に呼び出して、サシで面と向かって「お母さんがあんなに憔悴してるの見たことないし、どうしたいの? 一緒にいたいの?」と聞いてみたら、

「…一緒にいたいです」とお父さん。

「だったら…」と私は話を続けました。

例えば、バサッと切る言い方をしないようにするだとか、あと、青信号が点滅したときも、お母さんをおいてひとりで走って道を渡らないようにするだとか。

「本当に明日から生まれ変わらないとダメだよ」

もっとお母さんに気を配ってほしいと伝えました。

とにかく、「ありがとう」と「ごめんね」をちゃんと言える関係にもう一度なろうよっていうことなんですよね。それがふたりの関係から欠落しています。

やっぱり長年連れ添うと、いつしか当たり前のことを人間誰しも忘れてしまうんでしょうね。いや~、結婚生活って難しい。私はしたばかりだけど…。

次の日からは、こんな感じでお父さんから“仲良し報告”が家族のグループLINEに来るようになりました。これがもう2カ月くらい毎日続いています。

あれだけ毎日言い合いをしてたのに、それがピタリとなくなるだなんて…。改めて一人娘の影響力っていうものを感じます。

まあでもその半面、ライブに集中したいときとかでも問答無用で、両親の不満のはけ口が一人っ子の私に集中しちゃうんですけどね。

だから、そういうときにきょうだいがいるっていいよなあ…とずっと思ってたし、今こうして結婚して新たな家族ができたことで、その呪縛から解放された気持ちなんだと思います。

そんなわけで、結婚して特に何も変わってないけど、そこがめっちゃ変わりました。

毎回行くたびに相手の家で出される「明日死ぬんか?」という量のご馳走を見て、つくづくそう思います。

だけど、まさかそれを食べた帰りのサービスエリアで、お母さんが「うどん食べたい」と言い出すとは思わなかった…?

「俺はいらない」と言いそうになっているお父さんを止めて、「じゃあ、一緒に食べよう」と、お母さんのうどんを一本だけもらって“一緒に食べた風”にした私。

マジでお腹がはちきれそうだったけど「お父さんもこういうことやりな」と、あとでこっそり教えてあげました。

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