懐かしい味の洋食ブーム再燃 【浅草】愛され続ける老舗洋食店〈grill GRAND〉の伝統の味を巡るストーリー

FOOD 2018.02.14

どこかホッとする懐かしい味で、今またブームが再燃しつつある日本オリジナルの食文化・洋食。今回は洋食の街・浅草の老舗〈グリル・グランド〉の人々から愛され続ける味を巡るストーリーをお届けします。

心までほんわか温かくなる洋食は、浅草に集まっていました

ここ浅草も、一口目からホッとする懐かしい洋食を求めて、お客が引きも切らない。といっても、街に根ざした古きよき老舗洋食店を支えるのは、今も変わらず常連客。親から子へ、子から孫へと、長年通う地元の人たちだ。何ともいえないおっとりした店の雰囲気は、彼らが作り出しているといっていい。店のほうも代々続く家族経営の店が多い。

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浅草に昭和16年(1941年)に創業したのが〈グリル・グランド〉。

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現在、ホールを担当するのは2代目オーナーの譲一さんと洋子さん夫妻。マネージメント担当は長男の昌一さん。厨房で腕を振るうのは3代目の次男・坂本良太郎さん。そして今、6歳の優歩君は4代目有力候補である。

厨房を任されている3代目は、イタリアンやフレンチの店で修業を積んだのち実家に戻り、先代から続く「グランドの味」の伝統を守りつつ、3代目ならではの新風を吹き込んでいる。たとえば、オムライス。3種類あり、誰もが思い浮かべる、卵の上にケチャップがかかった懐かしい姿が一つ。

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3代目・坂本良太郎さんオリジナルのケチャップソースのオムライス1,100円。

一見つるんと薄い卵に巻かれているように見えて、ここのは中がふわふわ。今の時代にぴったりの仕上がりだ。さらに、一番人気の特製オムライスはとろっとろの卵の上に、2週間かけて丁寧に作るデミグラスソースがたっぷりかかったもの。酸味、旨み、甘みが混ざり合い、コクのある深い味わいを生み出している。これは3代目オリジナル。そして、もう一種はハヤシソースがかかったもの。毎回、どれにするか悩ましいところだ。

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ポークウスカツ1,600円。さっくさくの衣も美味。

浅草芸者のために初代が作った「ポークウスカツ」は、おちょぼ口でも食べられるように、普通のロースカツの半分の薄さで2枚。今も人気である。

ほとんどの料理は注文を聞いてから作り始めるから、〝私だけ〞に作ってくれているというオーダーメイド感がある。おかげで、食べているうちに心もほっかほかになってくる。浅草の洋食はこうでなくちゃ。

1階はテーブル席、2階はお座敷。お祝いごとやら法事やら、婦人会やらで、ご近所から頼りにされている。大らかで、まさにアットホームな雰囲気。居心地がいいこと、この上なし。また、すぐに食べに行きたくなる。浅草の洋食、クセになる。

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(Hanako1144号掲載/photo : Yoichi Nagano text : Michiko Watanabe)

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