地球にも人にも優しいプロジェクトの取り組みとは? ローラが立ち上げたサステナブルなライフスタイルブランド〈STUDIO R330〉が出来るまで。
現在はロサンゼルスを拠点に活動するローラさん。彼女が立ち上げたライフスタイルブランド〈STUDIO R330〉は、「地球にも人にも優しいことを、できる事から少しずつ始めていきたい」との思いから、約2年の歳月をかけて実現させたプロジェクト。ワークアウトウエアを皮切りにデニムなど、トレンドに左右されないサステナブルなウェアには、身体も心も地球にも心地良いと思えるライフスタイルを提案したいとの想いがあった。(PR/伊藤忠商事)
■私が〈STUDIO R330〉をつくった理由。
ポジティブな人生を歩むために。
きっかけは3年ほど前でした。その時の私は、公私共に色々な変化があり、自分を見失いそうになっていたんです。このままではいけないと、まず自分の全てを受け入れ、そして自分の心と体をもっと大切にしようと、運動や瞑想を生活の中に取り入れることにしました。体を動かす時間を増やしたら心も体もどんどんポジティブな方向へ向いていくのを感じて、この素晴らしさをもっとたくさんの人に伝えていきたい、私の好きなライフスタイルを環境に負荷を掛けずに実現したいと思い、このブランドをはじめることを決意したんです。
私にできる環境問題への取り組み。
“Essentials for a good life”(クオリティライフに必要なもの)をコンセプトに掲げています。これはウェアの展開だけでなく、色々な角度から人にも環境にも優しいことを実現していくプロジェクト。時が経っても良質でずっと長く使いたいと思えるもの、日々の生活がわくわくできるものを、クリエイティブかつ環境にやさしい形で作っていきたい。でも環境問題って幅広い。だから私ができることで上手く貢献&好循環させていきたいなと思っています。さらにトレンドに左右されないアイテムやアート、コンテンツをタイムリーに発信していて、このライフスタイルブランドを通して、植樹活動など、地球や人への貢献を楽しく進めています。
ブランド名に込められた意味。
〈STUDIO R330〉のブランド名は私が考えました。「スタジオ」と付けたのは、14年以上モデルのお仕事をしてきて、スタジオの中でたくさんのクリエイティブチームと一緒に作品を作ってきたので、スタジオ=クリエイティブに新しいアイディアやアートを生み出すという認識の中で生まれた言葉です。私の家も、くつろぐ場所だけじゃなくて、オフィスでもあり、スタジオのような世界観を残し、いつでもアイディアやインスピレーションが生まれる心地いい空間にしています。「R」はreuse、recycle、reduceの3つのキーワードから、そして私の頭文字。「330」は私が生まれた月日で、この数字にはとても感謝しています。
■ローラさんの想いを実現させるまで。
実際にローラさんのブランド〈STUDIO R330〉の制作に携わったご担当者2名に、ハナコラボ パートナーの花井悠希さんがインタビュー。アーティスト活動の傍ら、自らファッションブランドもプロデュースする彼女が、〈伊藤忠商事〉のスポーツウェア課・清田進之介さん、〈ITOCHU PROMINENT USA LLC〉への出向でニューヨークに駐在している山口大輔さんに、その道のりについてインタビューしました。
花井:まず、どういった経緯でローラさんのブランド話が持ち上がったのですか?
清田:社内のブランドビジネスを担当している先輩からの紹介です。スポーツウェアは通常のアパレルとは若干違う特殊な世界。ファッション性に加えて機能やスペックなどが求められるので。その分野で、はえぬきだった自分に話が巡ってきたのだと思います。
花井:ローラさんからはどんなリクエストが?
清田:主に素材に関して、です。デザインはローラさんご自身が手掛けていらっしゃる部分が大きかったのですが、ご自身もスポーツをされるので、使いやすさと着用感には特にこだわっておられました。
花井:そして今回のキーとなる地球環境に優しいことですね。
清田:はい。〈伊藤忠〉は繊維が祖業で長年の歴史があり、リサイクル素材に関しても何年も前から知見があったんです。提案したのは、〈日本環境設計株式会社〉が展開している服の回収からリサイクル、再生素材を使った洋服の販売までを行うブランド〈BRING™〉です。アパレル企業を中心に約80社の企業や消費者から回収した古着を独自の最新技術で新しいポリエステル素材に再生するもの。再生生地は新品のポリエステルと変わらない品質で、何度でも再生することができるんです。これなら服のゴミを減らすとともに石油の使用量削減にも貢献できる。〈BRING™〉によってつくられた生地、糸は「BRING Material™」と呼ばれ、R330のスポーツウェアのポリエステル部分は全てこの原料で成り立っています。ちなみに、ワークアウトウエアに使用している生地は一年以上かけて開発しました。また社内で女性用の下着を手掛けるインナー課とも連携して、インナー特有の裁断パターンをトップスに応用するなど、着心地にもとことんこだわりました。
花井:デニムの立ち上げも同じ時期に話があったのですか?
