これまで訪れた数は2,000軒以上!喫茶店通の難波里奈さんが本当に好きな喫茶店BEST3
ひたすら純喫茶を訪ねる日々。「昭和」の影響を色濃く残すものたちに夢中になり、当時の文化遺産でもある純喫茶の空間を、日替わりの自分の部屋として楽しむようになる。ブログ『純喫茶コレクション』から始まり、著書に『純喫茶コレクション』『純喫茶へ、1000 軒』『純喫茶、あの味』『純喫茶とあまいもの 大阪編』などがある。日々、純喫茶の魅力を広めるためマイペースに活動中。
第3位:レトロゴージャスな空間で味わうひと時〈コーヒーの大学院 ルミエール・ド・パリ〉

難波さんが3位に選んだのは、神奈川県横浜市にある〈コーヒーの大学院 ルミエール・ド・パリ〉。日本初の近代的な西洋式街路として整備された日本大通りからほど近い場所で、世界のコーヒーを提供する専門店として1974年に創業しました。
「最上級のコーヒーを、という想いから付けられた店名が特徴的。赤い絨毯が敷かれた店内の奥にあるオーキッドルーム(特別室)は、思わず声が出てしまうほどゴージャスです。カトレアのタイル画、大理石のテーブル、頭上に王冠のイラストが描かれている椅子など、今ではもうつくることができないようなものばかり」と難波さん。

特別室以外にも、大通りからも目を引く石膏レリーフや出入口の脇に佇む甲冑、そして店内に足を踏み入れれば額入りの絵画やシャンデリア、ステンドグラスなど、豪華絢爛な装飾の数々が空間を彩ります。
まるでパリの宮殿を思わせるような雰囲気のなかでいただけるのは、サイフォンでじっくり淹れるコーヒーをはじめ、ケーキやパフェといったスイーツ、数種類から選べるサンドイッチといった軽食など、豊富なメニューの数々。

なかでも難波さんが特におすすめというのが「フランス風 海老フライ(ワイン&コーヒー付)」と「ストロベリーフロート」。
「エビフライやカレーライスなど、本格的な洋食がおいしいんです。家では、なかなかつくらないエビフライはメニューにあると嬉しくて、その日が特別になった気分。ストロベリーフロートは、あの華やかな空間に負けないきらびやかさが好きです」
住所:神奈川県横浜市中区相生町1-18
TEL:045-641-7750
営業時間:10:00~17:00LO(土・祝10:30~)
定休日:日休
第2位:県外からも喫茶店好きが続々と訪れる〈佛蘭西館(ふらんすかん)〉

2位は、茨城県日立市にある〈佛蘭西館〉。創業40年以上を経ても変わらないクラシカルな雰囲気が、全国のレトロ喫茶店好きの心をつかんでいます。選んだ理由を難波さんは、こう説明します。
「初めて訪れたときの、その素晴らしさが忘れられなくて、東京からは少し距離がありますが、時間をあけずに再訪したほど。デンマークを代表するアーティスト、ビョルン・ヴィンブラッドの作品を思わせる、赤い壁に描かれた人物に目を惹かれ、緑色に光る雨の風景のミニチュアのようなオイル式のオブジェもとても素敵で、ずっと見ていられます。沈み込むようなソファも座り心地がよくて、人懐こいキャラクターのマスターもとても素敵です」

そんなこの店で提供しているコーヒーは、種類によって異なる淹れ方をしています。シングルオリジンの場合は一杯ずつサイフォンで淹れるのに対し、ブレンドは一度に大量にネルドリップ。そこから別の容器に移し替えて、浮かんだアクを取り除く作業を何度か繰り返すといいます。今では珍しいといえるほど手の込んだスタイルは、かつての従業員が行っていた方法を引き継ぎ、今も続けているのだそう。
そしてコーヒーのお供に、サンドイッチを一緒にオーダーするお客さんも多いとか。フレッシュな野菜を使ったミックスサンドやたまごサンドなど数種類から選べます。難波さんも、おすすめのメニューにコンビーフのホットサンドを挙げています。

「コンビーフサンドは珍しいので、つい注文してしまいます。ほとんど値上げをしていないようで、メニュー表を見てその価格に驚くお手頃さです。でも、ひとつひとつ丁寧につくられていて、おいしい」
唯一無二の空間と、ここでしか味わえないコーヒーの味を求めて、今では県外からのお客さんも数多く訪れています。
住所:茨城県日立市千石町1-6-1
TEL:0294-33-3997
営業時間:10:30~20:00
定休日:第2・第4月休
第1位:著名人も愛した文化遺産的な存在〈ネルケン〉

難波さんが1位に選んだのは、東京・高円寺にある〈ネルケン〉。1950年創業の歴史ある喫茶店です。このお店を選んだ理由について、こう教えてくれました。
「内装の美しさはもちろんですが、とにかくマダムが好きです。お召しになっているもの、佇まい、言葉遣い、笑顔などすべてが素敵で、マダムのお顔を見たくて行っています。
高円寺のまちなかにあることを忘れてしまう非日常的な店内は、クラシックを聴くためにつくられた空間。ほかの人と目が合いにくいように配置された座席は、美術品に囲まれていて落ち着きます。
こんな場所がこれからもずっと自分の生活にあるならば、多少つらいことがあっても頑張れる、と心をリセットできる大切な場所です」

看板に「名曲」とあるとおり、ここはクラシック音楽に触れられる場所として生まれた店でもあります。そのため、マダムの夫は設計の段階からこだわり、音がこもることなく店内に響き渡るようにつくったといいます。
そんな音響のよい場所で、創業当時はまだ高価だったクラシック音楽のレコードを聴ける場所として、音楽に携わる学生や業界人なども多く集まっていたといいます。
また、マダムの夫は絵画にも関心が深く、店内に作品を展示させて欲しいという近隣の美大生や常連の芸術家たちの依頼に応えるかたちで、絵を飾るようになっていきました。現在は個展の相談は受け付けておらず、寄贈された作品を目にすることができます。

メニューは、創業時から変わらぬ味を守り続けているコーヒーや、紅茶、アルコールなども揃えたドリンクメニューと、トーストメニュー各種。そのなかに、ぽつんと「クッキー」の文字が記されています。
「クッキーはマダムのセンスが光る盛りつけで、添えられるみずみずしい葉も粋です。そうしたところに現れるおもてなしの心に胸を打たれます。そして、こだわりのコーヒーも好きですが、冬の寒い日にこちらで飲むココアは格別です。フチが分厚いカップのおかげで、なかなか冷めないところもいいんです」と、難波さんはおすすめメニューを紹介してくれました。
住所:東京都杉並区高円寺南3-56-7
TEL:03-3311-2637
営業時間:11:00~18:00
定休日:水休
















