世界中で愛された「心のバイブル」も。 尼さん5人に聞いた!生きるヒントを得た本・映画・音楽9選
尼僧5人が“学び”を得たカルチャーとは?生きるヒントを見出した、本・映画・音楽の9作品をお届け。
星野道夫『旅をする木』おごらずに生きるために自然の雄大さを再確認。
「星野道夫さんの文体とアラスカの大自然に癒されます。自然の中では人間は小さな存在。自分の悩みがちっぽけに思えてくるんです。仏教にも通じる考えですが、“人間はなんでもコントロールできる”とおごってはいけないということを再確認させてくれます」(掬池友絢さん)。
サン=テグジュペリ『星の王子さま』人を大切にする尊さを伝える世界中で愛された物語。
「学生時代からの心のバイブル。星の王子さまとキツネのバラのエピソードが心に残っていて、人を大切に思うということは、その人のために時間をかけたり労力を注ぐこと。そして、時間をかけたり労力を注ぐほど大切になるのだと知りました」(冨岡宥心さん)。
宮沢賢治『宮沢賢治全集』宮沢賢治の文学に大きな影響を与えた「法華経」。
「青年期に『法華経』に出会い、生涯愛したといわれる宮沢賢治ですが、その精神は彼の文学世界にも濃く現れています。人間のちっぽけな部分や、また反対に人間の素晴らしさ、そしてあたたかな仏様の慈悲を感じとれる作品ばかりです」(露の団姫さん)。
砂原秀遍『心で読みたい弘法大師のことば』悩める人々を導く、弘法大師・空海の言葉。
「弘法大師・空海さんの言葉が好きです。平安時代に中国から密教を持ち込み、庶民のための私立学校を作った人。この本はわかりやすい解説で言葉が染み込んできます。何かに迷ったり悩んだりしたときにふと読み返すことがあります」(冨岡宥心さん)。
大橋照枝『幸福立国 ブータン』真の幸福について考え、“幸福な国”から学ぶ。
「影響を受けたのは“国民の97%が『幸せ』と答える国ブータン”について、総合的に紹介してくれるこの本です。経済の発展だけでは幸福度は測れないと考える人が増えてきた今、私たちはどう生きるべきなのか。幸せや経済について、考えさせられます」(光誉祐華さん)。
訳・中村 元『ブッダの真理のことば 感興のことば』生活の指針になるブッダの言葉と出会う。
「真理のことば(ダンマパタ)は法句経という名で知られ、原始経典の一つとされています。お釈迦様の生のことばが記されているといわれていて、生活の指標となるような、はっとするような教えが書かれているんです」(掬池友絢さん)。
監督・ルカ・グァダニー『 君の名前で僕を呼んで 』恋の輝きと終わりを描く、悲しく美しい映画。
「失恋した息子に対し父親が『痛みを葬るな』と伝えた場面が印象的。痛みに向き合い人生の糧にしていく。私自身、人から相談を受けたときなどには、“痛みを知っている"ということは“誰かに寄り添える力になる”と話します」(掬池友絢さん)。
監督・高畑 勲『かぐや姫の物語』人の心の機微と宇宙を描く壮大なアニメーション。
「“姫の犯した罪と罰”というコピーがとても印象的だったこの作品は、かぐや姫という一人の人間の心の動きから、最終的には『宇宙の導き』のような壮大なスケールで物語が展開していき、鑑賞後の余韻が忘れられません」(香有さん)。
中島みゆき『宙船』心から信頼する人は誰かを問い直されるような一曲。
「歌詞の中に“おまえが消えて喜ぶ者におまえのオールを任せるな”とありますが、このフレーズを聞くと、自分の本当に信頼する人を見極めて歩もう、八方美人になってはいけない、とキリッとした気持ちになります」(露の団姫さん)。
(Hanako1180号掲載/photo : Maruo Kono text : Satoko Muroga, Rio Hirai)