山口:デニムに関しては、スポーツウェアの次に話がありました。ただサステナブルなデニムを作るというのは大変なことで「本気でやらないと痛い目に合いますよ」と当初、私はローラさんに何度も意思確認をしました。でも彼女は本気だったんです。それならば、と私も〈サイテックス〉という世界でもっともサステナブルでクリーンなデニム工場のCEOを紹介しました。
花井:〈サイテックス〉って〈エバーレーン〉とか海外のブランドも御用達で、今注目されていますよね。
山口:はい。〈サイテックス〉のCEOは僕がホーチミン駐在中に知り合い、友人としても親交を深めていた人物だったんです。このデニム工場では、生産時に使用する水の98%をリサイクルしたり、バイオマス発電やソーラーパネルでの発電によってCO2排出量を大幅に削減したり。他にも最先端のエアドライシステムを導入し、乾燥にかかる85%のエネルギーやCO2排出量も削減するなど今、世界の名だたるブランドが注目している工場なんです。
花井:すごい!もうSDGsは目標じゃなく、現実に行われているんですね。
清田:服って、これからは買う価値があるかを、いかに伝えていくかという時代。ブランドの大小ではなく、こういうストーリーがあるからこの商品があるというバックグラウンドがますます重要になっています。
山口:デニムも今後はアップサイクルを考える時代。いらなくなったデニムを回収してリペアやアップサイクルで、いかに捨てずに服を活かすかを考えるフェーズにきたと思うんです。例えば、デニムの裁断クズを家具や什器などに利用するなど、循環するビジネスを考えるのも作る側の責任ですよね。
■サステナブル・ポイント
1:デニムは「今、世界で一番エシカル&サステナブルなデニムを作る」と言われる南ベトナム〈サイテックス〉が縫製と加工を担当。
デニム生産時に使用する水の98%をリサイクル、バイオマス発電やソーラーパネルでの発電でCO2排出量を大幅に削減。そのほか森林保護や効率的な農園管理システム、雇用や福祉の面でも画期的な工場と提携している。
2:ワークアウトウエア素材は、衣類やプラスチック製品等のリサイクルに取り組む〈日本環境設計株式会社〉のリサイクルポリエステル「BRING Material™」を使用。
ワークアウトウエアに使用する素材は〈日本環境設計株式会社〉が展開するサステナブルブランド〈BRING™〉が手掛けるリサイクルポリエステル「BRING Material™」を使用したブランドオリジナル生地を一年以上かけて開発。廃棄品を減らし、CO2の削減に貢献する。
3:商品以外の付属物、梱包袋、雑貨にもサスティナブルを徹底。
付属物に関しても、タグや紐には100%FSC承認材、パッケージングにはペットボトル由来のリサイクルポリエステルを100%使用。発送用ボックスにも通常では廃棄されるカカオ豆の皮を配合した再生紙を使用するなど環境に配慮した取り組みを行う。また、デニムとシャツシリーズの梱包用の袋にもオーガニックコットンを100%使用。袋は開封後、ランドリーバッグとして日常で繰り返し使うことができる。ヨガマットにもリサイクル可能なTPE素材を使用している。
■〈伊藤忠〉が開発したサステナブルなアパレル市場について。
山口:アパレル界でのサステナブルな取り組みは、我々も従来から取り組んでいますが、一般の方に広く周知することが難しいというジレンマがありました。それをローラさんのような発信力のある人の言葉を通して知ってもらえるというのは、ありがたいし、画期的なことですね。
清田:このブランドを知ってサステナビリティやSDGsに対して考えるようになったという人が結構いるんです。それを聞いて、こういった草の根活動は大切だなと。もちろん、自分が手掛けたというだけでも世の中のためになっていることは実感できますが、今は商品力だけでなく、その人の考え方も含めて支持し、追いかけてゆく時代。自分の手掛けた仕事がローラさんの発信力でさらに広がってくれれば、こんなにうれしいことはありません。
花井:私、生地屋さんにこまめに行って膨大な量の生地を毎シーズンチェックしているのですが、ここ1年くらいでぐっとサステナブルの生地が増えバリエーションも増え、選択肢の一つに自然と入ってくるように感じていました。今回その縫製や洗いの加工においてサステナブルを徹底する〈サイテックス社〉との協業ときき、さらに一歩先が切り開かれていく瞬間に立ち会えたような気持ちになりました。
「私も最近ゆるりと習い始めたバレエや、たまに行くボルダリングの際にスポーツウエアを着用していますが、動きやすさに加えて、普段の服装ではなかなかチャレンジ出来ていないスポーツMIXのファッションを楽しめるアイテムだとついつい手に取りたくなります。道中もいつもと違ったファッションを楽しみたいですからね。ちなみにデニムは私にとって必需品。スキニーなどをオーバーサイズのニットやシャツなどと合わせて着用しています。
私にとってローラさんはストイックなイメージがあったので、サステナブルなウェアをローラさんが手掛けたと聞いて、その組み合わせはリンクしやすく納得の印象。でもこうして色んな知識や経験を持つ人と交わることで、さらに理想の先を目指す事ができるんだと、チームをクロスオーバーさせることの大切さを改めて感じました。
もうサステナブル生地は、“サステナブルだから選ぶ”という観点から、純粋にいい生地だから選ぶというフェーズに入ったんですね」。
■花井悠希さん
〈1966カルテット〉のメンバーで、レディースブランド〈PANORMO〉デザイナー。クラシックからビートルズまで演奏する自身の音楽活動と同様に、自由な発想で、音楽のように生活に彩りを与えるようなブランドをスタート。演奏をする人と聴きに行く人へ向けてのドレスアップスタイルを中心に、オフにも映えるワンピースやセットアップなどライトオケージョンのファッションを提案する。