【下町開運さんぽ】隅田川沿いに咲く爛漫の桜を愛でつつ、寺社めぐり。

【下町開運さんぽ】隅田川沿いに咲く爛漫の桜を愛でつつ、寺社めぐり。
【下町開運さんぽ】隅田川沿いに咲く爛漫の桜を愛でつつ、寺社めぐり。
FORTUNE 2026.03.27
いつもより早めの開花を迎えた今年の桜も、もう満開。都内や関東エリアの花見の名所も、多くの人で賑わっています。心浮き立つこの季節、花を愛でながら開運祈願のお散歩はいかがでしょう。
隅田公園の桜越しに牛嶋神社の鳥居
隅田公園の桜越しに牛嶋神社の鳥居を眺める。

今回ご紹介するのは、向島の寺社巡りです。向島の隅田川土手は江戸の頃からの景勝地。“墨堤”と呼び習わされ、文人墨客にも愛されてきました。

『江都名所隅田川はな盛』
広重『江都名所隅田川はな盛』/国立国会図書館デジタルコレクション

とりわけ享保年間に徳川八代将軍吉宗の命で整備された桜並木は見事です。墨堤の桜はもともと四代将軍家綱により植えられていましたが、吉宗が増植。江戸っ子がこぞって訪れる花見の名所となり、数々の錦絵にも描かれました。

しかもエリアの要所要所には由緒ある寺社仏閣や名物の餅や団子を商う店も点在。誰もが気軽にお花見を楽しんだといいます。

「春色隅田堤の満花」
右手の女性が笹竹に提げた籠には「名物櫻餅」の文字が見える。香蝶楼豊国一陽斎豊国「春色隅田堤の満花」/国立国会図書館デジタルコレクション

花見を楽しむ人の気持ちは今も変わらず。吾妻橋から桜橋あたりまでの約1kmを舞台に、毎年「墨堤さくらまつり」が開かれ、地元町会による模擬店や向島芸妓衆による芸妓茶屋などのイベントも開催。夕方からはライトアップが行われ、灯に照らされた夜桜を堪能できます。

そんな墨堤の花見を楽しみながら巡るのは、牛嶋神社と三囲神社、長命寺。ウキウキと楽しい気持ちで春からの開運を祈願しましょう。

その一 本所の総鎮守にしてスカイツリーの氏神さま、牛嶋神社へ。

浅草から吾妻橋を渡って対岸へ。目指すは隅田公園に隣接する牛嶋神社です。隅田公園はかつて水戸徳川家下屋敷があった場所。今は桜の名所であり、「日本さくら名所100選」にも選ばれています。

牛嶋神社 下町開運さんぽ 東京お花見
旧水戸徳川家下屋敷は小梅邸の別名で呼ばれた。その一部が隅田公園となっている。

牛嶋神社の創建は貞観2(860)年。天台座主も務めた高僧・慈覚大師円仁が神託を受けて須佐之男命を祀ったのが始まりと伝わります。

牛嶋神社 下町開運さんぽ 東京お花見
御社殿は総檜の権現造。正面に明神鳥居の両脇に小さな鳥居を備えた三ツ鳥居が立っている。

須佐之男命のご神徳は除災招福。悪いことが降りかからぬよう、福が訪れることを祈るべし。また牛嶋神社は「撫牛」の存在も広く知られています。患っている部分と撫牛の同じ部分を撫でると病が癒えると信じられ、江戸の頃から多くの人に親しまれてきたのだとか。

何事もまずは健康から! 心身の病もケガもなく、健やかに運を開いていける自分をイメージすることからはじめましょう。

牛嶋神社 下町開運さんぽ 東京お花見
文政8(1825)年に奉納されたと伝わる撫牛。よく撫でられるのか、腰や頭のあたりやツヤツヤと光っている。

牛嶋神社

住所:東京都墨田区向島1-4-5

その二 雨乞いの奇跡が伝わる三囲神社で所願成就。

かつては「三囲稲荷」とも呼ばれた古社で、御祭神は五穀を司る豊穣の神・宇迦御魂之命。社伝によれば「三囲」の名は南北朝時代の故事に遡るとされています。曰く、近江三井寺の僧が遍歴の折にこの地を訪れ、荒れた祠を見つけて改築をしようとしたところ、地中から白狐に跨った神像が現れたのだとか。その時、どこからともなく白狐が現れ、御神体の周りを3遍まわって姿を消したことが由来だといいます。

