信じるものは救われる! 建築史家・五十嵐太郎が選ぶ未来の聖地【後編】
LEARN 2023.01.03
数多くの建物や場所を訪れてきた建築史家の五十嵐太郎さんが考える〝気のいい場所〟とは?〝聖地〟となる可能性を秘めた現代のパワースポットを挙げてもらいました。
TUNNEL OF LIGHT [新潟]/マ・ヤンソン/MADアーキテクツ
自然の五大要素(木、土、金属、火、水)を利用しながらトンネルを変容させた、「大地の芸術祭」のアート作品。中国の建築家で世界的に活躍するマ・ヤンソン / MADアーキテクツによる作品。「全長750mのトンネルから外を望む見晴らし所をいくつかつくったなかでも、水盤を通して風景を見る『ライトケーブ(光の洞窟)』は特に鮮烈な効果が生まれています」
水庭[栃木]/石上純也
カルチャーリゾート〈アートビオトープ那須〉の中につくられたボタニカルガーデンで、建築家の石上純也による設計。移植した318本の樹木と人工的につくった160の池で、地面と水路が複雑に混ざり合う。「一見すると自然の風景に見えるけど、よく見ると不自然という不思議なデザイン。和風でもヨーロッパの様式の庭園でもない、絵画に描いたような非日常の空間です」
小田原文化財団 江之浦測候所[神奈川]/杉本博司
現代美術作家・杉本博司自らが全体を設計した、文化芸術の発信地。人類とアートの起源でもある天空を測候することに立ち戻って構想された。「冬至や夏至に太陽の光が作品に入るシンボリックなデザインは、古代の聖なるボキャブラリーに通じるもの。敷地には杉本さんが各地で収集したコレクションがちりばめられていて、時代感覚や価値観が揺さぶられます」