2026年、目指すのは出雲、松江。開運、グルメ、お土産スポット10選。

2026年、目指すのは出雲、松江。開運、グルメ、お土産スポット10選。
2026年、目指すのは出雲、松江。開運、グルメ、お土産スポット10選。
FORTUNE 2025.12.26
出雲国(いずものくに)は八雲立つの枕詞(まくらことば)通り、八重の雲が湧き立つところ。遥かに広がる海、雲間から射す光、一面を茜色に染める夕陽……。神代の昔を思わせる、聖なる景色と出会う特別な旅へと出かけよう。
photo_Nobuaki Murakami text_Mutsumi Hidaka edit_Kana Umehara
出雲と松江へのアクセス。
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出雲大社へは出雲縁結び空港から空港連絡バスでJR出雲市駅まで約30分、さらに路線バスで約25分。

松江へは出雲縁結び空港から空港連絡バスでJR 松江駅まで約35分。または米子鬼太郎空港から空港連絡バスで約45分。駅からは路線バスかタクシー。

1. 万物の縁を結ぶ大国主大神の壮大な宮へ。〈出雲大社〉

出雲大社
出雲大社神楽殿の大注連縄(おおしめなわ)は長さ約13.6mで重さ約5.2t。出雲地方では左から綯ない始める「大国締め」が一般的。
出雲大社
境内入口にあたる勢溜(せいだまり)。

だいこく様の名で知られ、縁結びの御神徳で広く知られる大国主大神を祀る日本屈指の古社。84代にわたり宮司を務める出雲国造千家(いずものくにのみやつこせんげ)氏は『古事記』に登場する天穂日命(あめのほひのみこと)の末裔と伝わることからも、その歴史は推してしるべし。

出雲大社
禁足地である八雲山の磐座(いわくら)に接する素戔嗚尊(すさのおのみこと)を祀る素鵞社(そがのやしろ)。

古くからの禁足地である八雲山を背に、天を突く千木(ちぎ)と堂々たる勝男木(かつおぎ)を屋根の上に掲げた御本殿は圧倒的な存在感。早朝や雨上がりなど背後の山々や檜皮葺(ひわだぶき)の大屋根から霧が立ちのぼる景色は荘厳で、見えざる世界が身近に感じられる。

information
出雲大社
出雲大社

住所:島根県出雲市大社町杵築東195
TEL:0853-53-3100

荒垣内への参拝は11月~2月は6:30~20:00(3月~10月は6:00~)、20時以降は荒垣正門の銅鳥居前から参拝

2. 日の本の夜を護り続ける神々しい夕陽の聖地。〈日御碕神社〉

日御碕神社
経島の名前の由来は、柱状節理(ちゅうじょうせつり)でできた島の形が、経巻を載せた机のように見えることから。毎年8月7日には、沈みゆく太陽に祈りを捧げる神幸神事(みゆきしんじ)が執り行われる。

稲佐の浜から海沿いの断崖を車で約15分、緑の中に鮮やかな朱色の御社殿が現れる。島根半島の最西端、小さな湾の一角に鎮座する日御碕神社は、素盞嗚尊を祀る神の宮と天照大御神を祀る日沉宮(ひしずみのみや)の2社からなり、古来「日の本の夜を護る」と朝廷や幕府、大名に崇敬されてきた。

日御碕神社のお守り
霊験あらたかな御神砂守。

境内の西、日本海に浮かぶ経島(ふみしま)は日沉宮の旧社地で立ち入ることができない禁足地。小さな鳥居と社をシルエットに水平線へ夕陽が落ちる様子は実に厳かで、訪れる人の胸を打つ。

information
日御碕神社
日御碕神社

住所:島根県出雲市大社町日御碕455
TEL:0853-54-5261
営業時間:8:30~16:50(社務所)

写真は徳川家光の命で造営された御社殿。

3. 北前船の風待ち港に神楽の音(ね)が響きわたる。〈美保神社〉

美保神社
朝御饌祭(あさみけさい)は8時30分頃、夕御饌祭(ゆうみけさい)は15時30分頃から。ほぼ毎日行われる。

中国地方の最高峰、大山を杭(くい)に弓ヶ浜半島を綱にして引き寄せたと出雲神話に描かれる島根半島の東端に鎮座。祭神は大国主神の后神(きさきがみ)である三穂津姫命(みほつひめのみこと)と、国譲りに深く寄与した御子神の事代主神(ことしろぬしのかみ)。こちらは恵美須様としても知られる、福々しいお顔の家庭円満、商売繁盛の神様だ。

