暮らしに彩りを添える、ものづくりの最新形。 【京都】文化、美の発信地が祇園に誕生。ここでしか出合えない品々に、心が躍ること間違いなし。

LEARN 2021.09.08

千年もの間、都として栄えた京都。その独自の文化を支えたのが、長い歴史のなかで磨かれ、伝えられてきた手仕事の技術と心。西陣織や京焼・清水焼、京仏具など、暮らしの道具から宗教用品、趣味や遊びのアイテムまで、時代時代の“今”を表現しながら、生活に豊かな彩りを添える。京都には今も工房や専門店が集まり、訪れる人を迎える。

文化や美の発信地として祇園に誕生した新名所。

茶道や華道といった雅な文化が花開き、数多くの神社仏閣が存在する千年の古都。だからこそ、職人技は常に刷新され、粋を極めてきた。祇園の一角に今年1月に誕生した〈ZENBI-鍵善良房-〉は、まさにそんなストーリーを感じられる美術館。祇園で300年続く御菓子司、〈鍵善良房〉の15代当主、今西善也さんが5年の構想の末に完成した。大叔父にあたる12代当主、今西善造さんは多くの文化人や芸術家と交流を深めた人で、店内は文化サロンの役割を果たしていたという。

なかでも木漆工芸家の黒田辰秋に、くずきり用の螺鈿(らでん)細工の器や大棚を作らせたのは有名な話。美術館では黒田の作品を中心に優れた美術工芸を紹介しながら、この街で培われた文化や美を未来へつなげる場所を目指す。「この街から受けた文化の恩恵を広く知っていただき、文化サロンのような場を継承していきたい」という今西さん。展覧会の総合プロデュースは、幅広いアートシーンで敏腕を振るう井村優三さんが担当。

隣に立つ〈Zplus〉は「手のひらに乗るギフト」をテーマにしたミュージアムショップ。ディレクションはお誂(あつら)えを軸に長年活動する永松仁美さん。京都を代表する作家たちと作り上げた、生活に寄り添う小さな“お誂え”を展開。「京都は職人や作家に直接相談でき、最高の技術と素材によって想いを形にできる稀有な街」。ここでしか出合えない愛らしい品々に心が躍る!

手のひらの上の、小さな“お誂え”。

1.〈一澤信三郎帆布〉のおさんぽバッグ

帆布そのもののオフホワイトで仕立てた筒形のバッグ。使い込むほどに表情が出る。バッグとしてはもちろんインテリアにも。17,600円。

2.〈佃眞吾(つくだしんご)〉の携帯箸箱

木の魅力を生かした制作をする木工作家。箸の収まりのよさ、なめらかな出し入れに感動。ケヤキの箸箱とツゲの箸のセット15,400円。

3.〈染司よしおか〉のいろはりふくろ

植物で染めた木綿生地で仕立てた裁縫セット。針入れと鍵モチーフの糸巻きは金工作家のmaimai。生地の色は全10色。各9,000円。

4.〈Zplusオリジナル〉のクリップとマスキングテープ

黒田辰秋が〈鍵善良房〉のために制作した赤漆宝結文飾板などがモチーフ。マスキングテープ細400円、太500円、クリップ3個入り500円。

5.〈山口晃×鍵善良房〉のオリジナルポストカードセット

現在開催中の個展のきっかけになった「お菓子とお茶のある風景」の絵がポストカードに。やさしいタッチに心が和む。5枚入り1,000円。

6.〈関美穂子〉のオリジナルマッチ箱

レトロなデザインと大胆な色使いが人気の型染め作家、関美穂子。マッチ箱という小さな世界に創造性を感じる。各1,340円。

〈ZENBI(ゼンビ)- 鍵善良房 - KAGIZEN ART MUSEUM〉/祇園

〈鍵善良房〉の15代目が館長を務める美術館。開館記念展は〈鍵善〉が収蔵する黒田辰秋の作品を展示。現在は現代美術家の山口晃展を開催中(11月7日まで)。年3、4回の企画展で、今後は菓子木型展などを予定。館内は木や土壁を使った心地いい空間。
■京都府京都市東山区祇園町南側570-107
■075-561-2875
■10:00~18:00(入館~17:30)月休(祝の場合は翌休)

〈Zplus(ジープラス)〉/祇園

お誂え文化を発信するミュージアムショップ。ディレクションを手がける永松仁美さんの審美眼と作家の創意工夫で仕上げた、伝統の技に新しい要素を加えたオリジナリティが光る品々。企画展と連携した〈鍵善良房〉の限定和菓子やアイテムにも注目。
■京都府京都市東山区祇園町南側570-107
■075-708-7311
■10:00~18:00月休(祝の場合は翌休)

(Hanako1200号掲載/photo : Yoshiko Watanabe text : Natsuko Konagaya)

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