サウナーじゃない私が、本場のサウナに毎日入ったら…。編集部I、初めてのフィンランドで整う!? 体験記。①

サウナーじゃない私が、本場のサウナに毎日入ったら…。編集部I、初めてのフィンランドで整う!? 体験記。①
サウナーじゃない私が、本場のサウナに毎日入ったら…。編集部I、初めてのフィンランドで整う!? 体験記。①
TRAVEL 2025.12.08
フィンランドといえば、皆さんは何を思い浮かべますか? ムーミン、マリメッコ、オーロラ、サンタクロース、かもめ食堂……こうやって列挙するだけでも、魅力的なコンテンツにHanako読者ならきっとワクワクするでしょう。が、しかし! 忘れてやいませんか? それらを凌駕するほどのフィンランドのとっておきの名物。そうです、フィンランドといえば、サ・ウ・ナ!
 
そこで! 今回は編集部Iがフィンランドにビューンと飛び、ムーミンにもマリメッコにもオーロラにも目もくれず、ただひたすらにサウナを巡りまくる、という、ちょっと変わった(でもサウナーにとっては贅沢すぎる!)特化型の旅をしてきました。
(取材協力/Visit Finland、Helsinki Partners、Visit Kuusamo、フィンエアー/Finnair) photo & text_Hanako

日本から約12時間半の快適フライト。
噂のフィンエアーに乗ってみた。

みなさん、お久しぶりです! 元バックパッカー、趣味=アジア旅行の編集部Iです。(以前、中国・成都のパンダ旅をレポさせていただいた者でございます)

これまで、アジア各地を旅して、現地のおもしろスポットにツッコミを入れて巡る…というのをライフワーク(?)にしてきた私にとって、ヨーロッパ…特に北欧はまったく未開の地。

アジア諸国に比べて、フライト時間がめちゃくちゃ長そう…英語が流暢じゃないと相手にしてもらえなさそう…などなど、チキンな私には不安だらけでしたが、とりあえず、不安その1=「フライト時間がめちゃくちゃ長そう」に関しては、フィンエアーという強い味方が存在していました!

…と、いうのも、東京からヘルシンキまではだいたい12時間半。確かにフライト時間は、アジア旅行と比べると長めなのですが、フィンエアーなら機内サービスが充実していて、長距離フライトが全然苦痛じゃない!

上の写真を見て、なんだかのっけから贅沢してないか…? と思ったアナタ! すみません、ご名答です! 今回は、個人的にひさびさのヨーロッパへのフライトということもあり、思い切って贅沢をし、ビジネスクラスにしてみました。

なにせフィンエアーのビジネスクラスってば、長距離路線では「AirLounge」というレイフラットベッドにもなる座席を導入しており、普通のベッドのように足を伸ばして寝ることができるんです! しかもしっかりとプライバシーが確保される設計になっていて…もうほとんど、ホテルの小さな個室みたいな感じ。

アメニティキットはマリメッコのオリジナルデザイン(かわいい)、食器類はイッタラ(かっこいい)。今回、北欧デザインには目もくれず、サウナだけに邁進する旅…の予定だったのですが、おのずと機内で、マリメッコにもイッタラにもさっそく触れ合えてしまいました。

フィンエアーの機内食
機内のディナーはこんな感じ。サーモンの燻製、ラタトゥイユ、ジェノベーゼパスタ。さらに、それぞれに合うワインを提案してくれます。

食事にはワインのペアリングが用意されているのですが、どのワインもやたらとおいしい…! 前述の通り、デザートは甘いものをセレクトすることもできるのですが、チーズの盛り合わせという選択肢も。そうなると、デザートタイムでさらにもう1ペアリング飲むことになりますよねぇ…。

…そんなこんなで、すっかりほろ酔い状態で、フラットベッドに横になって休憩でもするかぁーなんて言ってるうちに、気づけばzzz…。目が覚めたらもう、ヘルシンキに到着寸前。まじか! ほとんど飲んでるか寝てるかだったよ!

フィンエアーの機内
寝落ちする寸前に見た景色。消灯前のライティングが、こんな幻想的な色合いでした。たぶんオーロラをイメージしている!? こんなところまで気が利いている、さすがフィンエアー!

