風呂キャンセル界隈の私が、思わず長風呂した温泉3選。|『Hanako』2月号特集「温泉と。」編集後記
「風呂キャンセル界隈」とタイトルには書きましたが、流行りの言葉を使ってみたかっただけで、実際はお風呂には一応入ります。入るけど、暑いのが苦手で、湯船に浸かってもすぐに出てしまう、そんな界隈の私です。
つまり温泉は、私にとっては極楽でもあり、同時に苦行でもある。せっかくの広々とした湯船、ゆっくり時間をかけて浸かっていたいのですが、でもやっぱりアツイ。アツイけど、すぐに出るともったいないからもっと浸かっていたい…!そんな葛藤を、温泉では毎度繰り返しています。
しかし! そんな界隈の私でも、思わず長風呂をしてしまった温泉があった!
今回の特集の取材でたくさんの温泉に浸からせていただいたのですが、中でもお風呂滞在時間がぶっちぎりに長くなった3選を、勝手にここに表彰させていただきます。
長風呂大賞:びっくり編 第1位
【ホテル サンハトヤ(静岡・伊東)】
詳しくは本誌P.92を見ていただきたいのですが、大浴場の湯船の真横が水槽…! その名も「海底温泉 お魚風呂」!
実際に目にするまでは「大浴場の片隅にちょろっと水槽があるだけじゃないの〜?」なんて思ってたのですが、大浴場に一歩足を踏み入れて、思わず声が出ました。「水槽、想像以上にデカ!」。例えるならば、水族館の水槽と遜色ないレベル。魚もいっぱい。さらに、御歳50歳以上の長老ウミガメがいて、そのウミガメもデカイし、歳のわりに動きが俊敏だし!
…そんなめくるめく水槽模様を、温泉に浸かりながら観察しているだけで、あっという間に時間が経って長風呂に!
ちなみに、お風呂嫌いのお子さん対応としてもバッチリだと思います(入浴中に一緒になったお子さんも、お魚に夢中になって長風呂していました)
長風呂大賞:感動の絶景編 第1位
【氷見温泉郷 くつろぎの宿 うみあかり(富山・氷見)】
詳しくは本誌P.33を見ていただきたいのですが、宿の本館にある展望大浴場が最高。海沿いの高台にある宿なので、露天風呂からの景色は一面、海と空! 夜は、漁火が、海上のイルミネーションのように見え、さらに早朝にはなんと、海の向こうに神々しい日の出が見える素晴らしいロケーション。
大浴場のエントランスには、翌日の日の出時間が記されているので、その時間をチェックして、日の出よりも30分ほど前を目指して露天風呂へ。日の出までの30分間、居合わせたおばさまたちと肩を並べ、おばさまたちのよもやま話(老化による悩みなど)にこっそり耳を傾けながら過ごす時間もなかなかオツ。
日の出も感動的ですが、日の出よりちょっと前、闇の中に少しずつ光がさし始める瞬間もめっちゃロマンチック。
…そんなこんなで、刻々と変わる海模様と空模様に思いをはせているうちに、長風呂必至となる温泉です。
長風呂大賞:酒好き歓喜編 第1位
【駅の足湯(富山・宇奈月温泉)】
宇奈月温泉の詳細は、本誌P.34を見ていただきたいのですが、うっかり数時間レベル長居しそうになった足湯スポットがこちら!
さすが温泉地、駅(宇奈月温泉駅)のホーム上にも足湯があるのですが、真ん中にテーブルが設置されており、それをみんなで囲みながら足湯に入る相席食堂のような構造。だからなのか、対面の酒屋さんで缶ビールを購入して、ここで飲むスタイルが局地的に流行中!
足湯と酒屋を何往復もすれば永遠に飲めてしまう、ヤバイのんべえ足湯、ここにあり。電車の出発待ちの時間つぶしために足湯に入ったはずなのに、最高すぎて電車に乗り過ごしそうになる(むしろすすんで乗り過ごそうとしてしまう)危険スポットでもあります。
以上、3つの栄えある大賞を受賞した3ヶ所の温泉スポットには、私から、心よりの拍手をお送りしたいと思います。ありがとう、温泉!
いぬい・じゅんこ/本誌編集担当。もう一度ここにも書いておきますが、風呂キャンセルはしないけど、長風呂が苦手界隈です。上記の大賞3温泉のほかに、印象に残っている温泉は、和歌山の「南紀白浜温泉」(P40、P96参照)、石川の「山代温泉. 古総湯」(P.26、記事トップのステンドグラスがあるお風呂の写真はここ)です! でもその他の温泉も、全て最高でございました。いい湯に勝る幸せなんて、この世にありますか?