暮らしの中に漢方が生きている台湾。 台湾人の日常から学ぶ“漢方のある暮らし”。インフルエンサー・ハリーさんの漢方を取り入れた生活に密着!

FOOD 2020.11.21

冬はアヒルの薬膳鍋と漢方入りのスペアリブで体を温める。スーウータン疲れたら四物湯を飲んで気力を奮い立たせる。台湾は漢方が日常の食生活に溶け込んでいるから健康でいられる。今回は、二児の母でありインフルエンサーとして活躍するハリーさんの、漢方のある生活を覗かせてもらいました。

【TEA TIME】 冷蔵庫に常備する飲み物も家で飲むお茶もみんな漢方

台湾 漢方

市販の青梅のジュースのキットをそのまま使用。お店によって配合が違う。今回のハリーさんの酸梅湯はハイビスカス入り。甘さ、味の濃さが好みで調整でき、アイスでもホットでも美味。

【COOKING】毎日の料理に旬の食材の栄養と漢方の優しいエネルギーを。

家で料理をしない人も多い台湾の食卓。近ごろでは、料理に興味をもつ若い世代も増えてきた。よく使うのはクコの実。肝と腎を補い、パソコンやスマホで疲れた目の疲労回復にも効果的。

【PHARMACY】漢方の穏やかな匂いがして、それが心を落ち着かせてくれる

台湾 漢方

南門市場のそばにある〈六安堂〉は、ハリーさんの母の長年行きつけの老舗。彼女の産後ケア中に、母がよくここで漢方薬を買ってくれた。昔ながらの知恵と工夫が引き出しに詰まっている。

台湾 漢方

〈六安堂國藥號(リョウアンタンゴウヤオハオ)〉
開業40年以上。薬膳スープキットも販売。漢方クリニックも併設。
■台北市中正區寧波西街9號
■02-2391-4567
■9:00〜21:00(診療は月水金14:00〜19:00)日休

母から受け継いだレシピが家族の健康を支えている。

養生紅棗地瓜湯(ナツメとさつまいものスープ)は手に入りやすい食材で1時間以内で完成する、簡単な冬の代表的なスープ。
養生紅棗地瓜湯(ナツメとさつまいものスープ)は手に入りやすい食材で1時間以内で完成する、簡単な冬の代表的なスープ。

台湾人にとって健康維持に漢方は欠かせない。レシピは何代にもわたり伝わっている。例えば風邪や胃もたれ、慢性疾患の症状改善、そして妊活のための体質改善など。漢方医に脈を診てもらい、自分の体調に合う処方をもらう。二児の母であり、インフルエンサーとして活躍するハリーさん。彼女の食卓や、生活ぶりをアップしたインスタが人気だ。

彼女は常にナツメやクコの実などの漢方食材をストックし、手料理に活用している。例えば、夏と秋の間は手に入れたばかりの燻製ドライリュウガンとナツメ、クコの実、ショウガとさつまいもで漢方の穏やかな匂いがして、それが心を落ち着かせてくれる。作ったスープ、養生紅棗地瓜湯(ヤンシォンホンザオディグァタン)で冷房疲れの胃袋を温める。そんなふうに彼女のキッチンには、食材や調味料と共にナツメの薬膳も欠かさない。このスープは、ナツメと少しの砂糖とお酒を器に入れ、蒸して寝かせるだけで完成する簡単な漢方のおやつ。母親が食べさせてくれたものだ。「薬膳は私にとって母の愛情を感じる料理。ほかにも体を冷やさないようにと、よく料理にショウガを入れていました」。

さらに、野菜炒めにはゆり根と銀杏、鶏肉煮込みスープにはナツメとクコの実、鶏の中に當歸(ダングゥイ/とうき)と薬用人参を詰めるといった具合に、母は娘の健康を気遣った。気がつけば、今度は彼女がキッチンに立って、母のレシピで子供のためにせっせと手料理を作っていた。母から娘へしっかりと伝わっている。

新鮮な食材なら東三水街市場(ドンサンシュイジェシーチャン )と南門市場(ナンメンシーチャン)などの市場へ。漢方食材はなじみの漢方薬局で調達する。「山椒、コショウといった香辛料や薬膳スープキットなども、漢方薬局の方が質のいいものが手に入りますよ。漢方薬局のオーナーさんとの雑談も勉強になるし」とハリーさんは言う。漢方は、台湾人にとって空気のように、見えないけれど毎日の生活に流れていて、みんなの健康をそっと支えてくれている。なくてはならない存在なのだ。

(Hanako1190号掲載/photo:Zi-chieh lin text:Phoebe wang coordination:Chen Tsuiwen translation:deby tsai)

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