私が乗ったフライトは、成田23:10発→ヘルシンキ5:00着。ちょうどぐっすり寝ているうちに、気がつけばフィンランドに着いている…という最高の時間設定。

ちなみにヘルシンキ空港は、ヨーロッパ方面へのフライトの利便性も高く、ヘルシンキ経由で乗り継いで、他の都市へ向かう人も多いみたい。実際、同じ便に乗り合わせた日本人も一部、ヘルシンキで入国せず、どこか他の都市へ旅立って行かれました(いってらっしゃい)。そんな使い方もあるんですね〜。

ヘルシンキを素通りしてクーサモへ。
本場のサウナを求めて森を進む。

さて、人生初のフィンランドに到着しました! ヘルシンキの空港に降り立ったら、目の前はどこもかしこも、めっちゃフィンランド(語彙)。

ヘルシンキ空港のムーミンカフェ
空港内のムーミンカフェ。かわいい〜! しかし到着時間は午前5:00。カフェはまだオープン前…。
ヘルシンキ空港の中 サンタクロース
この旅、実は8月末に行ったのですが、さすがフィンランド、1年じゅうクリスマス! 空港の中にもクリスマスショップが常設されていました。

このままヘルシンキの街へ繰り出して、フィンランド観光! 「かもめ食堂」のロケ地巡り♪ …といきたいところですが、いやいや、今回の旅の目的はあくまでサ・ウ・ナ。まずはヘルシンキを素通りして、このまま国内線に乗り継ぎ、フィンランドの北東部を目指します。いったん、さよならムーミン。

フィンエアーのラウンジ
国内線のフライトまで少し時間があったので、フィンエアーのラウンジ(超快適)へ。機内同様、ここもやたらとワインが充実している…! 早朝ですが、飲むしかないので、飲みます。
フィンエアーの小型機
小ぶりのプロペラ機で、いざ、目指すは「クーサモ」。乗客がほとんどフィンランド人(たぶん)で、現地ムードが増します。旅先で乗る国内線ってテンション上がりません?
クーサモ空港
ヘルシンキから1時間半くらいのフライトで、目的地「クーサモ」に到着。小さなかわいい空港です。

フィンランド北部、「ラップランド」と呼ばれるエリアの近くにある街・クーサモ。ロシア国境に隣接し、豊かな大自然が特徴です。9月〜3月頃にはオーロラも見られる立地だとか。訪れたのは8月末だから…ぎりぎり見…られない。

さて、空港の周りはさっそく一面、森森森! そんな森の中を、1時間ほど車に揺られて目的地へ向かいます。途中、道路脇から何度も野生のトナカイがひょっこり。ワタクシ奈良出身なので、道路脇から鹿がひょっこりというシチュエーションには慣れているのですが、トナカイとは! フィンランドでもこのエリアでしかお目にかかれない景色だろうな。

おとぎばなしみたいな森のロッジで
かわいい姉妹がおもてなし。

たどり着いたのは、森の中の湖のほとりに立つロッジホテル「Isokenkäisten Klubi(イソケンカイステンクルビ)」。こちら、熱心なサウナーの中ではすでに憧れの聖地となっている有名なスポットだとか。私は熱心なサウナーでは(まだ)ないので知らなかったのですが、到着した途端、その佇まいに一目惚れ。おとぎばなしの中に出てきそうな素敵な雰囲気です。

出迎えてくれたのは、2代目として宿を切り盛りする、シルパさんとカティヤさん姉妹(と、甘えん坊ワンコ)。マリメッコのワンピースと、手編みのノルディック柄ニット。THE北欧!な装いがまぶしい。
Isokenkäisten Klubi(イソケンカイステンクルビ)
こちらのお宿は、サウナとローカルフードを楽しむための場所なので、全8室あるお部屋は至ってシンプル。でも、ラップランドらしいフォークロアな内装で落ち着きます。窓越しにトナカイが歩いているのが見えてビックリ。
Isokenkäisten Klubi(イソケンカイステンクルビ)
サウナ体験の前に、まずは腹ごしらえ。料理する姉妹の姿も、おとぎばなしの登場人物みたい。

「コタ」と呼ばれる三角屋根の小屋の中で、白樺の薪窯で作る「ワイルドフードランチ」を用意してくれました。湖で獲れた小魚の揚げ焼き、森で収穫したキノコのスープ、庭で摘んだワイルドベリーのフレンチトースト。なんて素敵な地産地消!