美保神社
三千超のえびす社の総本宮として船乗りの崇敬も厚く、帆船を描いた絵馬が奉納されている。

歌舞音曲(かぶおんぎょく)の守り神でもある二柱のためにほぼ毎朝夕奉納される神楽(かぐら)と巫女舞(みこまい)も見逃せない。出雲大社と美保神社にお参りすると、えびすだいこく両詣り。さらに良き縁に恵まれるとか。

information
美保神社
美保神社

住所:島根県松江市美保関町美保関608
TEL:0852-73-0506

三方に壁がなく風が吹き抜ける拝殿は石畳の助けもあり、音が美しく響く。

4. 夫婦神が鎮座する社の奥、ご縁を占う鏡の池へ。〈八重垣神社〉

八重垣神社
日本を海外に紹介し松江を“神々の国の首都”と表現した小泉八雲も訪れた社。

素盞嗚尊(さのおのみこと)と稲田姫命(いなたひめのみこと)ゆかりの古社は今も昔も恋する人の聖地だ。御社殿の奥に広がる佐久佐女(さくさめ)の森は、素盞嗚尊が八岐大蛇(やまたのおろち)から稲田姫命を守るため垣根をめぐらしてかくまった場所。そして無事に大蛇を退治して夫婦となった喜びを詠んだ歌が日本初の和歌になったのだと伝わる。

八重垣神社の占い
鏡の池のご縁占い。水に浮かべると吉方やお告げが浮かぶ。

佐久佐女の森には稲田姫命が姿を写した鏡の池が今も澄んだ水をたたえている。この水面に占いの紙を浮かべて硬貨を置けば、沈む様子でご縁の行方がわかると多くの人が訪れる。

information
八重垣神社
八重垣神社

住所:島根県松江市佐草町227
TEL:0852-21-1148

元は2本の椿が1本になった連理玉椿(れんりたまつばき)は夫婦円満の象徴。

5. 神聖な火を授け続ける神々の国の一之宮。〈熊野大社〉

熊野大社
松江市の中心部から車で約30分。欄干の朱色が鮮やかな八雲橋。天狗山から流れ出す意宇川が結界の役目を果たしている。春先になれば、意宇川沿いの桜並木が一斉に花を咲かせる。

古代出雲の中心地・意宇(おう)平野を潤す意宇川(いうがわ)の上流、緑深い山裾に鎮座。出雲四大神の一柱である熊野大神(くまののおおかみ)を祀り、古くから出雲大社と並んで出雲国一之宮とされる。出雲大社の重要な神事である古傳新嘗祭(こでんしんじょうさい)で用いられる神火が、熊野大社から神器の燧臼(ひきりうす)と燧杵(ひきりきね)を授かって鑽(き)り出されることから「日本火出初之社(ひのもとひでぞめのやしろ)」とも称されてきた。

熊野大社の御櫛
幸せの雲が意匠の縁結びの御櫛(2,000円)は伝統工芸の八雲塗り。

森と意宇川の流れに護られた境内は静かで空気も瑞々しい。心を落ち着かせ、次の一歩を踏み出す力を蓄えるにふさわしい場所だ。

information
熊野大社
熊野大社

住所:島根県松江市八雲町熊野2451
TEL:0852-54-0087

御拝殿。その奥に大社造の御本殿が見える。境内には神器の燧臼と燧杵を収めた鑽火殿(さんかでん)や神楽や舞を奉納する舞殿、山から湧き出す清水を引いた御神水も。

6. 老舗和菓子舗で46年、現代の名工の技。〈彩雲堂本店〉

松江の彩雲堂本店
季節の上生菓子「寒椿」と銘菓を盛り込んだ現代の名工プレート1,760円。飲み物付き。

茶人大名・松平不昧(まつだいらふまい)の影響で茶の湯が身近な松江ならでは。注文を受けて作る上生菓子は雅な印象。口どけなめらかで上品な余韻を残す。

information
彩雲堂本店

住所:島根県松江市天神町124
TEL:0852-21-2727
営業時間:9:00~18:00(茶寮は10:00~17:00)
定休日:不定休
Instagram:@saiundo1874

