髙島屋の和菓子バイヤーの畑主税さんに聞く、2026年の和菓子予想

髙島屋の和菓子バイヤーの畑主税さんに聞く、2026年の和菓子予想
髙島屋の和菓子バイヤーの畑主税さんに聞く、2026年の和菓子予想
FOOD 2026.02.26
髙島屋全店の和菓子のバイイングを手がける畑主税さんに、注目している和菓子を教えてもらいました。
photo_Takashi Yamamoto text_Yoko Abe
profile
畑 主税
髙島屋和菓子バイヤー

はた・ちから/2003年に髙島屋入社。洋菓子担当を経験後、4年目に和菓子担当に。入社まで甘いものは苦手だったが、一流パティシエとの出会いがきっかけで、今や甘いものを食べない日はない。SNSも人気。

「洋菓子と違い、和菓子のブームは緩やかに数年続くのが主流。ここ最近はあんこと、生クリームやバターを合わせた〝背徳の美味〞ともいえるお菓子が流行中で、いろんなタイプのものが作られるようになりました。そこで2026年はそのクオリティにこだわりたい。本来あんこと生クリームやバターは粒子が違うので、そのままではなかなか混じり合いません。ですがあんこを丁寧に濾こし、粒子を揃えたものはザラつきがなくなって、口の中で見事に合わさる。その意味で、大阪の五條堂さんの作るフルーツ大福『鴻池花火』は素晴らしい出来栄えです。ポイントは薄紫色のこしあん。非常に粒子が細かいので、生クリームと口の中で溶け合うんです。

〈五條堂〉の「鴻池花火(こうのいけはなび)」
〈五條堂〉の「鴻池花火(こうのいけはなび)」:5種のフルーツを生クリーム、こしあんと共に、羽二重餅で手包み。「あんこを夜空に、フルーツを花火に見立てているのが和菓子らしくて素敵」(畑さん、以下同)。4個入り2,400円~。https://gojodosweets.com/

洋菓子の要素をうまく取り入れた進化系和菓子にも注目です。新潟の百花園さんは、若旦那さんが和菓子屋と洋菓子屋で修業した後、フランスに渡ってチョコレートの勉強もされたという実力派。中でも『和コレート』はその技術がいかんなく発揮されている逸品。このお菓子、何がすごいって琥珀糖にチョコレートを合わせているんです。和と洋の素材を掛け合わせる際にはザラつきやダマが出てしまいがち。その点『和コレート』は若旦那さんがエキスパートなので綺麗におさめておられます。

〈百花園(ひゃっかえん)〉の「和コレート」
〈百花園(ひゃっかえん)〉の「和コレート」:琥珀糖にルビーチョコレートとブロンドチョコレートを合わせた、新食感の和菓子。「若旦那から直接連絡をいただき取り扱いを決めた、個人的にも思い入れのあるお菓子」。1箱1,620円。https://hyakkaen.thebase.in/

日持ちがしてちょっとした隙間に食べられる干菓子系にも、新しい波が来ています。僕が推したいのは、香川の御菓子司寳月堂さんの若女将が手がける『果実糖』。これはビー玉よりも小さいサイズの、可愛らしい落雁の仲間です。干菓子ってなかなか手が伸びにくいジャンルですが、これはフルーツのフレーバーが入ることによってどの世代の方でも楽しんでいただける味に仕上がっています。

〈御菓子司 寳月堂(ほうげつどう)〉の「果実糖 あんず」
〈御菓子司 寳月堂(ほうげつどう)〉の「果実糖 あんず」:もち米からできる寒梅粉を使用し、もっちりとした食感は唯一無二。「若女将と“こんなお菓子があったらいいですね”と話していたものが実現。毎回一気に食べてしまいます」。1箱1,080円。0877-23-0300

僕は週に一回売り場に立つようにしているのですが、最近二、三十代のお客様が増えているのを感じます。お話を伺うと、古い遺跡を発掘するような感覚で来てくださっているんだそうです。髙島屋では催事などで和菓子屋の若旦那や若女将をお呼びし、実演イベントを行っているのですが、彼らに〝会いに来た〞というお客様も多いんです。同世代の作り手と同世代のお客様を、我々社員が繋ぐことで、その空間にワクワク感が生まれる。これはリアルな場所である百貨店ならではの魅力です」

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