Isokenkäisten Klubi(イソケンカイステンクルビ)フレンチトースト
こちらはデザートのフレンチトースト。敷地内の庭にはあちこちにブルーベリーやコケモモが実をつけているのですが、トッピングのベリーもそこで採られたもの。もちろん乗せ放題!

ランチでお腹を満たしたら、いよいよお待ちかねのサウナタイムの始まり始まり〜。

森と、湖と、スモークサウナと。
ついに本場のサウナを実体験!

Isokenkäisten Klubi(イソケンカイステンクルビ) サウナハット
ガウンとサウナハットは、お部屋の前の共用スペースにあらかじめスタンバイされていました。フィンランドのサウナは、男女一緒に入る“混浴”が一般的。なので、ガウンの中に水着を仕込んで、サウナルームへ向かいます。
Isokenkäisten Klubi(イソケンカイステンクルビ)
「Isokenkäisten Klubi」には、母屋と、宿泊棟、先ほどランチを食べた小屋、そして湖沿いにサウナ棟があって、こちらがサウナ棟。サウナ棟には、サウナルームのほか、小さな休憩部屋も併設。
Isokenkäisten Klubi(イソケンカイステンクルビ)
サウナ棟の前まで行くと、さっきまでランチ会場の小屋にいたはずの妹のカティヤさんが、すでにサウナ服に着替え済み(いつの間に!)。ここで簡単に、サウナの仕組みや入り方をレクチャーしてくれます。

「Isokenkäisten Klubi」のサウナは、フィンランドサウナ協会が認定した7つ星サウナで、こちらでは「スモークサウナ」を設置しています。スモークサウナとは…日本ではあまり馴染みがないけれど、フィンランド発祥のサウナの原型と言われるもの。煙突のないサウナ室で薪を数時間燃やし続け、室内に充満した煙で石を熱して、使用前に煙を換気してから入る…らしい。なんだかすごく手間がかかっている…!

Isokenkäisten Klubi(イソケンカイステンクルビ)のサウナ
サウナルームへ、ついに入室っ!!

サウナルームに入ると、あたり一帯に広がるスモーキーなイイ香り…! 煙たいという感覚はなく、心地よく身体が燻されているような感じです。室内にはバケツとヒシャクが設置されていて、バケツ内の水を石にかけて蒸気を起こしたり(これをロウリュと言う)、直接自分の身体にかけてクールダウンをしたり。

カティヤさんも一緒に入室して、手取り足取り教えてくれます(ちなみにフィンランド人は、みんな英語がめっちゃ堪能。でも母国語ではないからか、発音にクセがなく、とっても聞き取りやすい。ゆえに英語コンプレックスの私でも、ぎりぎり説明が理解できましたよ。ぎりぎりだけどね…)。

さて、カティヤさんの話を聞いていて感じたのは、本場のサウナには、難しいルールが基本なさそう、ということ(私が英語をちゃんと聞き取れていたら、だけど!)。

日本だと、何分間サウナ室に入って、何分間水風呂に入って、それを何ターンかした先に「整い」が待っている…なんていう話を聞いたこともあるのですが(あまりサウナに詳しくないので、間違っていたらすみません!)、ここでは好きなだけ温まって、暑くなったらその場で身体に水をかけて、なんならサウナ室でそのまま身体を石鹸で洗ったり、泥パックをしたり…わりとなんでもあり! その自由さがめちゃくちゃ心地良い。

Isokenkäisten Klubi(イソケンカイステンクルビ)のサウナ
サウナルームの前には、外気浴スペースも。向こうには湖が広がっていて絶景!

フィンランドサウナといえばの「ヴィスタ」も忘れちゃあ、いけません。白樺の枝を束ねて作ったスワッグのようなもので、サウナルーム内で身体をバシバシ叩いて血行をよくするのだそう。

ヴィスタ サウナ フィンランド
こちらが、ヴィスタ。白樺のいい香り〜。ここに顔をうずめて香りを吸い込む…という謎の行動を、私だけがずっとしていた…。

ヴィスタを水にズボッと浸して、ベチャベチャの状態で身体をビシバシ。カティヤさんのお手本を見ていると、けっこう強めに叩いてました。これが面白くて、居合わせたものどうし、互いの背中を鞭打つように叩き合って、笑い合って。ほぼ初対面の人たちと、一気に距離が縮まった瞬間でした。サウナってきっと、心身の距離を急接近させる効果がありますよね。

そうこうしているうちに、身体がアツアツ。もう限界! そろそろ水風呂にドボンしたい! …けど、ここには水風呂はない。しかし、目の前に湖がある…!