雨乞いの奇跡が伝わる三囲神社で所願成就。 東京 お花見
「(江戸高名会亭尽)三囲之景』.国立国会図書館デジタルコレクション

時代は下って元禄時代、三囲神社の名を江戸市中に知らしめたのが雨乞いの奇跡です。長く続く旱魃のさなかに三囲神社を訪れた俳人の宝井其角が「遊ふた地や田を見めくりの神ならは」の句を詠んで奉ったところ、翌日には雨が降ったのだと伝わります。

この奇跡を聞いた江戸の人々は、所願成就を願ってますます三囲神社に詣でるようになったのだとか。

雨乞いの奇跡が伝わる三囲神社で所願成就。 東京 お花見
墨堤を歩く花見客の背後に幕の内弁当を商う露店、さらにその背景に三囲神社を描いた錦絵。右手下に見えるのが「堤下の大鳥居」と呼ばれた三囲神社の鳥居。土手が高く、鳥居の上部分しか見えない点が好んで画題に取り上げられた。「(江戸高名会亭尽)三囲之景」/国立国会図書館デジタルコレクション

三囲神社

住所:東京都墨田区向島2-5-17

その三 徳川三代将軍家光ゆかり。弁財天もおわす長命寺。

“長命寺”というなんとも有難い名前の由来は、徳川三代将軍家光の故事から。家光がこのあたりで鷹狩りを行った時に急な腹痛を起こしましたが、境内の井戸水を飲むとたちまち快方に向かったのだとか。そこで家光から井戸に“長命水”の名が授けられ、寺号も長命寺に改まったといいます。

徳川三代将軍家光ゆかり。弁財天もおわす長命寺。 東京 下町お花見
ご本尊の阿弥陀如来を安置する長命寺御本堂。

この霊験あらたかな水にちなみ祀られることになったと言われるのが、隅田川七福神の一柱、水の神でもある弁財天。財運向上や技芸上達などのご利益を頼んで訪れる人が少なくありません。

徳川三代将軍家光ゆかり。弁財天もおわす長命寺。 東京 下町お花見
御本堂脇に立つ弁財天の石碑。御本堂に安置された弁財天像は正月のみご開帳となる。

 お参りしたら、忘れてはならないのが門前の長命寺桜もち。享保(1717)年の創業以来300年余り、さくら餅一筋の老舗は、今も昔も変わらない味を保ち続けています。

一枚一枚手焼きの薄皮生地はしっとりもちもちの食感、さらりと口溶けなめらかなこし餡、ふわりと広がる桜葉の香り……。お花見に来たら食べないわけにはいかないでしょう!

歌川国貞「江戸名所百人美女」 「長命寺」
歌川国貞「江戸名所百人美女」 「長命寺」/東京都立中央図書館所蔵。長命寺桜もち初代新六の孫で看板娘のお豊を描いたものと言われる。右手に提げているのがお土産用の桜もちを包んだ竹籠。

長命寺

住所:東京都墨田区向島5-4-4
公式サイト:https://choumei-ji.com/

向島には長命寺桜もちだけでなく、三色の言問団子や、香り高い生のヨモギたっぷりの”志”満ん草餅”など、江戸時代から続く名高い甘味が花見気分を盛り上げます。

満開の花はもちろん、風に舞う花吹雪も、花びらが川の流れを漂う花筏も美しいもの。花も団子も開運も! 桜のシーズンを味わい尽くしましょう。

隅田川 水上バス
隅田川を運行する水上バスからの花見も乙なもの。

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