7. 松江に伝わる郷土玩具の素朴さに心が動く。〈工藝 格〉

松江の工藝 格
お宮さん5,500円と練天神1,980円、蒸気船5,500円。2026年の干支車丙午5,500円。

作り手を失い途絶えていた伝統玩具を復刻。材料の加工から組み立て、着彩まで全て手作業で一つとして同じものがない。大らかで温もりのある表情が魅力的だ。

information
工藝
工藝 格

住所:島根県松江市袖師町3-21袖師窯内
TEL:0852-21-3974
営業時間:9:00~18:00
定休日:日休
Instagram:@mayumionoono

8. 地元の土から生まれる温もりのある日常の器。〈出西窯〉

ギャラリーショップには手頃な値段で日々に役立つ器が並ぶ。工房も見学可能。

information
出西窯
出西窯

住所:島根県出雲市斐川町出西3368
TEL:0853-72-0239
営業時間:9:30~18:00
定休日:火休、元日休
Instagram:@shussai_kurashinovillage

1947年創業。河井寛次郎やリーチら民藝の作家から手ほどきを受けた日常の器づくりを受け継ぎ、今も健全で用の美を備えたものづくりを続ける。

9. 湯気まで旨いソウルフード、熱々の蒸し寿司で心も温もる。〈浪花寿司〉

松江の浪花寿司
蒸し寿司1,500円。松江の名物、粒選りの宍道湖産ヤマトシジミのしじみ汁付き。

椎茸や筍を混ぜた酢飯にアゴ野焼き、鰻やエビ、牛肉しぐれ煮などが盛り込まれた松江の冬の風物詩。蓋を開けた瞬間、笑顔になれる。

information
浪花寿司

住所:島根県松江市東茶町27
TEL:0852-21-4540
営業時間:11:30~14:00(売り切れ次第終了、16:30~18:30はテイクアウトのみ)
定休日:水木休
Instagram:@naniwazushi

10. 漆塗りの三段重でいただく出雲伝統の割子蕎麦を。〈そば耕一〉

出雲のそば耕一
割子そば930円。山陰の玄ソバ、松江の天然醸造木桶醤油など地元の素材を使用。

参道を離れた古民家で2024年夏に開業。甘皮ごと挽くから生まれる力強い香りの出雲蕎麦を長年の職人技で磨き上げ、瑞々しさと喉越しの良さを兼ね備えたものに。

information
そば耕一

住所:島根県出雲市大社町杵築南738-12
TEL:0853-77-5534
営業時間:11:00~14:00
定休日:水木休(不定休あり)
Instagram:@sobakouichi

神代(かみよ)の物語を受け継ぐご縁の聖地を巡る。

『出雲国風土記』と『古事記』に描かれた神話の舞台、稲佐の浜。毎年旧暦10月10日の夜には八百万の神々を迎える神迎神事(かみむかえしんじ)が行われ、出雲大社の神在祭(かみありさい)がはじまる。

日本最古の歴史書『古事記』に描かれた神々の物語には、出雲を舞台とするものが少なくない。伊邪那岐命(いざなぎのみこと)が亡き妻・伊邪那美命(いざなみのみこと)を追って下った黄泉平坂(よもつひらさか)、須佐之男命(すさのおのみこと)の八岐大蛇退治(やまたのおろちたいじ)、大国主神(おおくにぬしのかみ)による国造りと国譲り……。ほぼ完本の形で現在に伝わる『出雲国風土記』にも数々の神話が記され、今も多くの地に言い伝えが残されている。

その筆頭といえるのが大国主大神を祀る出雲大社(いづもおおやしろ)。実り豊かな国を築き天照大御神(あまてらすおおみかみ)に譲り渡したことに報いて、大国主大神のため壮大な宮を築いたのがはじまり。この時から目に見える世界を天照大御神の子孫が司るのに対して、目には見えない世界を大国主大神が司ることに。それから今に至るまで、男女の仲に限らず様々な目に見えない縁(えにし)を結び続けているのだとか。

出雲大社を西に1キロほど進めば旧暦10月に八百万(やおよろず)の神が上陸する稲佐の浜、さらに北西へ向かえば日御碕(ひのみさき)神社にたどり着く。水平線に沈む夕陽が織りなす景色は、さすが〝日沉(ひしずみ)の聖地〞と呼ばれる見事なものだ。

島根半島の東には大国主大神の御子の事代主神(ことしろぬしのかみ)を祭る美保神社、宍道湖(しんじこ)の南には豊かな森と清らかな水に護られた八重垣神社や熊野大社も鎮座。今なお神々の気配漂う各社を巡り、2026年の開運をお祈りしよう。

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