サウナから、目の前の湖へ直行!
アツアツの体を大自然の中で冷ます。

フィンランドのサウナと湖
ある意味、本日のメインイベント、サウナからの湖ドボン! こんな美しい湖が、サウナルームの目の前にあることに、まず感謝。

最初はちょっと勇気がいるけれど、周りの人がドボン、ドボンと次々に飛び込んでいく、その様子を見ていたら、居ても立っても居られなくなって、私もいざ!

(ドボン)…想像以上に冷たい! 指先がジンジンするくらい冷たい! でも気にせず湖を泳いでみると、だんだん慣れてきて、でも全身が痺れているような、でもやたらと気持ちいいような。これですか、これがもしかして「整い」的なやつですか?

サウナ後の湖
私の水着姿はアレなので、居合わせた素敵女子の後ろ姿をお楽しみください。こんな感じで、湖で泳いだり、立ち尽くしたり。
フィンランドの湖
湖で立ち尽くした先に見える景色も、また格別で。向こうに一面の森。湖にはボートがゆっくり行き来していたり、鳥が泳いでいたり。こんなん、日本の水風呂では絶対見られない景色ですよね。しばし五感を研ぎ澄ませてボー…。

あまりにも気持ち良すぎて、サウナルームと湖との往復を何度も繰り返していたら、居合わせた人たちが少しずつ部屋へ帰っていって……気づいたら私(ともう一人)が最後のペアになっていました。ふたりで「最高ですよね…いや、ほんと最高ですよね…」と、意味のない会話をどれだけしただろうか…(つまり、最高しか言ってない)。脳が少々バグっているかもしれないこの状態さえ、心地良くて。

熱いと冷たい。この往復って正直一生やっていられる…のですが、そろそろ本日の締め、夕飯の時間です。ディナータイムぎりぎりまでサウナルームにいたので、髪の毛ベショベショ、風呂上がり丸出しの状態で素敵ディナーに参加することになってしまったことだけが、心残り…。

Isokenkäisten Klubi(イソケンカイステンクルビ)のディナー
料理上手な姉のシルパさんが、腕によりをかけたディナーがまた絶品。こちらはメインディッシュの、トナカイのステーキ! 今日何度も見かけたトナカイですが、ついに初めて実食もすることに。お味は…しっかりとスパイスを効かせて調理されていることもあり、臭みがなくおいしい!

おいしいディナーと共に、夜は更けていくけれど、いつまでも日が沈まないので、今が昼なのか夜なのか、はたまた深夜なのか、わからない不思議な感覚。けれど、日本からのホテルまでの長距離移動と、本場のディープなサウナ体験で、すっかりネムネムモード(周囲を見渡すと、みんなきっと同じ)。

締めのデザートを食べ終わるやいなや、そのまま部屋に直行&ベッドへダイブ。長かったフィンランドDAY1はこうして幕を閉じました。

ちなみに! もしかしたら、もしかしたらオーロラが? 見れるかも? と、夜中にこっそり宿を出て、空を見上げてみたのですが……しっかり曇天でした。残念!

本当なら8月下旬でも、ここ「Isokenkäisten Klubi」ではオーロラが見られることがあるそうですよ。冬季なら確率はかなり上がるとか。サウナとローカルフードと、あと(運が良ければ)オーロラが満喫できる宿だなんて、マジ最強じゃないですか、ここ。

フィンランドDAY2は、また違うお宿で、新たなサウナ体験をする予定。体験記②の記事にて、お会いしましょう。今夜はいったん、おやすみなさい〜。

Information
Isokenkäisten Klubi(イソケンカイステンクルビ)

住所:Heikinjärventie 3, 93800 Kuusamo, Finland
宿泊料金(2名1室、朝食込み):サマーシーズン(5/1~10/31)124ユーロ、ウィンターシーズン(11/1~4/30)142~183ユーロ 、コタでのランチ68.50ユーロ、夕食48ユーロ~。 ※スモークサウナは別途料金(ネットから要予約)
https://www.ikk.fi/

Videos

Pick Up