Hanakoを彩る名シェフが、いま語る。 スターパティシエにインタビュー#3〈トシ ヨロイヅカ〉鎧塚俊彦さん
1988年に創刊された雑誌『Hanako』は35周年。記念すべき今号は、これまでのHanakoスイーツ特集を振り返る記念企画をお届けします。今回は、これまで何度となく誌面に登場いただき、活躍初期から追い続けたスターパティシエ3名のインタビューとシグネチャースイーツをお届け。3人目は〈トシ ヨロイヅカ〉の鎧塚俊彦さん。いまや世界を舞台にする名パティシエが語る、 この三十余年と、自身の代名詞となるスイーツについての物語。
“ライブデザートも環境活動も、すべてはお菓子に還元させる”
ホテルでパティシエのキャリアをスタートさせ、欧州4カ国で8年の修業を経て帰国。1年前に鎧塚俊彦さんが東京・恵比寿で開いたのは、ゲストの目の前でスイーツを作るカウンター形式の店だった。”できたてのおいしさ"へのこだわりは今も変わらない。
「帰国後、約2年間は、スイーツイベ約2年間は、スイーツイベントへの出店やセミナーの講師をして、開店準備をしていました。この時すでに、Hanakoやさまざまなメディアが取材に来てくれましたね。店を出すには資金が必要で、通常は事業計画書を作って説明するのですが、私は掲載された出版物を資料として見せ、実績をアピールしてうまくいきました(笑)。2004年にオープンする場所恵比寿に決めたことも、トシ・ヨロイツカというブランド名や、黒と白を基調にしたブランドカラーを選んだのも、すべてインスピレーション。うまくいかなければ変えればいいと、悩みませんでしたね。自分さえしっかりし中身があればいいことですから」
2016年、〈京橋エドグラン〉にオープンした〈トシ・ヨロイヅカ 東京〉は、2階にサロンを設けた旗艦店。初めて構えた恵比寿店と同様に、カウンター席の目の前でスイーツを提供する。「スイーツの流行りは一過性のブーム"になりがちですが、流行に左右されないことが大切だと思っていますし、作りたてを提供することも変わらない軸のひとつ。修業時代から作り続けている「トシ・マンデルクローネ』などのスペシャリテはじめ、うちの店の品は、すべてその気持ちで作っています」
13年前からエクアドルにカカオ豆の農園を開き、6年前には動物愛護基金も立ち上げた。
「先の10年を見据えた取り組みです。私の活動すべてをお菓子に還元させることをモットーに継続していきたい」