【大井町でひとり飲み】食欲そそる!スパイス香る牛ハツ串と、できたてタコスに舌鼓

【大井町でひとり飲み】食欲そそる!スパイス香る牛ハツ串と、できたてタコスに舌鼓
今日は、あの街で一人呑み vol.08
【大井町でひとり飲み】食欲そそる!スパイス香る牛ハツ串と、できたてタコスに舌鼓
FOOD 2025.03.11
よそ行きの私”に少し“”が混ざったような、どっちつかずの自分で楽しむ時間は外呑みならでは。そんな外呑みの醍醐味、たまには “ひとり”で味わいませんか。誰にも気を遣わなくていい。自分と対話をする。いつもじゃない人と出会う。知らない世界に飛び込めるひとり飲み、女性ひとりでも気負いなく楽しめる場所を、お酒業界の広報歴14年の児島麻理子さんが“あの街”で探索します。今回の街は大井町
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児島麻里子
児島麻里子
フリーランスPR、ライター

お酒にまつわるプロデューサーやライターとして活躍。出版社、洋酒会社での広報の経験を生かし、お酒の楽しさを日々発信している。趣味は世界の蒸留所を巡ること。これまでに世界7か国国以上の蒸留所とバーを巡る。ハナコラボパートナー。Instagram:@mariccokojima

空の窓口・羽田空港が隣接し、新幹線が行きかう大井町は、旅情を誘う街。古くは江戸四宿と呼ばれた品川宿が近くにあることからも、宿場の風情を残す活気ある商店街が残っています。そんな大井町は今も出張などで、移動のハブとなる街です。一期一会を受け止めてくれる懐の深い大井町は、ひとり飲みにも優しい場所。慈愛に満ちた女性オーナーのお店で今日はひとり飲み!

1軒目:南米にルーツがある料理人が腕を振るうナチュラルワインの立ち飲み〈stand LOTI〉

駅から続く、昔ながらの商店街に現れるポップな壁のサイン。この階段を登るとスタンディングのワインバーstand LOTI〉があります。

商店街の中心部に現れるモダンな空間もお楽しみに

女性オーナーの洪さんが、大井町に1店舗目〈stand SAMI〉を開いたのは5年前。イメージしたのは、かつて勤務していた大阪の立ち飲みの雰囲気です。

「大阪で立ち飲みにいくって“銭湯に行く”みたいな感覚で、生活の一部なんです。そんなお店を東京でもやりたいなと思って、お店を作りました」(洪さん)

〈stand SAMI〉が軌道にのり、2店舗目としてオープンした〈stand LOTI〉は、さらに駅に近い商店街の中。出張ついでの一見さんも多いので、初訪問でも安心して飛び込めます

LOTIのムードメーカーが、店長であり、料理担当のマッテオさん。日替わりが多いため、手書きで用意されるメニューには、自身のルーツである南米の家庭料理もラインアップされます。

料理を担当するのは、ベネズエラと日本のハーフのマッテオさん

「もともとはイタリアンを作っていたのですが、オーナーから南米料理が作れるなら、それが面白いんじゃないと言われて。自分が食べてきたような南米の家庭料理を再現してみることにしました」(マッテオさん)

調理中もスパイスのいい風味が店内に広がります

ジョージアワインと世界各国ワインを中心に、ビール、ときに焼酎など。立ち飲みで、ワインと南米料理を味わえるのは、おそらく東京唯一。しかも家庭料理ということで、ほっこりした気持ちになります。気分はまるで銭湯!

ボトルが並ぶカウンターで飲める幸せ
ジョージアワイン「KOHAKU」 880円、お肉と豆の南米風煮込み、牛ハツ串

LOTIの定番ワインはこのジョージアワイン。ワインの起源と呼ばれるジョージアは、壺でブドウの皮ごと醸す“クヴェヴリ”というスタイルで造られます。オープン当初、ジョージアワインが今ほど流行る前から、洪さんが惚れ込んでラインアップしました。

店名もジョージア語が由来。LOTIとは“お酒なしでは生きていけない”という意味だそう。すべてのお酒飲みに捧げたい言葉です。

南米揚げ餃子 エンパナーダ 500円
ペルー風(和牛)牛ハツ串 580円

本日の南米系の逸品は、煮込み、揚げ餃子と牛ハツ串。クミンチリペッパーなどのスパイス香が、味わい深いジョージアワインとよく合います。ソースには、パクチーとヨーグルトを使ったり、煮込みにも様々なスパイスを使うなど、日本では珍しい組み合わせですが、どれもなぜか味馴染みがあります。

