髙島屋の和菓子バイヤーの畑主税さんに聞く、2026年の和菓子予想
はた・ちから/2003年に髙島屋入社。洋菓子担当を経験後、4年目に和菓子担当に。入社まで甘いものは苦手だったが、一流パティシエとの出会いがきっかけで、今や甘いものを食べない日はない。SNSも人気。
「洋菓子と違い、和菓子のブームは緩やかに数年続くのが主流。ここ最近はあんこと、生クリームやバターを合わせた〝背徳の美味〞ともいえるお菓子が流行中で、いろんなタイプのものが作られるようになりました。そこで2026年はそのクオリティにこだわりたい。本来あんこと生クリームやバターは粒子が違うので、そのままではなかなか混じり合いません。ですがあんこを丁寧に濾こし、粒子を揃えたものはザラつきがなくなって、口の中で見事に合わさる。その意味で、大阪の五條堂さんの作るフルーツ大福『鴻池花火』は素晴らしい出来栄えです。ポイントは薄紫色のこしあん。非常に粒子が細かいので、生クリームと口の中で溶け合うんです。

洋菓子の要素をうまく取り入れた進化系和菓子にも注目です。新潟の百花園さんは、若旦那さんが和菓子屋と洋菓子屋で修業した後、フランスに渡ってチョコレートの勉強もされたという実力派。中でも『和コレート』はその技術がいかんなく発揮されている逸品。このお菓子、何がすごいって琥珀糖にチョコレートを合わせているんです。和と洋の素材を掛け合わせる際にはザラつきやダマが出てしまいがち。その点『和コレート』は若旦那さんがエキスパートなので綺麗におさめておられます。

日持ちがしてちょっとした隙間に食べられる干菓子系にも、新しい波が来ています。僕が推したいのは、香川の御菓子司寳月堂さんの若女将が手がける『果実糖』。これはビー玉よりも小さいサイズの、可愛らしい落雁の仲間です。干菓子ってなかなか手が伸びにくいジャンルですが、これはフルーツのフレーバーが入ることによってどの世代の方でも楽しんでいただける味に仕上がっています。

僕は週に一回売り場に立つようにしているのですが、最近二、三十代のお客様が増えているのを感じます。お話を伺うと、古い遺跡を発掘するような感覚で来てくださっているんだそうです。髙島屋では催事などで和菓子屋の若旦那や若女将をお呼びし、実演イベントを行っているのですが、彼らに〝会いに来た〞というお客様も多いんです。同世代の作り手と同世代のお客様を、我々社員が繋ぐことで、その空間にワクワク感が生まれる。これはリアルな場所である百貨店ならではの魅力です」




















