LUSH SPAのマッサージで、疲れを大海原に放つ | ゆるめる23時
一日はあっという間に過ぎていく。起きて、仕事して、合間にごはんを食べて、息をつく間もなく眠りについて。気づいたらカレンダーがどんどん次の日にめくれていく。やるべきことをこなしたり、やりたいことに夢中になったりする時間も大切だけれど、ふと一息、ぴんとはりつめた自分をゆるめる時間をどこかに取り入れられたら。たとえば、眠る前の23時だけでもそんな時間がつくれるように、日々のなかで取り入れられる「ゆるめる」方法をme and youの竹中万季さんが探しにいく体験型のコラム連載です。
お風呂の時間が大好きだ。バスタイムは自分一人でじっくり内省する時間でもあり、自分の肌や髪をゆっくり労る時間でもある。パソコンばかりしているわたしにとっては貴重な時間だ。一日の疲れも、心に淀んでいたもやもやも、お風呂からあがるときにはだいぶ流れ落ちて、生まれ変わったようなすっきりした気持ちで眠りにつくことができる。入浴剤を選ぶ時間も大好きで、バスソルトやバスオイルなどいろんな入浴剤を持っているけれど、ときたま使うLUSHのバスボムは見た目も香りも楽しく、スペシャルな気分になる。
そんなLUSHがスパも運営してるとのこと。自分とじっくりと向き合う時間をつくる商品を数多く手がけているLUSHが考えるスパってどんな感じなんだろう、というわくわくを抱えながら、今年7月にオープンしたばかりのLUSH SPA 自由が丘店にお邪魔することに。
LUSH 自由が丘店の店舗の奥には「OPEN THE DOOR AND BEGIN YOUR JOURNEY」と書かれているドアが。どんな旅がはじまるんだろう?とわくわくしながらドアを開けてみる。
LUSH SPAは2009年にロンドンでスタート。心と身体の双方へ働きかけるトリートメントを通して、新しい自分に出会うような感覚をLUSHの商品を通じて体験してほしいという想いから生まれたそう。日本3店舗目となる自由が丘店はイギリスのカントリーコテージから着想を得てつくられ、おしゃれな友達の家にお邪魔したようで居心地がいい。LUSHのプロダクトは家具に置かれ、小鳥のさえずりも聞こえる。一歩入るだけで、店舗とはまったく違った雰囲気だ。
テーブル前の椅子に腰掛け、今回体験するトリートメントについての案内がスタート。バスアイテムを扱うブランドならではという感じで、LUSH SPAには浴槽があるお部屋もあるそう!トリートメントは世界共通で、どれも旅行に行ったような非日常を味わえるようなものばかりだそう。
わたしがこれから体験するのは、一番人気の「ザ グッドアワー」というスパトリートメント。70分間、しっかりと凝りをほぐしてもらえるトリートメントだ。トリートメントの具体的な説明に入る前に、まずはカウンセリングシートに記入していく。ジェンダーや年齢に関しては答える必要はなく、ヴィーガンかどうか、妊娠しているかや体調面については答える欄がある。以前こうしたシートで「既婚か未婚か」という質問欄があったとき、なぜスパを受けるのに自分の婚姻状態が関係があるのだろうと思っていたので、施術に必要なことだけを聞いてくれているという安心感があった。
シートに記入した後も、セラピストの方に触れられたくない場所はないか、不安なことはないか、事前にしっかりと確認してもらえるのでとても安心する。こういう細やかな配慮があることで、安心した時間を過ごせるのだと思う。
「今日のトリートメントでは、海賊船に乗り込んで、大航海の旅に出ていただきます。まずは小さい海をつくるところからトリートメントをはじめていきます」。大航海……!アミューズメントパークに来たような気分になってきた。机の上にある青色のバスボムを手渡しながら、「このポットにバスボムを入れてみてください」とセラピストさん。入れてみると……
しゅわわと溶けて、白い蒸気が。海の香りが立ち込める。これはエーゲ海をイメージした「ビッグ ブルー」というバスボムで、レモンやラベンダー、海のお塩、アカモクと呼ばれる海藻が入っているそう。このポットのなかの小さな海が、のちほどどうなるんだろう?