「南米は日系の人も多いので、日本の調味料もよく使われるんです。煮込みにも醤油が隠し味で入っています」(マッテオさん)

お店の人気商品のひとつはマッテオさんプロデュースのミックススパイス 350円

仕事帰りのご近所の方や、出張中のビジネスマンなど、さまざまな人がいるカウンターで、味わうのはワインと南米料理。その心地よいカオス感が、大井町らしい居心地のよさを醸し出しています

ワインと南米料理を食べた後には、その勢いでもう一軒、ラテンムードなお店をホッピング。

〈Stand LOTI〉
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場所:東京都品川区東大井5-5-8 2F・3F
営業時間:17:00〜24:00
定休日:不定休
TEL: 080-9828-7123
公式インスタグラム:@loti_oimachi

2軒目:テキーラに魅了された女性店主が指南してくれる名店〈Gatito〉

商店街からすこし離れ、JRの線路沿いにひっそり佇むのは、オープンして12年になるテキーラの名店〈Gatito〉です。女性がひとりでテキーラ!? と思った方。そんな方にこそ、一度訪れてほしいスポットです。

扉を開けると、目に飛び込んでくるのは、黒板に書かれた賑やかなテキーラのロゴと、マリーゴールドで彩られたボトル棚。マリーゴールドはメキシコにとって大切な「死者の日」の象徴です。メキシコ独特の色彩感覚や、人々の明るさを示すものとして、〈Gatito〉では年間を通じて、このディスプレイがされています。

オーナーは女性店主の伊藤裕香さん。店舗の外でも、テキーラとアートを掛け合わせたイベントや、洋酒業界のイベント出展など、テキーラの魅力を発信すべく、さまざまな活動をしています

「テキーラは女性にこそ、おすすめですよ。原材料は、8年ほど時間をかけて育つ植物アガベ。ナチュラルな蒸留酒なので、“太らない”“残らない”んです。樽で寝かせなくても素材そのものの味わいがおいしいですし、味わいの幅が広いです」(伊藤さん)

オーナーバーテンダーの伊藤裕香さん

現在のラインアップはテキーラで450本程度、メスカルなどそのほかのアガベスピリッツで100本以上が揃います。

ワインを選ぶように、“こんな味わいのものありますか?”と聞いてみると、この膨大なボトルの中から、伊藤さんがぴったりの1本をセレクト。そのセレクションのセンスの良さで、多くの人をテキーラファンに変えてきました

Gatitoのテキーラ

そして〈Gatito〉は、テキーラと関係なく、食事だけでの取材があるほど、フードのおいしさでも有名です。メキシコ名物のひとつ、タコスの中身は日替わり。この日は、豚肉を使った伝統的な“カルニタス”と呼ばれるもの。カウンターの裏で注文後に温め、出来立てを提供してくれます。

テキーラのソーダ割り「テキーラハイボール」にも、ひと工夫が。熟成年数の違う3種類のテキーラをブレンドし、ハイボールに一番美味しい配合にしたお店オリジナルのハイボールです。グラスとソーダを冷やした氷なしのスタイルなので、薄まらず、最後の一滴まで美味しくいただけます。

テキーラハイボール 1,100円、灼熱のエローテ 800円(左奥)、気まぐれタコス 3P 1,300円(右前)

また、通常はトウモロコシ1本にマヨネーズとスパイスをかけて仕上げるエローテも、粒の状態にしてスプーンで食べやすくするなど、きめ細かい心配り。食べる姿も美しく演出してくれます。

食べやすく粒状で提供されるエローテ

華やかな店内でテキーラを味わえば、気分は祝杯ムード。

いいことがあった日もなかった日も、ここでテキーラと締めればいい一日だったと思えそうです。

〈Gatito〉
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場所:東京都品川区大井4丁目10-7
営業時間:18:00〜23:30
定休日:不定休
TEL: 03-3774-7757
公式インスタグラム:@gatito.tequila

text_Mariko Kojima photo_Miyu Yasuda

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