【東京近郊】夕涼みに行きたい、お盆の灯ろう流し・送り火3選
ちょうど盂蘭盆会にあたる時期でもあり、火を灯した灯ろうを海や川に流す灯ろう流しや、山腹に松明で文字を描く送り火など此岸に帰ってきた亡き人の魂を彼岸へ送り出す行事も各地で開催。夏の夜空を彩る花火も、実は鎮魂の思いを込めて打ち上げられるものも多いのだとか。
今週末のお盆終盤は、夕涼みがてらちょっと足を伸ばして川辺や山へ。ご先祖さまはもちろん、この世界をかたちづくってきたすべてに思いを馳せて今を生きることの感謝を捧げて、運を開く心を養いましょう。
その一 川面に映る灯りの美しさに息を呑む、埼玉・秩父「長瀞船玉まつり」。
長瀞船玉まつりは、ダイナミックな渓谷美とスリリングな船下りで知られる長瀞の夏の風物詩。船下りの船頭が水神を祀り、水上安全と水難供養を行なったのが起源だとか。

祭りのスタートは川祓いの神事から。まだ空に明るさが残る頃、宝登山神社の神職が、河原に設けられた祭壇で祝詞を奏上した後に船に乗り、水上で祓い清めが行われます。 その後に登場するのが2隻の万灯船。船上では秩父伝統のお囃子、秩父屋台囃子が奏でられ、祭り気分も高まります。

日暮れとともに宵闇が迫ると灯ろうが荒川に浮かべられ、万灯船の雪洞とともに水面を照らして、あたり一面に幻想的な雰囲気に包まれます。灯りに見入るうちに心がふっと静かになり、人智を超えた何かに祈るような気持ちに。 この後、対岸から花火が上がり、夜空に色鮮やかな花を咲かせます。万灯船とともに見上げる花火は一服の絵のようで、思わずうっとり。
この祭りを終えたら、季節は一歩秋へ。私たちも新たなシーズンの幕開けを、新たな心で迎えましょう。
2025年8月15日(金) 長瀞岩畳周辺
https://www.nagatoro.gr.jp/funadama2025/
その二 山の送り火と夜空の花火を見上げる「箱根強羅温泉 大文字焼」。
古くから避暑地、保養地として知られる箱根の強羅温泉でも、毎年8月16日にお盆の送り火として、明星ヶ岳に「大」の文字が灯ります。これは大正10(1921)年にはじまり、2025年で104回目。

大文字焼にあたっては、まず大雄山最乗寺による大法要が行われ、人々の祈りを込めた回向袋が明星ヶ岳に届けられ、「大」の文字の中で焚き上げられます。
19時30分、大文字の点火と共に花火が打ち上げられ、その様子は箱根強羅温泉全域で楽しめます。この日は箱根登山電車と箱根登山ケーブルカーも臨時列車を運行予定。盛夏の終わりを見届けに、小さな旅を楽しみましょう。

2025年8月16日(土) 箱根強羅温泉
https://goura-kanko.jp/blog/post-661/
その三 隅田川に鎮魂の灯が漂う「隅田川とうろう流し」。
都内では、8月16日に隅田川でとうろう流しが行われます。

もとは関東大震災や東京大空襲で亡くなった人の回向法要のため、岸から灯ろうを流したのがはじまりだとか。その後、防潮堤建設によりいったん中止されましたが、隅田川テラスなどの親水施設が整ったことを受けて復活。現在は隅田川両岸の台東区と墨田区の連携により開催されています。静寂の中、追悼だけでなく平和への祈りを込めた無数の灯ろうが川面に揺れる様子は圧巻です。
2025年8月16日(土)
https://visit-sumida.jp/2025/08/06/10386/
text_Mutsumi Hidaka
