続いて、トリートメントで使う商品の説明に。使うのはもちろんすべてLUSHの商品だ。緑色のぷるっとした「ジェリーディスク」は、スパのためにつくられたオリジナルの商品。ミントやユーカリの爽やかな香りで、体のどこに乗せてもフィットするように海藻の成分を固めてゼリー状につくられている。まるでサウナの温冷効果のように、セラピストの手が触れて温かくなった肌に、冷やした「ジェリーディスク」を乗せて使うそう。「これで、疲れを大海原に解き放っていきます」という言葉に、思わず「大海原…!」と復唱してしまった。
次に、トリートメント中に使うマッサージバーを5種類の中から選んでいく。フェアトレードのカカオバター、シアバターとエッセンシャルオイルを固めてつくられた商品で、体温で溶かしながらオイルにしてトリートメントをするそう。中に入っているエッセンシャルオイルによって体や心に働きかける効果が違っていて、一つひとつ香りや効能をたしかめながら、一つに絞っていく。わたしが選んだのは「こころ」マッサージバー。ネロリとラベンダーが入っていて、心の調和をとりたい人におすすめとのこと。
これで下準備はおしまい。「準備ができました」のセラピストさんの声で、いよいよトリートメントルームへ。
ドアを開けると、お部屋は深いブルーで彩られ、ベッドがまるで波を漕いでいく船みたいに見える。船の下にあるのは、先程「小さい海」をつくっていたバスボム、「ビッグ ブルー」。白い蒸気による波のような演出とともに、部屋中に海の香りが立ち込める。こんなスパははじめて!
服を脱ぎ、ベッドの上へ。いよいよトリートメントのスタートだ。トリートメントは大航海の旅をテーマにした音楽に合わせながらリズミカルに進んでいく。手でほぐしたり、マッサージバーを滑らせたり、ゼリーでひんやりしたり。次はどうなるんだろう?と物語を読み進めていくようにわくわくする。目を瞑っているからか、肌の感覚や、音、香りがいつもより敏感に感じられるみたい。
お部屋のなかには映画館と同じ5.1chサラウンドシステムのスピーカーを搭載し、臨場感が楽しめるように立体的に聴こえるように設計されているそう。トリートメントが終わる頃には、体がしっかりとほぐれてリラックスしながらも、たった1時間なのにどこか遠い旅に出た後のような新鮮な気持ちで胸がいっぱいになった。
トリートメント後は、温かい紅茶とヴィーガンクッキーを。紅茶は大航海時代にイギリスに伝わったもの。大航海の旅の物語はまだまだ続いていた。トリートメントで使ったマッサージバーが残った場合、お土産としていただけるそうで、「冷蔵庫で冷やして、お風呂上がりにカッサみたいに使うのもいいですよ」とのこと。さっそく、家に帰ってやってみよう。
LUSHは環境や社会に対する影響に配慮した原材料を使ったり、社会課題を根本から解決する小さな草の根団体の活動に寄付・助成される商品「チャリティポット」の販売など、より良い社会を築くための意識を持ちながら企業活動を行っている。最近だと、Marriage for All Japanとコラボレーションして、同性婚の法制化にまつわるキャンペーンを行っていたのも記憶に新しい。「環境問題や政治のことなど、すぐに変えられないこともたくさんあるけれど、LUSHの商品を通じて少しでも苦しい気持ちを変えられたり、寄り添うことができたら、という思いを持っています」。そうLUSHの担当者の方がお話してくれた。
先日発売されたバスボムには、溶かしたら詩が入っているものも。これは創設者のマーク・コンスタンティンさんが一年前にお孫さんを亡くし、イギリスにある「The Poetry Pharmacy(詩の薬局)」というショップで詩を処方され、そのことに救われたことから生まれた商品だそうだ。
お風呂に入ること、詩を読むこと、マッサージすること、音楽を聴くこと……それらは日々の生活を潤し、気持ちを前に向けてくれるけれど、張り詰めた状況にいるときにはそのこと自体を忘れてしまうことがある。そうした状況にいる誰かには、バスボムや詩、音楽を贈ったり、スパに誘ってみたりしてみたい。あまりにもつらい出来事が多い世界だからこそ、世界に思いやりが循環していくことを願いながら、まずは身近な誰かに思いやりを分け合っていきたいと感じた。
深緑の壁には「Slow down to speed up」の文字。日々、やることはたくさんある。忙しく時間に追われるなかで、LUSH SPAの非日常の時間のなかでゆっくり立ち止まって自分と向き合うことで、これから自分は何をすべきなのかが見えてくる気がした。
続けるためにはどうしていけばいいのだろう、ということをいつも考えている。さまざまな活動を継続していくためには、活力が必要だ。日常のリアルをしっかりと見つめて自分にできることをしていくためにも、ときに非日常のなかでゆるめながら、力を蓄え、また日々へと戻っていく。その循環を生活のなかにうまく取り入れていきたい、と思う時間だった。
LUSH SPA 自由が丘店
住所:東京都目黒区自由が丘2丁目17−10 ハレマオ 自由が丘 1F
営業時間:11:00〜21:00
予約方法:https://lush-spa.resv.jp/
HP:https://weare.lush.com/jp/lush-life/our-company/lush-spa/