多感覚に響く。フランス印象派の世界に浸る〝没入型〟展覧会「モネ＆フレンズ・アライブ」

多感覚に響く。フランス印象派の世界に浸る〝没入型〟展覧会「モネ＆フレンズ・アライブ」

CULTURE 2024.08.05

絵画の展覧会というと、壁にかかる作品を1枚1枚静かに観るというのが、一般的な楽しみ方ですが、日本橋三井ホールで行われている「モネ＆フレンズ・アライブ」は少し趣向が違います。絵画を観るというより、絵画に浸る、あるいは絵画を浴びるといった表現のほうが言い得ているかもしれません。これまでにない新鮮な体験へと私たちを誘います。

あの名画を、光、色、音楽、香りとともに。

本展は、19世紀半ばから20世紀初頭にかけて活躍した画家、クロード・モネを筆頭にカミーユ・ピサロ、ピエール＝オーギュスト・ルノワール、ポール・セザンヌ、エドガー・ドガなど、世界中で愛されるフランス印象派の代表的な作品を、力強いクラシック音楽や最新のイマーシブ技術と組み合わせて楽しませる没入体験型の展覧会です。

手がけるのは、大規模展覧会や没入型文化体験の立案や開発・制作を得意とする「GRANDE EXPERIENCES」。彼らが開発した独自システム「SENSORY4™️」により、動画に映画と同水準のサラウンド音響を組み合わせ、臨場感あふれるダイナミックな映像体験空間を実現。かつて社会的にも、政治的にも混沌とした時代に生まれたフランス印象派の歴史を、現代のデジタル技術による芸術性やエンターテインメント性とともに紐解いていきます。

没入型体験とは一体どんなものなのか……。スロープには印象派を代表する画家の肖像画やプロフィール、かの時代の美術動向などが分かりやすく並べられ、いやがおうにも期待が高まり、やや足早で会場へ。入り口に張られた黒い幕を開けるとそこには……

人間のサイズをはるかにしのぐ巨大なマルチ・スクリーンが会場全体を取り囲み、絵画を映し出していました。次々と移り変わる名画の数々。足元にまで映像がたゆたいます。その大きさに圧倒されることはもちろん、暗闇に浮かび上がる鮮やかな色彩、画家それぞれの大胆にして繊細な筆遣いに心を奪われていく。

映し出される名画とともに、会場にはクラシック音楽が響きわたります。「白鳥の湖」や「ノクターン」、「月光」、「くるみ割人形」など、誰もが一度は聞いたことのある懐かしく、力強い名曲の数々が、その場を包み込みます。

さらに！没入感をより深めてくれたのが香り。会場にはレモンやジャスミン、シダーウッド、ムスクなど、印象派の画家たちがインスパイアされた自然の木々や季節の花々、柑橘類などで構成された香りが漂います。

巨大なスクリーンに映し出される美しい色彩と会場を包み込むサウンド、爽やかで清々しい香りが生む一体感。時間を忘れこの場に佇んでいると、画家たちが生きていた時代の空気感に触れているような、不思議な感覚をおぼえました。

モネの名作「睡蓮の池と日本の橋」をイメージしたフォトスポットも。

没入体験のほか、素敵なフォトスポットも用意されています。モネの名作「睡蓮の池と日本の橋」をイメージしたフォトスポットはオープン当初より行列ができるほどの人気ぶり。額縁の奥に架かる橋の上に立って写真撮影をすれば、まるでモネの絵の中に入り込んだような1枚に。

また、モネがこよなく愛したフランス・ジヴェルニーにある「モネの庭園」をイメージしたフォトスポットも見どころのひとつです。

美しい花に囲まれて写真を撮るもよし、ここにはARを活用した仕掛けあり。二次元コードを読み込むと可愛らしいキャラクターになったモネさんがひょっこり現れ、一緒に撮影することができるんです。

ここでしか買えない、オリジナルグッズを販売！

絵画展のお楽しみといえばグッズです。同展では、モネ＆フレンズ・アライブの特徴である「大迫力のスクリーンに映し出される絵画」を生かし、大きなトリミングで表現したオリジナルグッズを展開。アクセサリーやアパレルアイテムをはじめ、クリアファイルやノートといったオフィスで活用できるグッズ、キャラクターになったモネさんのマグネットやマスコットキーホルダーまで。東京展だけでしか手に入らない商品も多数用意されています。

 今年、フランス印象派は誕生から150年を迎えます。そんな特別な年に、世界中で愛されてきた激しくも美しい印象派の世界感に身を委ねてみてはいかがでしょう。

photo : Keizo Iwamoto text : Akane Katsuyama