Hanako編集部’s note. 生粋の関西人が、アウェイな銀座を3か月間歩いて気づいたこと。|『Hanako』5月号特集「ハレの日の銀座と、進化する東京・下町へ。銀座と下町」編集後記

TRAVEL 2024.03.28

2024年3月28日発売 Hanako「銀座と下町」特集を担当した編集者が自由に記す、編集後記です。

『Hanako』5月号特集 銀座と下町 乾純子 編集後記
『Hanako』5月号特集 銀座と下町 乾純子 編集後記 パフェ

銀座特集の統括編集を仰せつかったのは、昨年末のこと。
最初は、正直なところ「このわたしが…ぎんざ!?」と戸惑いを隠せませんでした。

というのも、関西生まれ・関西育ち、現在の住まいはディープな中央線沿い。東京歴も編集部で一番浅く、いまだにバリバリの大阪弁が抜けない私にとって、銀座は一番縁遠い街に思えたから。

恐る恐る、最初は観光客気分で、街をぐるぐる足で調査すること3か月弱。縁遠いと敬遠していたこの街は、想像以上に懐が深く、バリバリの大阪弁をも包み込む圧倒的なハレのパワーで、すっかり私を魅了してくれました。

『Hanako』5月号特集 銀座と下町 乾純子 編集後記 パフェ
『Hanako』5月号特集 銀座と下町 乾純子 編集後記

煌びやかなメインストリートを一本入れば、狭い路地裏では昔ながらのお店が今も現役で頑張っているし、ハイブランドがあると思えば、大衆的なお店も実はたくさん残っている。新店が次々とオープンする一方で、東京の歴史を物語る老舗の存在感も圧倒的。無縁だと思っていた高級クラブ街にも、私の大好きな古酒場や立ち飲み屋が隠れていたり…。
当初イメージしていたキラキラとした銀座の顔は実はごくごく一面で、その裏には知られざるローカルな顔がいくつもある。そのギャップ、このツンデレ感がたまらなく魅力的で、愛さずにはいられない、そんな街。

小泉今日子さんは、インタビューの中で、「銀座はずっと縁遠い、憧れの場所だと思っていたけれど、私、銀座でちゃんと大人っぽく遊んでいましたね。新発見です」と、意外にも銀座と密な関係にあった自分に気づく瞬間がありました。

また神田愛花さんは「ここに自分の居場所があるとずっと感じていられる場所。夫とケンカした時だって、家を飛び出して向かうのは、けっきょく銀座」だと。

〈YAECA〉デザイナーの井出恭子さんは「いつまでもこの街の初心者でいることで、銀座で過ごす時間を大人っぽいと感じられる。つまり少女のような気分にさせてもらえる場所」と、愛情たっぷりに表現しました。

銀座は、誰のものでもないし、誰にとっても永遠に憧れで、ほとんどの人にとって縁遠い街。だからこそ、誰に遠慮することもなく「自分の居場所」だと宣言できる、そんな包容力のある街でもあると思うのです(アイドルや、推しの存在にも少し似ているのかもしれない…)。

突然の特集任命から3か月。こうやって無事、銀座特集が完成した今でも(しかも毎日、東銀座にあるマガジンハウスのオフィスに通っているのに!)この街は、私にとって、やっぱりとことんアウェイ。でもきっと、それでいい。井出恭子さんの言葉を借りるなら「少女のような気分で」ワクワクドキドキしながら、これからも大阪弁丸出しで、毎日この街に通い続けたいと思います。

『Hanako』5月号特集 銀座と下町 乾純子 編集後記 〈銀座・和光〉パフェ

銀座特集の校了直前、実は初めて訪れた〈銀座・和光〉で、少女気分で食べたフルーツパフェの味も、大切に覚えておこう。

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