都会のオアシス「皇居」。皇居東御苑、皇居外苑の見どころは?
皇居一帯には、江戸城の栄華を伝える遺構がそこかしこに。ナビゲーターの萩原さんが推す「石垣観賞スポット」も含めて、見どころをご紹介。江戸の世を想像しながら散策してみて。
POINT #01 高い防御機能と風格を備えた江戸城の堂々たる正門
江戸城の正門「大手門」は威風堂々の佇まい。高麗門と渡櫓門からなる桝形門で、1620年の修復で伊達政宗らによって現在の形になったとされる。 皇居東御苑への出入りは、大手門、平川門、北詰橋門から。
POINT #02 建物の長さは45m!江戸城最大の検問所
皇居東御苑には警護施設の番所が3つ残り、江戸城の強固なセキュリティを物語る。こちらの「百人番所」は江戸時代から残る数少ない遺構。南北45mの長さの建物に、4組の「鉄砲百人組」が昼夜交代で警護にあたった。
POINT #03 徳川家の権威を象徴する巨石の石垣は見ごたえ十分
大手三の門の先にある中之門の門跡。「城内で最大級の巨石を使い、横に目地を通した布積みが特徴です。ここは大名の登城ルートにあり、徳川家の権威を見せつけるべく美観重視で造られたと考えられます」(萩原さん)
POINT #04 年末年始はライトアップも。現存する唯一の三重櫓
物見や武器庫として使われた櫓は江戸城に19基あったが、現存するのは3基。「富士見櫓」は三重の屋根を持ち、焼失した天守代用の役目も。江戸時代には、将軍がこの櫓から富士山や両国の花火を眺めることもあったとか。
POINT #05 家康時代の石垣は必見!中之門跡との違いも楽しんで
本丸と二の丸を隔てる「白鳥濠」。江戸城の中では最古級の石垣とされる。「家康が築城した当初に使われた伊豆産の安山岩で、乱積み、打ち込み接ぎという城内では古い技法です。中之門跡とは違う荒々しい表情に注目」
POINT #06 「都道府県の木」が一堂に。多様な木々を眺めて散策を
皇居東御苑の公開に際し、47都道府県から寄贈された木を植えた一角。エゾマツ、ケヤキ、イチョウ、オリーブなど各都道府県を代表する木は、「なるほど!」と納得できるものもあれば意外性のあるものもあり、楽しく観賞できる。
POINT #07 回遊式の「二の丸庭園」に神々しい滝を発見
江戸時代、二の丸には小堀遠州が造ったと伝えられる庭園があった。皇居東御苑の「二の丸庭園」は18世紀半ば頃のこの庭園の図面をもとに造成された。中央に池を配した回遊式で、散策道を進んだ奥には水源と見られる小さな滝も。
POINT #08 技とセンスが光る「天守台」は展望台としても人気
明暦の大火で天守閣が焼失したのちに築かれた、約40m四方、高さ約11mの「天守台」。「石垣築造に長けた前田綱紀が修築し、美しさは特筆もの。方形の石材をすき間なく積み、加工した小石をちりばめて技とセンスが光ります」。
POINT #09 「和田倉噴水公園」は水と緑が広がる憩いの場
1961年に上皇陛下ご成婚を祝して創建された大噴水を、1993年の天皇陛下ご成婚を機に公園として再整備。大噴水の周囲に落水施設や球体噴水のモニュメントが配され、皇居外苑の憩いの場となる。噴水は1時間に数回上がる。
POINT #10 お濠にすむコブハクチョウは皇居外苑のシンボル
緑豊かな皇居は、鳥や虫たちの絶好のすみかでもある。なかでも1953年に放鳥されて以来、各所の濠に定住するコブハクチョウは、優雅な姿で人々を楽しませる人気者。お濠には冬になるとハシビロガモなど多くの渡り鳥も飛来する。
POINT #11 大奥の女中たちも行き交った木製の「平川橋」
徳川御三卿の登城口、大奥の女中が出入りする通用門だったとされる平川門に通じる橋。何度か改修され、1988年に現在の橋に架け替えられた。欄干の装飾の擬宝珠(ぎぼし)には、初代の橋が架けられた慶長や寛永期の刻印が残る。
Navigator…萩原さちこ
はぎわら・さちこ/日本人の知恵や美意識が詰まった城に魅せられ、城巡りをライフワークに。著書に『江戸城の全貌』(さくら舎)など。